名称:Historic Centres of Berat and Gjirokastra
公式・関連サイトURL:https://worldheritagesite.xyz/berat/
アルバニアはバルカン半島南西岸にある国です。他のバルカン諸国と同様、冷戦の崩壊によって非共産化しましたが、経済的に不安定な状況が続いているため、旅行先としてはあまりなじみがないかもしれません。
そんなアルバニアには、ベラトとジロカストラという2つの観光名所の街があります。オスマン帝国時代に建設された「クラ」と呼ばれる石造の家々が山の斜面を覆っていて、その歴史的な景観がアルバニア特有の伝統文化を表しています。
2005年に、ジロカストラが単独で「ジロカストラの博物館都市」として世界遺産に登録。その後ベラトが2008年に追加登録され、現在の名称になりました。
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アルバニアの世界遺産!ベラトとジロカストラの歴史地区の見どころ
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ベラトとジロカストラの歴史地区とは
出典: takawildcats / PIXTA(ピクスタ)
ベラトもジロカストラも、最初に砦が築かれたのは紀元前といわれています。ジロカストラは1336~1418年にかけて存在したジロカストラ公国の首都でしたが、1417年に両都市ともオスマン帝国に併合されました。
「千の窓の町」の異名をもつベラトや、「石の町」と呼ばれるジロカストラの白壁の街並みは、オスマン帝国時代に整備されたものです。いずれも、帝国内の地方領の首都として発展しました。
19世紀に入るとアルバニア人の民族意識が高まり、とくにジロカストラはアルバニア独立運動の拠点となりました。1914年、ジロカストラはティラナを首都とするアルバニアとは別に成立した北エピルス自治共和国の首都となります。現在はベラトもジロカストラも、観光業だけでなくアルバニア国内の産業上の重要都市として機能しています。
ベラトとジロカストラの歴史地区へのアクセス
ベラトへは、アルバニアの首都ティラナからバスが1時間に2便くらいの間隔で運行されています。所要時間は2時間30分ほどです。ジロカストラへは、ベラトからさらにもう2時間半ほどかかります。ティラナからジロカストラ行きの長距離バスも出ていて、所要時間は約5時間です。
ジロカストラへは、隣国ギリシャのアテネから長距離バスを利用するルートもあります。こちらは12時間程かかります。
ベラトとジロカストラの歴史地区のおすすめポイント①:ベラト
2つの世界遺産都市のうち、首都ティラナに近いベラトは、「千の窓の街」とも呼ばれる美しい観光名所。オレンジ色の屋根に白い壁、そこにはめ込まれた大きな窓という同じ形の建物が丘一帯に立ち並んでいて、独特の景観を作り出しています。
また、アルバニアの特徴である多様な文化の混成が顕著にみられるベラトでは、イスラム教とキリスト教の2つの文化が川を隔てて存在しています。宗教や民族の争いもあったことから、家々の壁には銃眼も設けられています。
世界遺産の街を眺めるには、背後にそびえるベラト城に登るのがいちばん!岩山の上に築かれた城砦の先端からは、オムス川両岸の街並みのパノラマが広がります。街自体はそれほど大きくないので、民芸品店や雑貨屋などに立ち寄りながら、世界遺産の歴史地区を気ままに散策してみましょう。
ベラトとジロカストラの歴史地区のおすすめポイント②:ジロカストラ
「千の窓の街」ベラトに対して、ジロカストラは「石の町」と呼ばれています。建物の様式自体はベラトと同じですが、屋根が黒いため、街全体が白・灰色・黒のモノクロームで、落ち着いた雰囲気を醸し出しています。
ジロカストラにも、街を見下ろす丘の上に堅牢な古城があります。ジロカストラ城の先端には時計台があり、街のトレードマークにもなっています。城内からジロカストラの街を見下ろすと、グレーの石葺きの屋根が連なっていて、ヨーロッパともアジアとも違うアルバニア独特の景色が楽しめます。
城壁だけでなく要塞の建物も残っていて、現在は兵器博物館として利用されています。主な展示物は、冷戦中にアルバニアで使われたアメリカ軍の兵器などですが、中近世の兵器も展示されていて興味深いですよ。そのうえ、城壁の脇には米軍の戦闘機が野外展示されているので、古い町並みと古城、そしてひと昔前の戦闘機という、なかなか見られない組み合わせの写真を撮ることができます。
ベラトとジロカストラの歴史地区のおすすめポイント③:バザール
ジロカストラの中心部には、「バザール」と呼ばれる古い商店街があります。ここは世界遺産の登録の鍵となったジロカストラの多様な文化が凝縮したところで、手工芸店やお土産屋、カフェ、食料品店、衣料品店などがびっしりと並んでいます。アルバニアのお土産がそろうだけでなく、ジロカストラの地元の暮らしぶりに接することができますよ。
また、オスマン帝国時代に建てられたイスラム教のモスクも1つだけ残っています。ほかにもトルコ風の建物もちらほら目にすることができます。トルコ風の建物は2階が1階よりも広く張り出しているので、すぐわかりますよ。
◎まとめ
アルバニアの世界遺産ベラットとギロカストラの歴史地区は2つの都市を合わせた遺産として登録されています。ベラットとギロカストラはお互いに車で4時間ほども離れた所にありますが、アルバニアの複雑な歴史を背負ったことでは共通しています。どちらの都市もユニークでそれぞれの見どころがありますから、その両方に足を運んで、世界遺産に選ばれた歴史の跡を辿ってみてください。