シリア第2に都市に残る壮大な旧市街!世界遺産「古代都市アレッポ」

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シリア第2に都市に残る壮大な旧市街!世界遺産「古代都市アレッポ」

トルコとの国境に近いシリアの大都市アレッポ。古代から地中海とユーフラテス川流域を結ぶ交通の要衝として栄え、その地位は現在も変わっていません。世界遺産に登録されている旧市街には、総長5kmにも及ぶ城壁や、世界有数の規模を誇る市場(スーク)、壮麗なグランドモスクなどが残っていました。

このうちスークやグランドモスクは、悲しいことに2010年代に入って発生したシリア内戦によって破壊されてしまいました。いつか昔日の姿を取り戻す日が来ることを祈りながら、世界遺産アレッポの旧市街の見どころをご紹介しましょう。

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シリア第2に都市に残る壮大な旧市街!世界遺産「古代都市アレッポ」

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古代都市アレッポとは?

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紀元前19世紀ごろには、すでにヤムハド王国の都として栄えていました。当時はハラブと呼ばれていましたが、紀元前333年にセレウコス朝シリアが占領すると、街の名前はベロエアに改められました。アレッポと呼ばれるようになるのは、アラブ人が支配を取り戻した7世紀以降のことです。

アレッポはその地理的重要性のゆえに幾度となく攻囲され、破壊と再建を繰り返してきました。そのたびに防備も強化され、現在に見る堅固な城塞都市は15世紀ごろに完成したとみられています。

1516年にオスマン帝国の支配下に入って以降は、城塞が戦闘で使われることはなく、市街地も城壁の外へと拡大していきました。

古代都市アレッポへのアクセス

日本からアレッポ国際空港への直行便はありません。イスタンブールやドバイなどで乗り継ぐ必要があります。

空港からアレッポ旧市街へは、タクシーかバスを利用しましょう。世界遺産の旧市街は外周5kmとかなり広いので、あらかじめ訪ねるスポットをいくつか決めてから足を踏み入れるようにしましょう。

古代都市アレッポのおすすめポイント①:アレッポ城

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城壁に囲まれた世界遺産のアレッポ旧市街の中心には、さらにもう1つ高い城壁を擁するアレッポ城があります。周囲の土地より50mほど高い丘の上にある堂々とした城砦は、アレッポの象徴です。この丘にはかつて嵐の神ハダドの古代神殿があり、街の聖域でした。アクロポリスの丘を城砦に作り替えたのは、アレッポがベロエアと呼ばれていたセレウコス朝時代のことと考えられています。

現在の城塞の基礎ができあがったのは、十字軍侵攻に備える必要性が高まった11世紀末のこと。13世紀のアイユーブ朝の支配下に至って、ほぼ今の姿に強化されました。

周囲約2.5kmのアレッポ城には、深さ20m・幅30mもの濠がめぐらされていました。丘の斜面にも石が敷き詰められ、城門には侵入者を防ぐ熱油落としなどが設けられています。

世界遺産の街の象徴だったアレッポ城は、内戦が続く今は政府軍が駐留し、激しい戦闘の場となっています。

古代都市アレッポのおすすめポイント②:スーク(市場)

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古都アレッポのスークは世界最大規模ともいわれ、アレッポ城から南西に広がっています。商都として栄えたかつての面影を留める歴史的な市場です。

古代からの交易都市らしく、石屋根の迷路のようなスークにはごちゃごちゃと細かい店が並び、石畳の通りには人々だけでなく荷物を積んだ車やオートバイ、そしてロバまでもが忙しそうに行き交っています。スークの中はまさに迷路そのもの!一度物色した店にひと回りして戻ってくるのは至難の業です。

天井には石造のドームが連なり、明り取りの窓からは太陽の光が薄暗い路地を優しく照らします。世界遺産都市アレッポの名物といえばアレッポ石鹸。スークの小さなお店では、この石鹸を切り売りするのがスタイルです。

ですが、2012年9月28日に政府軍と反体制派の戦闘によりスークで火災が発生し、歴史的な店舗の大半は消失してしまいました。

古代都市アレッポのおすすめポイント③:キャラバンサライ

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キャラバンサライとは、ペルシア語で「隊商宿」という意味です。隊商交易の取り引きや宿泊用の施設を指し、一般的にスークやバザールに隣接して建てられました。アラビア語では、ハーンなどとも呼ばれます。

ここアレッポの旧市街にもさまざまなキャラバンサライがあり、世界遺産に指定されています。たいていは中庭がある2階建ての建築物で、1階は取引所や倉庫、厩、管理人や使用人の住居に充てられ、2階が客人である商人たちの宿泊施設となっています。世界遺産のアレッポ旧市街では、ハーン・アル・ワジールと呼ばれるキャラバンサライが有名です。

◎まとめ

歴史的に貴重な遺産が多くある古都アレッポですが、市街地は現在、政府軍と反政府軍双方に占拠され、激しい戦闘が続いています。政府軍は「樽爆弾」と呼ばれる、ドラム缶に可燃物や金属片などを詰めた爆弾を、無差別に投下し、火災によって古都アレッポ旧市街の多数の店舗や住宅が焼失してしまいました。

長きにわたる内戦で、アレッポ城は損壊し、スークは焼け落ち、そしてグランドモスクは貴重な美しい高さ45mのミナレット(塔)が崩壊してしまいました。

2018年現在、シリア全土に外務省の退避勧告(レベル4)が出されています。どのような理由であれシリアへ渡航することはできません。一刻も早い内戦の終息と、世界遺産の古代都市アレッポの復興を願うばかりです。

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