スペインとアジアが融合した世界遺産!フィリピンのバロック様式教会群

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スペインとアジアが融合した世界遺産!フィリピンのバロック様式教会群

世界遺産「フィリピンのバロック様式教会群」には、フィリピン最古の教会とされる首都マニラのサン・アグスチン教会をはじめ、16~18世紀に建てられた4つの教会が登録されています。それぞれマニラのあるルソン島に3か所と、パナイ島に1か所です。フィリピン初の世界遺産でもあり、重要な観光名所でもあるスペイン様式の教会群。こちらでは、その4ヶ所すべてを取り上げて解説します!

目次

スペインとアジアが融合した世界遺産!フィリピンのバロック様式教会群

フィリピンのバ口ック様式教会群とは

出典: rasinona / PIXTA(ピクスタ)

西洋人として現在のフィリピン地域に初めて到達したのは、世界一周の途中だったマゼラン率いるスペイン艦隊です。マゼラン自身はセブ島に連なるマクタン島で地元の酋長との戦いで命を落としますが、フィリピンはスペインの植民地となりました。1570年代初めにはマニラを中心としてフィリピンの大部分を征服。1571年にはフィリピン最古の教会とされるサン・アグスチン教会がマニラに建立されます。

4つのなかで最も新しいビリャヌエバ教会か建造されたのは1797年。いずれの教会も有事の要塞の機能も持ち合わせていたといわれ、今日までその重厚な姿を残しています。太平洋戦争や数々の地震をも耐え抜いたことから、「地震のバ口ック」とも呼ばれています。

フィリピンのバ口ック様式教会群へのアクセス

4つの教会のうち、マニラのサン・アグスチン教会は観光の中心である旧市街「イントラムロス」の中にあるのでアクセスは容易です。同じルソン島にあるパオアイのサン・アグスチン教会とサンタ・マリアのアスンシオン教会へは、まずマニラからバスに乗って8時間ほどのビガンへ行き、そこからまたそれぞれの町へのバスに乗り継ぎます。パオアイへは、マニラから飛行機で1時間強のラオアグに降り立ち、そこからバスを利用するルートもあります。

残るパナイ島のビリャヌエバ教会は、イロイロという町の西のミアガオにあります。イロイロへは、マニラから飛行機で1時間30ほどのフライトです。

フィリピンのバ口ック様式教会群のおすすめポイント

◆マニラのサン・アグスティン教会

サン・アグスティン教会は、スペインがマニラを植民地首府とした際に建設されたフィリピン最古の教会です。マニラ大聖堂と同じく旧市街のイントラムロスにあり、マニラ観光のメインの1つとなっています。

1571年の建設当初は木造でしたが、同世紀中に石造に改められました。しかし何度も火災に遭い、現在の教会は18世紀末に建てられたものがベースとなっています。1854年には2本の鐘楼が作られましたが、1880年の地震で北側の1本が倒壊し、今も片方だけが残っています。

太平洋戦争におけるマニラの戦いを生き延びたイントラムロスで唯一の歴史的建造物であるということもあり、世界遺産というたけでなくマニラの人たちにとってもシンボル的な存在。マニラ観光では欠かすことのできないスポットです。

◆パオアイのサン・アグスティン教会

パオアイはルソン島の北端近くにある小さな町です。世界遺産のサン・アグスティン教会は、同じ名前の教会がフィリピン国内にたくさんあることからパオアイ教会とも呼ばれています。1693~1710年にかけて建造されました。

最大の特徴は、「地震バロック」と呼ばれるフィリピン独特の建築様式です。地震が多いお国柄のため聖堂の背丈は低くテントのようなフォルムで、両サイドにはバットレスと呼ばれる14枚の控え壁が建物を支えています。普通は聖堂に付属している鐘楼も、地震で倒壊した際のダメージを考慮して少し離れたところに建っています。

◆サンタ・マリアのアスンシオン教会

アスンシオン教会のあるサンタ・マリアは、同じく世界遺産に登録されている都市ビガンの20kmほど郊外にある小さな村です。聖母マリアという意味のサンタ・マリアの教会は、他の3つと異なり伝統的なスペイン様式で建てられています。そのため、やはり自信を考慮した側面の実用的な造りに比べて、正面(ファサード)には細かい装飾が施されています。

町を見下ろす丘の上に建ち、周囲を城壁に囲まれているのもこの教会の特徴。太平洋戦争中には要塞として使用されました。後で建てられた鐘楼は4層のフィリピン・バロック様式となっているため、本堂とはちょっとした好対照を演じています。観光客も少ない静かな村の教会といった雰囲気で、景色を楽しみながらのんびりぐるっと一周するのがおすすめです。

◆パナイのビリャヌエバ教会

パナイ島最大の都市イ口イ口から西方へ約40km行ったミアガオという村に、4つ目の世界遺産ビリャヌエバ教会があります。現在の建物は、1787~97年の間に建造されました。「要塞バロック」と呼ばれるタイプのなかで最も良好に残っている部類の1つとされ、イスラム勢力の襲撃に備える砦としての役目も負っていました。そのため、正面両脇の塔は教会というより重厚なお城のそれを思わせます。

基本的なデザインはスペイン・バ口ック様式を踏襲し、砕いて加工したサンゴ礁の石灰岩を建材としているのが特徴。外壁を触ってみるとザラザラしていますよ。ビリャヌエバ教会は建物の色も印象的で、地元の人からは「Honey Colored Church(蜂蜜色の教会)」の愛称で親しまれています。

もう1つ注目してもらいたいのが、ファサード(正面)の細やかな彫刻(レリーフ)です。その上部には、幼子のイエス・キリストを背負って川を渡ったという伝説の聖人クリストフォロスが描かれていますが、面白いことにフィリピンの伝統的な服を着ています。彼が杖代わりにつかまっている木も実のたわわなヤシで、フィリピンならではの意匠が楽しめます。

フィリピンのバ口ック様式教会群の注意事項

世界遺産に登録された4箇所の教会では、それぞれ注意事項が掲げてあります。とくにたくさんの観光客が訪れているマニラのサン・アグスティン教会などは、その時によって変更や追記がされていますので、教会へ入る前に確認してください。

また、短いスカ-トや大胆に肌を露出した服装は厳禁とされています。博物館になっている聖堂内では、撮影が規制されている展示品もありますので、どちらも入る事前に確認しましょう。

◎まとめ

フィリピンは、今もスペイン文化がたくさん残っている国です。普段の会話でも現地のタガ口グ語にスペイン語が混じり合って、生活のひとつとなっています。世界遺産に登録された4つの教会も、スペイン・バ口ックを基調としつつも、フィリピンの土地の事情に合わせてとても頑丈かつ実用的に造られています。写真で見ても迫力がありますが、ぜひフィリピンで実物の世界遺産に触れてみてください。

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