名称:Bolgar Historical and Archaeological Complex
住所:Bolgar, Spassky District, Republic of Tatarstan
公式・関連サイトURL:http://whc.unesco.org/en/list/981(世界遺産)
ロシア・タタールスタン共和国にあるブルガールは、7世紀から15世紀の間ヴォルガ・ブルガール王国の首都でありました。この地に住んでいた人々は自分たちの記録をあまり残さず、大半がトュルク系の民族だったのではないかと推測されています。現在のタタールスタン共和国にはテュルク系民族で最大規模のタタール人という民族が暮らし、その多くがイスラム教徒です。タタールスタン共和国の世界遺産があるブルガールはボルガ川沿いに位置し、歴史深いイスラム建築が残ります。その世界遺産ブルガール遺跡を紹介しましょう。
目次
ロシア・タタールスタンのイスラム教徒巡礼地!世界遺産ブルガール遺跡
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ブルガールの歴史的考古学的遺跡群とは?
ブルガールの歴史的考古学的遺跡群は、ロシアで一番新しく2014年に世界遺産として登録されました。タタールスタン共和国の首都カザン南部にあるブルガールには、ヴォルガ・ブルガール人が築いた貴重な遺跡群があります。聖地メッカまで行くことができないムスリムたちはこのブルガールへ巡礼に訪れ、周辺地域のイスラム教の中心地となりました。
ロシア正教への強制改宗の時代もありましたが、やがてエカテリーナ2世によって改善されます。古の時代から現在までイスラム教の精神的支柱という重要な場所であり、現在もそれに変わりはありません。
さらにこのブルガールの地は交易の中心でもあったので、民族や宗教は多様性でありました。それは今にも引き継がれ、モスクや教会が共存する貴重な文化として世界遺産に登録が認められたのです。
アクセス
まずはタタールスタン共和国の首都であるカザンへ。飛行機で1時間半、電車で12時間から15時間です。カザンからは車で2時間40分、船で3時間ほど。川が凍る冬には船が運行できないので、注意しましょう。
おすすめポイント①:カテドラル・モスク
ブルガールの世界遺産にあるカテドラル・モスクはジョチ・ウルス時代の13世紀に建設され、白いモスクという別名を持ちます。その名の通り白く美しいモスクは建立された当時の原型をとどめているのは一部で、14世紀に入って内装も含め大規模な改修工事が行われています。拝殿は6つの会衆席に分けられ、ドアや窓は切り開かれ、両端には塔が追加されました。
このブルガールのモスクは様々な地方の建築様式を取り入れ、地元である中央アジアの気候にも合わせてあります。白亜のモスクは外観だけでなく内装も見事で、中東からの巡礼者も増えているブルガールの世界遺産です。
おすすめポイント②:白の館
こちらもブルガールの世界遺産の一つ、白の館は石灰岩で作られたことから名付けられました。公衆浴場として利用され、中にはメインホールやクローク、いくつかの浴室などがあります。当時ブルガールを含め東洋の多くの場所で公衆浴場とは社交場としての役割もありました。ビジネス上の取引が行われたり、契約が締結される場所でもあったんですよ。さらに白の館はジョチ・ウルス時代のブルガール建築の傑作とされていますので、ぜひ訪れたい場所です。
おすすめポイント③:生神女就寝聖堂
ブルガールの世界遺産で3つ目にご紹介するのが生神女就寝聖堂です。ブルガールはタタール人ムスリムのメッカとされる場所ですが、18世紀にはロシア正教の修道院が置かれていた時期があり、生神女就寝聖堂は当時の名残で唯一現存する建物です。
聖堂はブルガールの遺跡の石を使って建てられました。地下にある墓の記念碑はアラブやアルメニアの墓石を使って作られた貴重なもの。聖堂は地域的な要素を取り入れたバロック様式で、当時流行していた「八角形の上に八角形」という形式で作られました。職人はすでにあったミナレットと霊廟のあるモスクの外観に合うように建設したんですよ。現在はブルガール周辺の歴史博物館として利用されていますので、世界遺産観光と合わせて見学してくださいね。
◎まとめ
ロシアで最も新しいブルガールの世界遺産。他にモスクワ、サンクトペテルブルク、バイカル湖などロシアの世界遺産にはメジャーな場所も多いので、なかなかブルガールまで足を伸ばす方はいらっしゃらないかもしれません。しかし、タタールスタン共和国のカザンから日帰り観光が可能なので、機会があればぜひ立ち寄ってみてくださいね。