名称:パンタナル自然保護地域(Pantanal Conservation Area)
公式・関連サイトURL: https://whc.unesco.org/en/list/999
南米大陸のほぼ中心に、世界最大級の淡水湿地帯があります。それが「パンタナル」。ブラジル南西部を主に、パラグアイとボリビアの3か国にまたがる広大な熱帯性大湿原地で、そのわずか1%ほどにあたる約18万平方キロメートルの自然保護区が「パンタナル自然保護地域」として世界自然遺産に登録されています。
パンタナルは、海抜約80m~150mほどの巨大な沖積平原。一年中水に浸かることがない台地や、常に水をたたえる湖沼などもありながら、乾季に草原だったところが雨季には湿地へと姿を変えます。平原の80%以上が水没し、地球上で最も水量が多い大湿地となるのです。
パンタナルにはワニやジャガー、カピバラ、バク、ピラニアなどの野生動物や魚類、鳥類が生息。そんな多種多様な生物の楽園、魅力いっぱいのパンタナル自然保護地域をご紹介しましょう。
目次
世界最大級の大湿原へと姿を変える世界遺産パンタナル自然保護地域
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パンタナル自然保護地域とは?
パンタナルはピキリ川を境に、北側のマット・グロッソ州エリアを「北パンタナル」、南側のマット・グロッソ・スウ州エリアを「南パンタナル」と呼んでいます。
雨季に降った雨は、クイアバ川とパラグアイ川の上流域である北パンタナルから南パンタナルへ流れ、緩やかな傾斜がある淡水湿原の水位をゆっくりと上げていきます。大湿地帯パンタナルには300種以上の魚類、700種以上の鳥類、150種以上の哺乳類など多種多様な生物が生息しているといわれており、2000年に世界自然遺産として登録されました。
パンタナルの総面積は、本州の約85%を占めるほど広大です。しかし世界遺産に登録されているのは、全体のわずか1%ほど。驚くことにほとんどが私有地で、牧場のオーナーなどがホテルやロッジを経営しています。
パンタナルの雨季は12月~2月ですが、最も水位が高くなるのは5~6月。一般的なベストシーズンは7~10月頃とされていますが、季節ごとに見られる景色や目的が異なります。ぜひいろんな時期にパンタナルへ訪れ、手つかずの大自然や動物ウォッチングを楽しんでくださいね。
パンタナル自然保護地域へのアクセス
日本からブラジルへの直行便はありません。アメリカや中東、ヨーロッパなどを経由して、まずサンパウロのグアルーリョス国際空港(GRU)へ移動し、国内線に乗り換えます。北パンタナルはクイアバのマレシャウ・ロンドン国際空港(CGB)、南パンタナルはカンポ・グランデ国際空港(CGR)。両空港ともサンパウロから国内線で2時間あまりのフライトで到着します。
北パンタナルの観光は、クイアバから車で約1時間半ほどのポコネーという街を起点に「トランスパンタナル」という道路を利用します。トランスパンタナルはポコネーからポルト・ジョフレまで約145km続く、乾季のみ通行可能なパンタナルの縦断道路です。
パンタナルのおすすめ①:ギマラエス高原
パンタナル湿原へ行く前に、クイアバから約60km北東に位置するギマラエス高原へ行ってみましょう。
ギマラエス高原は、北パンタナルを代表する観光スポットのひとつ。テーブルマウンテンと断崖絶壁、「花嫁の滝」と呼ばれる落差約80mの滝など、ギアナ高地を彷彿とさせる景勝地です。ここでは、大パノラマの眺望やトレッキング、洞窟探検などを楽しめますよ。
パンタナルのおすすめ②:アクティビティ
パンタナルに行くなら、ジャガーとワニは必見!サファリカーやボート、馬などのアクティビティツアーで、ジャガーとワニをはじめとするパンタナルの野生動物や鳥類を満喫しましょう。
パンタナルには多くの魚がいて、300万頭ともいわれるワニが生息。そして、そのワニを主食にしているジャガーがいます。ワニを捕えるため、ジャガーは川にも入るんですよ!魚を食べるワニ、ワニを食べるジャガー。食物連鎖の様子を目の当たりにできるかもしれません。
サファリカーで行けない森の中は、乗馬で観光。川や湖沼はボートやカヌーに乗って、鳥類や動物たちを観察します。ナイトサファリではピューマやオオカミ、カピバラ、オオアリクイに出会えるかも。
パンタナルに来たなら、様々な水鳥やワニが見られるボートでの観光がはずせません。釣りもおすすめで、黄金の巨大魚「ドラード」などが釣れますよ。さらに、ここには三角形の鋭い歯が特徴のピラニアもいます。ちょっと怖いかもしれませんが、ピラニア釣りは入れ食い状態で楽しいので、ぜひ挑戦してみてくださいね。
パンタナルのおすすめ③:宿泊施設
◆サウスワイルド・パンタナル・ロッジ
「サウスワイルド・パンタナル・ロッジ(SouthWild Pantanal Lodge)」は、ポコネーとポルト・ジョフレの中間あたりにあるエコロッジ。動物観察やバードウォッチングするのに絶好のロケーションです。
◆ファゼンダサンフランシスコ
「ファゼンダ・サンフランシスコ(Fazenda San Francisco)」は、壮大な土地で米を生産、牛を飼育している牧場主が経営するロッジ。 パンタナルのパノラマビューを楽しめる塔や多くのトレイルは、野生動物や鳥類を観察するのに理想的な場所です。
乗馬やカヌー、日中のサファリツアーはもちろんのこと、夜のナイトサファリも充実。ボートツアーや自然観察ハイキングなど、世界遺産を楽しむツアーが満載です。
◆ポウサダ・アグアペ
アキダウアナ川の緑豊かな川沿いの森に囲まれた「ポウサダ・アグアペ(Pousada Aguape)」では、パンタナル地域をクローズアップし自然の美しさを体感できます。
滞在中は 乗馬、ボート、ピラニア釣り、トレッキング、バードウォッチング、フォトサファリなどさまざまなツアーに参加してみましょう。ケイマンの夜行鑑賞、豊富な野生生物の探索や、季節や気候にあわせたユニークなツアーへ、地元のベテランガイドが案内してくれます。
◎まとめ
世界最大の淡水湿地、パンタナルをご紹介しました。非常にまれで絶滅のおそれのある動物、多種多様な生態がパンタナル保全地域をより魅力的なものにしています。また、空港からの送迎を行ったり、多くのツアーを組んでいる宿泊ロッジもあります。ぜひツアーに参加して世界遺産のパンタナル自然保護地域を満喫してくださいね。