名称:Tyre
住所:Sur, Lebanon
公式・関連サイトURL:http://whc.unesco.org/en/list/299
数奇な歴史を持つ国、レバノン。中東にありながら砂漠を有さず、古代から重要な交易地として栄えました。多くの人々が行き交ったこの地の流れは現在にも引継ぎ、レバノンではアラブ民族がほとんどにも拘わらずキリスト教徒が4割もいます。古代遺跡が多く残るレバノンには世界遺産も多く、「ティール」もその一つ。このティールの一部は海に沈んでしまいましたが、現在でもローマ帝国時代の遺跡を見ることができます。今回はそんなレバノンの世界遺産ティールを紹介しましょう。
目次
美しい地中海を臨むレバノンの世界遺産、ティールで悠久の時を感じよう!
ティールとは?
海上貿易によって地中海で最も栄えたフェニキア人の都市が、レバノンのこの地、ティールに築かれました。同じくレバノンの世界遺産であるビブロスと同じ時代、フェニキア時代まで遡ることがエジプトに残る記録から分かっています。しかし現在残っているのはローマ時代とビザンチン時代の遺跡で、凱旋門や道路跡、公衆浴場、競技場、ネクロポリスなどが見られます。
世界遺産であるティールはレバノンのほかの都市と同様に、レバノン杉の輸出などで栄えました。紀元前11世紀から9世紀に最盛期を迎えますが、他の勢力と幾度となく衝突し、最終的にはマケドニアのアレクサンドロス3世に落とされてしまいました。その後再建を試みますがかつての栄光は程遠く、ローマ帝国やウマイヤ朝などに支配されます。それでも今も見られる遺跡は、イタリアに残る遺構と比べても素晴らしいものばかりです。
世界遺産ティールへのアクセス
世界遺産ティールがあるスールという町へ行くには、ベイルートからミニバスを乗り継いでアクセスすることが可能です。途中でサイダという町で乗り継ぎ、ティールで下車しましょう。タクシーやレンタカーで向かう場合、1時間15分ほどかかります。
地中海をバックに観る世界遺産
世界遺産ティールは小さな町にある遺跡で、規模はあまり大きくはありません。しかし遺跡の背景には美しい地中海が広がり、その光景は一見の価値があります。イタリアに残るローマ帝国の遺跡に勝ると言われるほどの世界遺産には、通りに並ぶ列柱やそれを跨ぐ凱旋門、メドゥーサが施された石棺、モザイクなど見ることができますよ。
世界遺産があるスールには美しいビーチがありますが、遺跡から海を背にすると発展した町がすぐそばに見えます。古代の世界遺産にすぐせまる近代化の光景は残念だという声もありますが、古代から現代まで人間が生活している様子が感慨深いとも言えますね。
◎まとめ
レバノンにある世界遺産、ティールをご紹介しました。中東にありながらその歴史や立地で独特の文化に発展したレバノンは、地中海のビーチも美しく、ぜひ一度は行ってみたいですよね。しかし残念ながら現在、世界遺産ティールがあるスール周辺は外務省の海外安全情報でレベル3に分類されています。悲しいことにこの周辺はまだまだ安全とは言えません。今は渡航できませんが、治安が回復し、安心して観光できる日が来ることを願うばかりです。