パキスタンの世界遺産タキシラ、ガンダーラ最大の古代都市の魅力とは

パキスタンの世界遺産タキシラ、ガンダーラ最大の古代都市の魅力とは

パキスタンの首都イスラマバードから車で1時間ほどにある世界遺産タキシラ。ここは紀元前4世紀頃から栄えたガンダーラ最大の都市であり、異なる時代に作られた3つの都市遺跡がユネスコの世界遺産に登録されています。また、ガンダーラ最古のダルマラージカー寺院もこちらの世界遺産の一つに含まれています。ここは古代、東西の交流地として重要なポイントだった場所。今回はこの世界遺産タキシラを詳しく紹介します。

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パキスタンの世界遺産タキシラ、ガンダーラ最大の古代都市の魅力とは

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タキシラとは

タキシラはパキスタンのパンジャーブ州にあるガンダーラ最大の都市遺跡。ガンダーラとは、現在のアフガニスタンからパキスタンにかけて存在していた古代国家です。紀元前4世紀のアレキサンダー大王の東征時には、タキシラはすでに都市国家が形成されていたと言われています。

この世界遺産タキシラの遺跡では、約1000年の歴史を見ることができます。各地を結ぶ交易路の交差地点だったので、ヒンドゥー教や仏教の重要な場所であり、政治・経済においても重要な都市でした。現在のタキシラでは仏教遺跡などが残り、名高いガンダーラ美術の出土品が数多く見つかっています。パキスタンの首都イスラマバードからもほど近く、日帰りできるとして人気の世界遺産です。

タキシラへのアクセス

首都イスラマバード/ラワルピンディから40kmほどと近く、気軽に日帰りで訪問できる遺跡です。 車で1時間ほどの距離なので、タクシーをチャーターするなど車で回るといいでしょう。

タキシラのおすすめポイント①: シルカップ

出典: www.istockphoto.com

世界遺産に含まれるシルカップは、紀元前2世紀に現在のアフガニスタン北部にあったバクトリアのギリシャ人が築いた都市。サカ、パルティア、クシャーン朝時代を通して6世紀まで栄えました。シルカップは紀元前4世紀のギリシャ以前の都市から、クシャン朝まで7層の都市跡で構成されていることが分かっています。その中で地上に現れている層は、主に上から2層目のパルティア時代のもの。

シルカップの都市は南北にメインストリートが貫き、碁盤の目のように広がっています。メインストリート沿いには商店が並び、町の中央には仏教寺院やジャイナ教の寺院、そして町の南部には王宮があります。特に双頭の鷲のレリーフが施されたストゥーパは必見。インド、イラン、ギリシャ3つの文化が合わさったガンダーラを象徴しているかのような遺構です。さらに遺跡の近くにはタキシラ博物館があり、世界遺産タキシラ一帯で発掘された出土品やレリーフなどはほとんどこちらで見ることができますよ。

タキシラのおすすめポイント②: ビール・マウンド

出典: commons.wikimedia.org

世界遺産を構成する遺構の一つ、ビール・マウンド。このビール・マウンドは世界遺産タキシラで最古の遺跡であり、最下層はアケメネス朝ペルシャ期に築かれたものとされています。他にもインド・マウリヤ朝時代など、全部で4つの層から形成されています。その後バクトリア時代にシルカップが建設されたため、ビール・マウンドは放棄されました。

同じく世界遺産タキシラを構成するシルカップとの違いは、整然とした都市計画の跡がなく「混雑した丘」と呼ばれていることです。シルカップは碁盤の目のような都市計画が見てとれますが、ビール・マウンドは無計画に道が広がっています。さらにあのアレクサンダー大王も、このビール・マウンドに訪れたという逸話も残っているんですよ。

タキシラのおすすめポイント③:シルスフと仏像群

出典: Guilhem Vellut

シルスフはクシャーナ朝時代に建造された中央アジア風の都城で、世界遺産タキシラ第3の都市でありながら規模は最大の周囲約5kmに及びます。しかしその発掘は南東の一部だけしか行われていません。他にも注目すべきガンダーラ最古の仏教遺跡、ダルマラージカー寺院も貴重な世界遺産。紀元前3世紀にマウリヤ朝アショカ王は仏舎利を8つの寺院に分院し、世界遺産であるダルマラージカー寺院はその一つなんですよ。メインのストゥーパの周りに小さなストゥーパ群や祠堂があります。

さらにタキシラの町を一望できる丘の上には、ジョーリヤーンという山岳仏教寺院があります。僧侶の暮らした僧院やストゥーパがあり、ストゥーパの基壇にある美しいストゥッコ(化粧漆喰)の装飾は必見です。土台には建物を支えるギリシャ神話のアトラスの姿がはっきりと残っていて、アジアの東西の交流の跡を見ることができます。また僧院区には、美しく積み重ねられた壁が当時の姿のまま残されています。

◎まとめ

ギリシャの青年王アレキサンダーは、世界を征服した後現在のパキスタンで亡くなりました。その兵士の子孫たちが、世界遺産となったタキシラに町を築いたと言われています。当時パキスタンには仏像崇拝はなく、仏教徒に実像としての仏像造りを教えたのもその末裔だそうですよ。

しかし世界遺産タキシラがあるエリアは現在、外務省の海外安全情報でレベル2に分類されています。以前より治安がよくなったとはいえ、パキスタン国内ではレベル4に分類されているエリアもあるのでしばらく渡航は控えた方が良いでしょう。

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