名称:Baalbek
住所:Baalbek, Lebanon
公式・関連サイトURL:http://whc.unesco.org/en/list/294
レバノン東部にある世界遺産「バールベック」は、中東三大遺跡の1つに数えられている遺跡です。もともとはレバノン周辺を基盤として発展したフェニキア人の神域だったと考えられていますが、現在目にする建造物の多くはローマ時代のもの。ローマ、あるいはギリシャらしいエンタシスの巨大な柱が建ち並ぶ壮大な神殿遺跡となっています。
世界にローマ時代の遺跡は数あれど、バールベックの神殿はそれらのなかでもとくに規模が大きく立派なもの。この記事では、1984年に登録された世界遺産バールベックの魅力についてご紹介しましょう。
目次
中東三大遺跡のひとつ!壮大で美しいレバノンの世界遺産バールベック
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バールベックとは?
バールベックとは「ベカー高原のバアル」という意味。バアルはフェニキア人をはじめカナン地域で広く信仰されていた神で、フェニキアの植民市カルタゴでは主神とされていました。
その後1世紀ごろに、ローマ帝国によってビーナスの神殿が建てられたと考えられています。ビーナスは今日では美の女神という側面が強いですが、ローマにおいては建国の祖アイネイアスの母として信仰を集めていました。2~3世紀には主神ジュピターと酒神バッカスの神殿が建立され、3つの神殿はギリシャのパルテノン神殿よりも大きいとされています。
4世紀前半にローマ皇帝コンスタンティヌス1世がキリスト教の洗礼を受けると、バールベックの神殿も教会に改められ、一部は破壊されました。7世紀には新興のイスラーム勢力に占領され、以後は要塞として利用されるようになりました。
バールベックへのアクセス
レバノンの首都ベイルートの「コーラ・バスターミナル」から、バールベック行きの乗合バスが出ています。バールベックまでは約3時間です。
日本からベイルートのラフィク・ハリリ国際空港への直行便はありません。イスタンブールやドバイ、アブダビなどを経由する必要があります。
バールベックのおすすめポイント①:ジュピター神殿
雄々しく建ち並ぶジュピター神殿の6本の大列柱は、バールベックのシンボル!高さはなんと22mもあります。その規模は、中東三大遺跡の1つ、シリアのパルミラよりも大きいとされています。
当時は直径2.5mの柱が長さ85m・幅47mの基壇に54本並び、祭壇全体を支えていました。8世紀頃の大地震によって神殿の大部分が崩壊し、現在の6本だけが残りました。それでも下から柱列を見上げると、そのスケールには圧倒されるでしょう。
バールベックのおすすめポイント②:バッカス神殿
出典: Homo Cosmocos / PIXTA(ピクスタ)
世界遺産バールベックの建物のなかで、最も保存状態が良いのがバッカス神殿です。バッカス神殿は内部に入ることもでき、当時使われていた祭壇も見ることができます。天井や柱のギリシャ様式の装飾も美しく、見ごたえがあります。バッカスは酒の神ですが、シリアの豊饒の神アシタロテとアタルガテスも併せて祀られていました。
バッカス神殿は高さが28m、幅は34m、奥行きは69mあります。これは、アテネのパルテノン神殿を遥かに超える大きさ!入口に立つ人が豆粒ほどにしか見えないほどの規模なんですよ。ぜひ実際にバールベックを訪れて、そのスケールを実感してみてください。
バールベックのおすすめポイント③:バールベックの巨石
世界遺産バールベックには、「トリリトン」(驚異の三石)と呼ばれる巨石のオーパーツがあります。ジュピター神殿の土台に使われている3つの組み石で、長さは約18m、高さと幅は約4m、重さは650~970トンにもなります。
建築物に使われた加工石材としては世界最大級で、いったいどうやって運んだのかは大きな謎。バールベックを訪れたら、オーパーツに分類されるほどの巨石をぜひ目の当たりにして、古代の謎に挑んでみてください。
◎まとめ
シリアに隣接するバールベック周辺には、2018年現在外務省の海外危険情報レベル2が発令されています。以前に比べれば、外国人の誘拐事件などの発生件数は大きく減っており、治安は回復傾向にあります。
ですが、危険が去ったわけではありません。レバノンを訪れる際には常に最新の情報を得るようにし、万全の安全対策を講じてから行くようにしましょう。