【世界遺産】スイスの活発な地殻変動地域サルドナ「サルドーナ地殻変動地帯」

【世界遺産】スイスの活発な地殻変動地域サルドナ「サルドーナ地殻変動地帯」

スイスの北西部に広がるグラールスアルプス。3000m級の山々が連なるこの一帯は「サルドーナ地殻変動地帯」と呼ばれ、地質学の進歩に多大な影響を与えてきました。というのも、サルドーナ地殻変動地帯では古い地層が新しい地層の上に押し上げられてできる「衝上断層」が見られるからです。

サルドーナ地殻変動地帯は18世紀以降多くの地質学者によって研究され、現在の地球科学の学説である「プレートテクニクス理論」を説明する上での重要な資料として、2008年に世界遺産に登録されました。今回は、スイスの世界遺産「サルドーナ地殻変動地帯」の見どころをご紹介します。

目次

【世界遺産】スイスの活発な地殻変動地域サルドナ「サルドーナ地殻変動地帯」

スイスの活発な地殻変動地域サルドナ「サルドーナ地殻変動地帯」とは?

スイスの活発な地殻変動地域サルドナ(世界遺産)

サルドーナ地殻変動地帯は、通称グラールスアルプスとも呼ばれています。スイス北西部にある山岳地帯で、グラールス州、ザンクトガレン州、グラウビュンデン州の3つの州にまたがり、スルゼルヴァ渓谷、リント谷、ヴァーレン湖に囲まれた328.5平方キロメートルに渡って広がっています。

地質学の研究をするうえで、重要な意味を持つサルドーナ地殻変動地帯。ここは、プレート同士の衝突により、約2億5000万年から3億万年前のベルム紀の古い地層が約3500万年から5000万年前の新しい地層の上に押し上げられている「衝上断層」が観察しやすく、壮大な地球の造山活動の歴史を見ることができる場所です。

スイスの活発な地殻変動地域サルドナ(世界遺産)

衝上断層自体は世界各地で見られそれほど珍しいものではありませんが、このスイスのサルドーナ地殻変動地帯ほど広範囲にわたって目視で確認できる場所は少ないため、地質学研究において非常に重要な場所とされています。

新しい地層の上に古い地層が重なる現象は長い間謎に包まれており、18世紀以降多くの地質学者によって研究されてきました。現在通説になっている「プレートテクニクス理論」にもサルドーナ地殻変動地帯の研究が大きく影響を与えました。

サルドーナ地殻変動地帯へのアクセス

ザンクト・ガレン(スイス)

サルドーナ地殻変動地帯はいくつかの地点から観測可能です。今回は3か所、スイスの観光拠点にもなるチューリッヒからのアクセスをご案内します。

・西側のエルム(Elm)
チューリッヒから電車でシュワンデン(Schwanden)まで行き、路線バス#541に乗り換え。所要時間約1時間45分。

・東側のフリムス(Flims)
チューリッヒから電車でクール(Chur)のPostautostationまで行き、路線バス#81に乗り換え。所要時間約2時間。

・北側のザルガンス(Sargans)
チューリッヒからクール(Chur)行きの電車で約1時間。

サルドーナ地殻変動地帯のおすすめポイント①:マーティンの穴(Martinsloch)

マーティンの穴(スイスの活発な地殻変動地域サルドナ)

「マーティンの穴」は、世界遺産サルドーナ地殻変動地帯の岩山チンゲルホルン山にぽっかりと開いた穴。大きさは高さ17m×幅19mほどで、山のふもとにあるエルム村から望むことが可能です。

またこのマーティンの穴をもっと近くで見たい!という方は、フィルストボーデンのビューポイントへ行くのがおすすめです。フィルストボーデンまではエルム村からハイキングで4時間ほど。道中はフェンスもなく険しい道が続くのでしっかりと装備を整えましょう。

またエルムからロープウェイで1480mの地点まで上ることができるので、歩くのに自身がないという方はロープウェイがおすすめです。

マーティンの穴(スイスの活発な地殻変動地域サルドナ)

出典: By Kanton Glarus, Samuel Trümpy Photography - https://www.flickr.com/photos/129465526@N06/19308305540/, CC BY 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=41739680 (CC BY 2.0)

年に2回穴を通して朝日が差し込み、村の教会の塔を照らすことでも知られるチンゲルホルン山は、聖なる山とも呼ばれています。穴と教会を結ぶ直線状に太陽の軌道が重なる現象で、毎年春分と秋分の8日前に起こるそうです。なんとも神秘的な現象ですね。

サルドーナ地殻変動地帯のおすすめポイント②:ヴァーレン湖(Walensee)

ヴァーレン湖(サルドーナ地殻変動地帯)

サルドーナ地殻変動地帯の北側に位置するヴァーレン湖(Walensee)は、チューリッヒから電車で1時間ほどの場所にあります。湖の南側には2000m越えの切り立った岸壁があり、岩壁に囲まれた壮大な美しい眺めが印象的な湖です。

チューリッヒとクールをつなぐ電車の車窓からは、青く輝くヴァーレン湖とサルドーナ地殻変動地帯を一緒に見ることができ、なんとも贅沢な列車の旅になること間違いなしです。

ヴァーレン湖畔にはハイキングコースも整備されているので、春夏のシーズンには雄大な景色を楽しみながらハイキングを楽しむのもおすすめ。夏には湖で泳ぐこともできる観光リゾート地にもなっています。

◎世界遺産「サルドーナ地殻変動地帯」まとめ

スイスの活発な地殻変動地域サルドナ(世界遺産)

スイスの世界遺産「サルドーナ地殻変動地帯」はガイドブックにもあまり載っていないスポットですが、地質学の進歩において重要な意味を持つ世界遺産でしたね。こんな大自然の中でハイキングをしてみたい!と思った方もいるのではないでしょうか?ダイナミックな世界遺産を眺めながら、地球の歴史を感じてみたいですね!

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