ルーマニアの誇り!世界遺産「オラシュチエ山脈のダキア人要塞群」

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ルーマニアの誇り!世界遺産「オラシュチエ山脈のダキア人要塞群」

ドラキュラで有名な東欧の国ルーマニア。この国の名前の由来を知っていますか?ルーマニア語で「Romania(ロマニア)」と呼ばれ、実はローマ人の国という意味なんです。

ですが、現在のルーマニア地域にローマ人が入ってきたのは紀元後2世紀以降のこと。それ以前には、ダキア人と呼ばれるトラキア系の民族が住んでいました。世界遺産「オラシュチエ山脈のダキア人の要塞群」は、ダキア征服を目論むローマ帝国と戦うために築かれた古代の城砦群です。

残念ながら最後には圧倒的な軍事力の差によりローマに屈してしまいましたが、その際の要塞群が世界遺産として残っています。ダキア人の残した世界遺産の城砦は、ルーマニアの歴史や文化をひも解くうえでとても貴重な遺跡となっています。

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ルーマニアの誇り!世界遺産「オラシュチエ山脈のダキア人要塞群」

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オラシュチエ山脈のダキア人の要塞群とは?

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オラシュチエ山脈は、ルーマニア中西部トランシルヴァニア地方にある緑豊かなところ。この山岳地帯には、紀元前1世紀ごろから建造されはじめたとみられている6つの要塞跡(サルミゼゲトゥサ、コステシュティ、ブリダル、ピアトラ・ロシエ、カプルナ、ヴァニツェ)が残っています。

これらの城砦は「ムルス・ダキクス」と呼ばれるダキア人特有の建築技法によって築かれています。ムルス・ダキクスの城壁は、2つ石壁の間をセメントや粘土で埋めて固めているのが特徴で、ローマ軍の攻城兵器の衝撃を拡散させることができたと考えられています。

西暦101年、ローマ帝国の皇帝トラヤヌスがダキア戦争を起こすと、106年にダキア王国は滅ぼされてしまいます。その後はダキアのローマ化が進められ、ダキアの優れた建築技術は埋もれてしまうことになりました。

オラシュチエ山脈のダキア人の要塞群へのアクセス

オラシュチエ山脈のダキア人の要塞群観光の拠点となるのは、ルーマニア中部の都市シビウです。シビウまでは、ウィーンやミュンヘン、シュトゥットガルトなどから飛行機で行くことができます。ルーマニアの首都ブカレストからの国内便はないので注意してください。鉄道ならブカレストから6時間ほどです。

シビウからは、レンタカーやタクシーなどで2時間ほどで、最も保存状態の良いサルミゼゲトゥサの要塞に行くことができます。複数の要塞跡を効率よく回るには、ツアーに参加した方がよいでしょう。

要塞はいずれも山深いところにあるので、公共交通機関で回るのは困難です。ただコステシュティの村までバスで行けば、コステシュティとブリダルの2つの砦跡へはハイキング程度で登れるほか、麓には宿泊施設も点在しています。

オラシュチエ山脈のダキア人の要塞群のお薦めポイント①:サルミゼゲトゥサ

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オラシュチェ山脈の山の1つ、高さ1200mのグラディシュテ山頂に建設された「サルミゼゲトゥサ」。ここはただの城砦ではなく、ダキア王国の首都にして、政治・経済・宗教の中心地でした。紀元前1世紀にダキアを初めて統一したダキア王ブレビスタによって建築され、3万平方メートルの遺跡にはダキア王国の技術力の高さを示すさまざまな施設の跡が認められます。

中心から少しはずれた畑のなかには6つもの神殿があり、ダキア人の居住区には水道網なども設備されていたことが明らかとなっています。2000年も前に、千メートル級の山の上にそのような都市インフラを整えていたダキア人の技術力には感服ですね!

最終的にはローマ帝国に破壊され、現在は要塞の石組と基壇しか残っていません。オラシュチェ山脈のなかに放置され荒れ果てていましたが、現在は世界遺産の史跡公園として整備されています。

オラシュチエ山脈のダキア人の要塞群のお薦めポイント②:コステシュティとブリダル

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オラスティエ川沿いの谷あいの村コステュティの背後には、コステシュティとブリダルの2つの城塞があります。サルミゼゲトゥサへのルートを押さえる要衝にあり、都市機能よりも純粋な防衛拠点としての意味合いの強い砦です。

いずれも、きれいな四角形の石が整然と積まれた城壁や建物の基壇などが残っていて、こちらもダキア人の建築技術をうかがいしるには十分な遺跡といえます。ステシュティ砦の方は山上まで車道が通じていますが、ブリダル砦の方は麓からちょっとした山登りになります。どちらもきちんと整備されているので、道中の心配もいりませんよ。

前述のとおり麓には宿泊施設がいくつかあるほか、観光案内所もあります。この村で一泊してからサルミゼゲトゥサへ向かうというのもアリですよ。

オラシュチエ山脈のダキア人の要塞群お薦めポイント③:カプルナ

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シビウからもっとも近い世界遺産の要塞跡が、セベシュ川沿いのカプルナ砦です。こちらももちろん山の上にあり、裏側からぐるっと回って登りますが、そこまでたいへんな道のりではありません。ただし、麓には簡易宿泊施設が1つあるだけでバスも通っていないので、訪れるにはタクシーかレンタカーが必要です。

こちらは前出の3か所に比べて公園整備化はそこまでされていないので、リアルな遺跡感が好きな人にはオススメです。朽ちて崩れた城壁を目にすれば、2000年前にここで繰り広げられたローマ対ダキアの戦いの歴史を思い浮かべることができるでしょう。

オラシュチエ山脈のダキア人の要塞群を訪れる際の注意点

オラシュチェ山脈にあるダキア人の要塞は、どれも山の中の不便な場所にあります。バスや電車などはほとんど通っていないので、レンタカーやタクシーなどを利用する必要があります。

それでも、山の中を歩くため、地図だけではなく衛星ナビなどを用意しておくことをおすすめします。また、舗装されていない道を通ることもあるので、服装や靴などの装備も最低限整えておきましょう。

◎まとめ

ルーマニアの世界遺産「オラシュチエ山脈のダキア人の要塞群」についてご紹介しました。世界遺産に登録されている6つの要塞のうち、①と②で挙げた3か所については、観光スポットとして史跡公園化されています。

その他の3か所については、外国人観光客を受け入れるだけの整備はされていません。初めて訪ねる場合は、ダキア王国の都でもあったサルミゼゲトゥサを中心に、余裕があればコステシュティとブリダルにも足を延ばすというくらいがちょうど良いでしょう。

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