名称:ベルギーとフランスの鐘楼群(Belfries of Belgium and France)
公式・関連サイトURL:https://whc.unesco.org/en/list/943
世界遺産「ベルギーとフランスの鐘楼群」は、全部で56もの鐘楼で構成されています。ベルギーのフランドル地方とワロン地方に33か所、そしてフランス北部のノール=パ・ド・カレー地域圏、ピカルディー地域圏に23の構成資産があります。
広範囲に渡って世界遺産の建物が点在しているため、すべてを見てまわるのは難しいかもしれません。ですが、どの鐘楼もそれぞれ特徴的で一見の価値があるものばかり!気になるものをピックアップして訪れてみてください。
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世界遺産「ベルギーとフランスの鐘楼群」とは?
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ベルギーとフランスの鐘楼群とは?
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フランスとベルギーにまたがる世界遺産「ベルギーとフランスの鐘楼群」は、まず1999年にベルギーのフランドル地方とワロン地方にある32の鐘楼が登録され、2005年に追加という形でフランスのノール・パ・ド・カレ地方とピカルディ地方の23の鐘楼群と、ベルギーのガンブルー(ジャンブルー)の鐘楼が1つ登録されました。
合計56もの鐘楼からなる複合世界遺産です。他方で、ベルギーの首都ブリュッセル市庁舎の鐘楼については、「ブリュッセルのグランプラス」が世界遺産登録されたため、重複を避けて鐘楼群の登録からは解除されています。
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中世の街並みにふれられることは、ヨーロッパの旅の大きな魅力です。城壁に囲まれた旧市街の中心には大きな広場があり、街で一番大切な教会や市庁舎があります。
その広場にもう1つなくてはならないのが鐘楼!市庁舎の塔であったり、教会の鐘楼であったりしますが、旧市街で一番高い建物としてたいていは上まで登れて、旧市街の町並みを一望できます。
とくに北ヨーロッパでは都市の権力の象徴として、そして自由の象徴として鐘楼の建設が重要視されてきました。世界遺産登録されたこれらの鐘楼は、11~17世紀にかけて建設されたもので、その建築様式はゴシック、ルネッサンス、バロックと時代によってさまざまです。
「ベルギーとフランスの鐘楼群」へのアクセス
鐘楼のある主な都市へのアクセスは次の通りです。
◆ベルギー
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ブルージュ:ブリュッセルから列車で1時間10分。
アントウェルペン(アントワープ):ブリュッセルから列車で40分。
ヘント:ブリュッセルから列車で30分。
◆フランス
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フランス北部の世界遺産の鐘楼群をめぐるには、リールを拠点とするのがオススメです。フランスからのTGVおよびイギリスからのユーロスターが発着するほか、ベルギーの首都ブリュッセルにも容易にアクセスできます。
パリのシャルル・ド・ゴール国際空港からリールまでは約1時間。ブリュッセルからは約40分で、ロンドンからでも2時間弱ほどで到着できます。
ベルギーとフランスの鐘楼群おすすめポイント①:ブルッヘの鐘楼【ベルギー】
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美しい運河の街ブルージュのシンボルともいえるのが、旧市街のマルクト広場に建つ「ブルッヘの鐘楼(ブルージュの鐘楼)」です。13世紀に基礎部分がつくられはじめ、完成したのは15世紀。高さ約83mの鐘楼のてっぺんには47個のカリヨン(組み鐘)があり、その音色の美しさはヨーロッパ随一ともいわれています。
366段の螺旋階段を登りきると、別個に世界遺産に登録されているブルージュの歴史地区が一望できますよ!
天井のない美術館とも称されるブルージュには、見どころがたくさんあります。運河をボートでめぐりながら鐘楼を見上げたり、特産のレースやチョコレートのお店を覗きながら、中世の街並み散歩を楽しみましょう。観光の最初に鐘楼に登ると、その後のプランがたてやすいのでおすすめです。
ベルギーとフランスの鐘楼群おすすめポイント②:アントウェルペンの鐘楼【ベルギー】
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オランダ国境に近いベルギー第2の都市アントウェルペンアントワープ(アントワープ)。ノートルダム大聖堂の鐘楼と、市庁舎の塔の2か所が世界遺産に登録されています。
アントウェルペンといえば、日本人によく知られているのが『フランダースの犬』の物語ですね。貧しいネロ少年が憧れていた、ルーベンスの描いたキリスト昇架とキリスト降架の絵が架けられているのがアントウェルペンのノートルダム大聖堂(聖母大聖堂)です。
1352年から170年の歳月をかけて建てられたノートルダム大聖堂の鐘楼は123mもの高さを誇り、アントウェルペンのどこからでも見ることができます。上まで登れるので、元気な人は挑戦してみましょう。ブルージュの鐘楼を超える615段の階段の先には、港町アントウェルペンの美しい景色が広がります。
ベルギーとフランスの鐘楼群おすすめポイント③:ヘントの鐘楼【ベルギー】
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ブリュッセルとブルージュの中間に位置するヘントは、織布業で栄えたベルギー第3の都市です。ドイツ語読みの「ゲント」と呼ばれることも多く、現在は花卉栽培も盛んな”花の都市"としても知られています。
この街の中心にも、聖ニコラス教会と向かい合う形で鐘楼がそびえ立っています。ヘントの鐘楼は、「ラーケンホール」と呼ばれる繊維取引所と並んで1425年に建設されたもので、高さは約91m。53個のカリヨンの奏でる音色が美しく、ここではかつて使われていた古い鐘を目の前で見学できますよ。
ヘントの鐘楼のありがたいところは、最上階の展望台までエレベーターで上がれること。もちろん歩いて登ることもできます。
ベルギーとフランスの鐘楼群おすすめポイント④:リール市庁舎と鐘楼【フランス】
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ベルギーとの国境に近いリールは、この地方の中心的な役割をもつ大都市です。古くは繊維業で栄え、今日ではユーロトンネルとTGVの開通により、イギリスも含めた3国間の移動の要として発展しています。
世界遺産に登録されているリール市庁舎の鐘楼は、旧市街の中心部からは少し離れた、リール駅の南にあります。高さ約104mの鐘楼からは、リール市街とフランドル地方の穏やかな景色が一望できますよ。
リールはこの地方の観光の拠点にもピッタリ。世界遺産の鐘楼めぐりの手始めに訪れると良いでしょう。
ベルギーとフランスの鐘楼群おすすめポイント⑤:カレー市庁舎の鐘楼【フランス】
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ドーバー海峡のヨーロッパ大陸側の港として知られるカレーにも、世界遺産の鐘楼があります。駅の南にある市庁舎の脇に立つ75mの赤い塔がそれで、もちろん上まで登ることができます。
他の多くの鐘楼と一線を画すのは、目の前にカレーの街だけでなくドーバー海峡の景色が広がること!その向こうにはイギリスのグレートブリテン島が横たわっています。
市庁舎の前にはロダン作の銅像『カレー市民』もあり、観光スポットとなっています。ドーバー海峡をまたいでフランスとイギリスの両方を観光する際には、ぜひ立ち寄ってみてください。
ベルギーとフランスの鐘楼群おすすめポイント⑥:アラス市庁舎の鐘楼【フランス】
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アラスの町は、ローマ帝国よりも前の時代にケルト民族によって造られたといわれる、とても歴史の古い町です。フランス国内でも歴史的な建物が多く残されているところで、市庁舎もそのひとつ。フランス北部に位置するアラスはベルギー文化の影響を強く受けていて、フランドル様式の建物が目立ちます。
世界遺産となっている市庁舎の鐘楼は、1463年からおよそ100年の歳月をかけて造られたゴシック様式の尖塔。第一次世界大戦で破壊されてしまいましたが、その後修復されて今に至っています。
世界遺産の美しい鐘楼はフランス国内でも人気で、最も好きな建造物に選ばれたこともあるほど!アラスは小さな街ながら、観光の魅力の多いところです。
◎世界遺産「ベルギーとフランスの鐘楼群」まとめ
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世界遺産に登録されている鐘楼のうち、代表的なものをご紹介しました。ほとんどの鐘楼は旧市街と呼ばれる街の中心にあり、上まで登れるようになっています。旧市街には近代タワーのような展望台はなく、街を見渡せるのは鐘楼だけ。古い建物なのでエレベーターがあるのはまれですが、階段を苦労して登った分だけ、ご褒美の美しい景色が待っていますよ。
現役の鐘楼は毎時鐘が鳴り響くので、あえてその時間に登って鐘の動くようすを見学するのもおすすめ。複数の鐘の組み合わせで旋律を奏でるカリヨンは、メッヘレンの大聖堂や、リエージュのバルテルミー教会、ブルージュの鐘楼などで見ることができます。
他の鐘楼もそれぞれに美しく、また周辺の町並みも魅力的です。世界遺産の鐘楼群だけでなく、地ビールや魚介料理などもお楽しみください。