名称:Natural and Cultural Heritage of the Ohrid region
住所:Ohrid, Macedonia
公式・関連サイトURL:http://whc.unesco.org/en/list/99
東欧バルカン半島中央部に位置するマケドニア共和国。そのマケドニア共和国西部に、古代都市として栄えた街「オフリド」があります。この地にキリスト教が伝わって以来、宗教文化都市として発展を遂げ、オフリドは「マケドニアのエルサレム」と呼ばれました。
現在もオフリドには、マケドニア正教会の大主教座が置かれています。街に点在するキリスト教建築物と、オフリド湖の調和した美しい景観が評価され、1979に世界遺産に登録されました。今回は、そんなオフリド地域の自然及び文化遺産の魅力をご紹介したいと思います。
目次
バルカン半島の湖畔にたたずむ世界遺産!オフリド地方の自然及び文化遺産
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オフリド地域の自然及び文化遺産とは?
オフリド地域の自然及び文化遺産は、その名の通り自然資産と文化遺産の双方から成る世界遺産です。自然遺産に登録されているのは、オフリド湖とその周辺の景観。オフリド湖は、約500万年前に形成されたヨーロッパ最古の湖といわれています。そのため、固有種や希少種が数多く住み、景色の美しさだけでなく、学術上の価値が大きく評価されています。
他方の文化遺産は、997年にブルガリア帝国の首都となって以降、この地に建立されてきた教会群を中心としています。街自体は紀元前から存在していたとされていますが、世界文化遺産の構成資産で最も古いものは、11世紀に建てられました。
最盛期には、オフリドには365もの教会があったといわれています。しかしそのほとんどが、15世紀にオスマン帝国の侵略により破壊されてしまいました。損害を免れた聖堂も、多くがイスラム教のモスクへと転用されたとされています。世界遺産登録後、こうした聖堂の建物や美術品の復元作業が進められています。
オフリド地域の自然遺産及び文化遺産へのアクセス
日本からマケドニアへは直便がないため、ドイツやスイス、スロヴァキア経由でミスレシェヴォ行きの便で、マケドニアへ入国してください。
マケドニアの首都スコピエからは、オフリド行きのバスが出ています。
オフリド地域のおすすめポイント①:聖堂めぐり
世界遺産オフリドの観光の見どころといえば、なんといっても聖堂めぐりです。とくに、オフリド湖畔の崖の上にひっそりと建つスヴェーティ・ヨヴァン・カネオ聖堂は、文化遺産と自然遺産の両方の美しい景色を1枚の写真に収めることができるので、人気の観光スポットとなっています。
他の世界遺産の聖堂も、質素で豪華さはないものの、ビザンチン様式を伝える傑作としてどれも存在感を放っています。
スヴェータ・ソフィア大聖堂(聖ソフィア聖堂)は、もともとあったバジリカを取り壊し、11世紀初頭に建て替えたもの。聖堂の入り口部分は14世紀に増築されました。聖堂内には、11世紀半ばから14世紀に描かれたフレスコ画が残されていて、なかでも天井画の『キリストの昇天』は、ビザンティン美術の傑作といわれています。
1295年に建てられたスヴェーティ・クリメント聖堂(聖クリメント聖堂)は、聖クリメントを祀った教会で、画家ミハイルとエウティキオスによって描かれた美しいフレスコ画が残されています。スヴェーティ・クリメント聖堂に併設されたイコン美術館には、11~19世紀にかけての、800点以上にも及ぶビザンティン様式のイコンのコレクションが収蔵されています。これはモスクワのトレチャコフ美術館に次いで、世界で2番目のコレクション数なんですよ!
オフリド地域のおすすめポイント②:サムイル要塞
出典: creativefamilly / PIXTA(ピクスタ)
オフリドの旧市街を見下ろす丘の上に建つサムイル要塞。オフリドがブルガリア帝国の首都であった10~11世紀の間に、皇帝サムイルによって築かれました。これは、オフリド地域の文化遺産の聖堂群が建てられるよりも前のことです。
現在は城壁を残すのみですが、世界遺産オフリド地域の景観の重要な部分を担う遺跡として、構成資産の1つとなっています。城壁の上からは、オフリドの街並みと湖の景色の両方を楽しめますよ。人気スポットのスヴェーティ・ヨヴァン・カネオ聖堂と同じ丘の並びにあるので、合わせて観光すると良いでしょう。
オフリド地域のおすすめポイント③:オフリド湖
マケドニア最高峰のコラブ山の麓には、青く透き通る美しいオフリド湖があります。バルカン半島では最大の大きさを誇り、オフリド湖の3分の2がマケドニア共和国で、残りの3分の1はアルバニア共和国に属しています。オフリド湖は、およそ500万年前に海底の隆起によって誕生した、ヨーロッパ最古の湖とされています。
湖には、固有種や危急種のアルブルヌス・ベルウィカなどが生息しています。オフリド湖は、1958年に設定されたガリツィツァ国立公園に帰属しており、周辺にある湿地帯では、危急種のニシハイイロペリカンやカタシロワシ、ヒメチョウゲンボウなどの鳥類を目にすることができますよ。
◎まとめ
肥沃な平野をもつ美しい古代湖のほとりに栄えたオフリドの街は、素晴らしい文化と自然が残された魅力あふれる街です。
中世の面影が残るオフリドの街には、ビザンティン建築の優品たる聖堂が点在し、訪れる人を魅了しています。自然と文化の両方の面で価値を認められた稀有な世界遺産オフリド地域を、ぜひ観光してみてください。