まるで機関車トーマス!イギリス人が造った世界遺産「インドの山岳鉄道群」

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まるで機関車トーマス!イギリス人が造った世界遺産「インドの山岳鉄道群」

世界で初めて世界遺産に登録された鉄道は、国際標準軌間をヨーロッパで初めて採用したオーストリアの「ゼメリング鉄道」という山岳鉄道です。そしてその翌年、インドの鉄道群が世界で2番目に世界遺産登録されました。

まず1999年にダージリン・ヒマラヤ鉄道が世界文化遺産として登録され、2005年にニルギリ山岳鉄道、2008年にはカルカ・シムラ鉄道を拡大登録。2018年現在、これら3つの鉄道は「インドの山岳鉄道群」という名称で世界文化遺産に登録されています。

鉄道敷設の技術や急勾配を登る方式など、それぞれ世界遺産にふさわしい特色がある「インドの山岳鉄道群」は、100年以上経っても現役!開設当時からの蒸気機関車も走っています。そんな鉄道世界遺産「インドの山岳鉄道群」を、それぞれの由来や特徴とあわせてご紹介しましょう。

目次

まるで機関車トーマス!イギリス人が造った世界遺産「インドの山岳鉄道群」

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「インドの山岳鉄道群」とは?

出典: Enchant_me (CC BY 2.0)

イギリスの植民地時代だった19世紀後半から20世紀前半のインドに、イギリス人が敷設した山岳鉄道の3路線が世界文化遺産として登録されています。ギリス人が高地に避暑地を求めて造った「ダージリン・ヒマラヤ鉄道」、ギアを使って登る「ニルギリ山岳鉄道」、そして、夏季に首都を避暑地であるカルカに移すために敷設した「カルカ・シムラ鉄道」です。

山の急勾配を登るため、これらの山岳鉄道ではさまざまな技術が用いられています。当時の最新技術だった円を描くように回りながら登るループ線、山の斜面をハイキングコースのようにジグザグに登っていくスイッチバック、2本のレール間に第3のギザギザのレールを敷き、ジェットコースターの登り部分と同じ方式で機関車に内蔵された専用のギアをかみ合わせて急勾配を登るアプト式などを用いて建設したのです。トンネルや橋もたくさん造られました。

これらの山岳鉄道群は、建設期間を短縮できるよう、既存の山道や地形を利用しています。また、急勾配を登るのに小回りが利くように、標準のレール幅より狭い狭軌(ナローゲ-ジ)であるのが特徴。なかでも、ダージリン・ヒマラヤ鉄道のレール幅は61cmと狭く、機関車や車両も小型で機関車トーマスのようにかわいくて「トイ・トレイン」という愛称で親しまれています。

「インドの山岳鉄道群」へのアクセス

◆ダージリン・ヒマラヤ鉄道

出典: Arnaud DG (CC BY-SA 2.0)

ダージリン・ヒマラヤ鉄道へアクセスするには、まず日本からインドのニューデリーへ直行便で約10時間半。ニューデリーから国内線でバッグドグラ空港まで約2時間。バッグドグラ空港から起点となるニュー・ジャルパーイーグリー(New Jalpaiguri)駅まで、車で約50分です。

◆ニルギリ山岳鉄道

出典: Solom09 (CC BY-SA 3.0)

日本からインディラ・ガンディー国際空港やチェンナイ国際空港で乗り継ぎ、コインバトール国際空港へ向かいます。コインバトール国際空港からニルギリ山岳鉄道起点になるメタップアラヤン(Mettupalayam)まで、車で約1時間ほどです。

◆カルカ・シムラ鉄道

出典: Smeet Chowdhury (CC BY 2.0)

ダージリン・ヒマラヤ鉄道と同じく日本からニューデリーまでは直行便。ニューデリーから国内線でチャンディガー国際空港まで約1時間。そこから起点のカルカまで車でで約1時間です。

「インドの山岳鉄道群」おすすめポイント①:ダージリン・ヒマラヤ鉄道

出典: Chris Allen (CC BY-SA 2.0)

1999年に世界遺産に登録された「ダージリン・ヒマラヤ鉄道(The Darjeeling Himalayan Railway)」は、1881年に開通した世界最古の山岳鉄道。インド東部、バングラデシュの真北に位置し、ヒマラヤ山脈の麓を走ります。インド鉄道網に直結する町ニュー・ジャルパーイーグリーと、高級紅茶の里ダージリンの間、全長約88kmの路線。高い場所で標高2200mにもなる山岳地帯を平均時速約10kmで、東京から小田原間ほどの距離を7~10時間かけて走り抜ける山岳鉄道です。

ダージリン・ヒマラヤ鉄道はインドの猛暑を避けるべく、避暑地への移動のためにイギリス人が敷設。紅茶の輸送にも利用されました。当時は資金面からトンネルなどは造らず、ループ線やスイッチバックを使って高低差2000mを克服。この路線は世界遺産「インドの山岳鉄道群」で最も古く、開業当時からの蒸気機関車を120年以上も使っています。急カーブを走行するのに適した小型の蒸気機関車を使用しているため、線路幅は日本の新幹線の半分にも満たない60cm。まるで機関車トーマスのようです。

世界遺産登録直後、ダージリン・ヒマラヤ鉄道は全区間をディーゼル機関車に変更しました。しかし多くの人々の要望に応え、最終区間のカルシャンとダージリンを結ぶ約31kmを小型蒸気機関車に戻して運行。現在も「インドの山岳鉄道群」で一番人気がある山岳鉄道です。

「インドの山岳鉄道群」おすすめポイント②:ニルギリ山岳鉄道

出典: Santoshvatrapu (CC BY 3.0)

1899年に開通した「ニルギリ山岳鉄道」は、インド半島の南西部、海抜約100mのメットゥパラヤムと海抜約2200mのウーティの間を結ぶ山岳鉄道。高低差約2100m、全長約46kmの路線です。このニルギリ山岳鉄道は、ダージリン・ヒマラヤ鉄道を拡張する形で2005年に世界文化遺産に登録。2路線をあわせ「インドの山岳鉄道群」という名称に変更して登録されました。

ニルギリ山岳鉄道には、200を超えるカーブと、トンネル16か所、橋250か所があります。急勾配区間には「インドの山岳鉄道群」の中でも唯一のアプト式を使用。専用の蒸気機関車は約100年前のスイス製で、今も現役です。沿線では野生のシカやサル、ゾウもいる森林と紅茶畑が広がる景観を楽しみながら、東京から横浜の先くらいの距離を約5時間かけて運行しています。

終点のウーティは英国人のために開発された避暑地でした。世界遺産「インドの山岳鉄道群」として登録後、現在はインド人にとっても軽井沢のようなリゾート地になっていて、年間を通してにぎわっています。

インドの山岳鉄道群のおすすめポイント③:カルカ・シムラ鉄道

出典: Jon Connell (CC BY 2.0)

「カルカ・シムラ鉄道(The Kalka Shimla Railway)」は、2008年に世界遺産「インドの山岳鉄道群」に追加登録された山岳鉄道です。

1903年に開通したカルカ・シムラ鉄道は、菱形の形をしたインドの最北部を走る高低差約1500mの路線。カルカからシムラの山岳地帯を結んでいます。イギリス人はインドの夏の暑さが本当に苦手で、夏季には首都としての機能を避暑地であるカルカに置いたほど。そして、その移動手段として山岳鉄道を敷設したのでした。全長約100kmのこの路線には、なんと100か所を超えるトンネルと、「インドの山岳鉄道群」の中で最も多い864か所の橋がかけられています。

カルカからシムラへの移動時間は、タクシーなら約2時間半、バスなら約3時間半。しかし、カルカ・シムラ鉄道の所要時間は4時間半~5時間半もかかります。時間効率を考えればタクシーやバスの方が良いのはいうまでもありませんが、ゆっくりと車窓の絶景を眺めながら山岳鉄道の旅を楽しむのが、カルカ・シムラ鉄道の醍醐味!食事付きの特急など観光客におすすめの車両や、世界遺産「インドの山岳鉄道群」の中でも珍しいボンネット・バスのような一両だけのディーゼル列車もありますよ。

◎まとめ

世界遺産登録後、これらの山岳鉄道を目的に世界中から旅行者が押し寄せ、切符を手に入れるのが難しくなっています。また、「インドの山岳鉄道群」を巡る旅行の計画を立てるときには、遅延や運休に備えて日数に余裕をもっておくと良いでしょう。数日前には現地で切符を手に入れておくと安心ですね。

世界遺産「インドの山岳鉄道群」の山岳鉄道に乗ると、山岳ならではの爽快な景観、インドの地元住民との交流が得られます。さらに、トーマスのようなかわいくて小さい蒸気機関車の力強さにも感動。乗る楽しみを味わうため、世界中から旅行者が訪れています。鉄道ファンじゃなくても魅力的な世界遺産で、山岳鉄道の旅を楽しんでくださいね。

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