【世界遺産】莫高窟とは?|シルクロードに現れた仏教美術の極み!

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【世界遺産】莫高窟とは?|シルクロードに現れた仏教美術の極み!

1900年に発見されるまで、500年以上も人々の記憶から忘れ去られ、砂漠に眠っていた世界遺産があります。それが中国の敦煌という都市にある「莫高窟」という世界遺産。莫高窟には多くの壁画や仏塑像が安置されており、かつての中国仏教の信仰の姿をうかがわせます。

敦煌は遥か昔からシルクロードの要所として栄えた砂漠のオアシス都市。敦煌より西域の宗教や文化は、すべてここを通って中国へ広がりました。敦煌は中国における仏教布教の拠点であり、莫高窟はさまざまな国の僧侶たちが仏典の研究に励み、布教に尽力しました。

1900年に砂漠の断崖に作られた無数の石窟が発見され、その中からは極彩色の壁画や仏像が見つかりました。長い眠りから目覚めた仏教美術の至宝、世界遺産「莫高窟」をご紹介します!

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【世界遺産】莫高窟とは?|シルクロードに現れた仏教美術の極み!

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莫高窟とは?

1987年に世界遺産に登録された「莫高窟」は、シルクロードの玄関口として栄えた甘粛省敦煌の南東およそ25km、鳴沙山の東側斜面に眠っていた中国仏教美術の宝庫ともいわれる石窟遺跡です。莫高窟は、西暦366年、楽僔という一人の仏教僧が金色に光る千体の仏像を感じ、石窟を掘って修行を行ったことがはじまりといわれています。以後、五胡十六国時代(4世紀)から元の時代(14世紀)まで10王朝1000年にわたり建設が続けられました。

1900年に敦煌「莫高窟」で発見された膨大な量の経典、古文書、仏画などをさして「敦煌文書」と呼ばれ、この大変貴重な文書の発見をきっかけに莫高窟の存在が広く世に知られるようになりました。

南北1,700mにわたって続く石窟の南区が仏像を礼拝する場、北区は僧侶が生活する場と分かれています。現在では735の石窟に2415体の些像、石窟内部には総面積45,000㎡という美しく彩色された緻密な壁画が見られ、この世界遺産の美しさを小説家の井上靖は「砂漠の大画廊」と評したといわれています。

初期の仏像や壁画にはインド仏教美術の影響を色濃く受けており、作られた年代によって仏像や壁画のデザイン、使われる素材なども異なり、中国仏教美術の歴史も感じられる世界遺産です。

また、莫高窟はユネスコが設けた世界文化遺産の基準のうち、6つ全てを満たした数少ない世界遺産です。他にはイタリアの「ヴェネツィアとその潟」や「泰山」が挙げられます。さらに、莫高窟は中国の三大石窟に数えられ、その他には「雲崗石窟」「龍門石窟」があり、いずれも世界遺産です。

莫高窟へのアクセス

日本から敦煌への直行便は出ていません。

北京経由の場合は、日本からは成田、羽田、中部国際空港から北京まで3時間30分から4時間15分ほどのフライト時間で到着します。北京から敦煌までは飛行機で3時間30分ほどです。西安経由の場合は、成田から西安まで飛行機で7時間ほど。西安から敦煌までは飛行機で2時間30分ほどで到着です。

敦煌から莫高窟までは、敦煌市内から発着しているバスでアクセス可能。車でおよそ20分です。

莫高窟のおすすめポイント①:第96窟

出典: oonger/istock

世界遺産「莫高窟」の代表するスポットが九層楼の第96窟。鳴沙山の断崖に築かれた入り口に9層の赤い木造楼閣を持つ第96窟の現在の姿は、1928年から1935年にかけて造られたものです。下から7層目まではひさし、上に乗った2層は屋根のようなデザインになっています。石窟は695年の唐の時代に敬虔な仏教信者であったといわれる則天武后によって造営されました。

石窟内には莫高窟最大の高さ約33mの弥勒菩薩が置かれ、多くの観光客がここで手を合わせます。弥勒菩薩は、別名「北大仏」とも呼ばれています。狭い石窟内に巨大な弥勒菩薩があることで、より仏像の存在感を強く感じることでしょう。莫高窟観光では、第96窟は外せませんね!

莫高窟のおすすめポイント②:仏像

莫高窟の見どころの一つが2000もの数を超える仏像です。仏像と一口に言っても、菩薩や金剛力士など掘られている仏像の種類は多岐にわたります。さらに、仏像のサイズも異なります。大きいものでは30m、小さいものでは2cmとさまざまな仏像が、莫高窟にあります。

また、仏像が造られた時代によっても、顔の表情やポーズが異なります。初期のものは、インドや西洋の影響を受けており、顔の濃いものが多いですが、時代が下るにつれて、柔和な表情や落ち着いた形になっていきます。中国仏教の移り変わりについて知ることができますよ。長い時代にわたって、造られた世界遺産「莫高窟」だからこそ、時代ごとでの仏像の違いを楽しむことができるですよ。

莫高窟のおすすめポイント③:壁画

一面砂漠が広がるこの地域で、莫高窟の色鮮やかな壁画はより一層美しく感じられます。莫高窟の仏教壁画は、漆喰で塗り固めてから、顔料を塗り、壁画を描きました。フレスコと呼ばれるこの技法で、仏教の物語や風光明媚な景色や人々の生活模様などが描かれています。壁画のテーマがさまざまなのも、見学していて、楽しいですよ。

また、壁画も仏像と同じく、時代ごとで、中東などの影響が見られます。中国芸術の変化を目で追っていけるのも、莫高窟の魅力です。中国古代芸術において、非常に高い価値を残している世界遺産、莫高窟。その極彩色の壁画をぜひ鑑賞してみてくださいね。

莫高窟についての注意事項

敦煌は夏は気温が40度を超え、冬は氷点下30度にもなるという厳しい気候の土地です。ベストシーズンは4、5月や9月です。

莫高窟の見学は事前予約制となっており、前もってインターネットか市内のチケットセンターで見学の日時を指定した入場券を購入する必要があります。敦煌駅近くの莫高窟数字展示中心にて莫高窟の解説映像を見た後にシャトルバスで莫高窟へ向かいます。

莫高窟の見学にはツアーガイドが必須ですのでご注意ください。

◎まとめ

中国の世界遺産「莫高窟」色彩に乏しい砂漠の中に現れる極彩色の大仏教伽藍。美しさとともに、ロマンをかき立てられますよね!建設期間が1000年にもわたって続いた貴重な世界遺産は、一度は訪れてみたいのではないでしょうか?

莫高窟の現地のツアーでは日本語に堪能なガイドもいるので、、ぜひじっくりと解説を聞きながら1000年の歴史を感じてください。

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