奈良の歴史を物語る世界遺産「古都奈良の文化財」を詳しくご紹介!

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奈良の歴史を物語る世界遺産「古都奈良の文化財」を詳しくご紹介!

悠久の歴史の中、かつて都として栄えた奈良県奈良市。京都よりも長い歴史を持つ古都奈良は、遥か昔の栄光を今に伝える重要な建築物や手つかずの自然が残っています。世界遺産「古都奈良の文化財」としても登録され、多くの人々を惹きつけているんですよ。ゆるキャラで話題になったせんとくんや奈良公園のシカの可愛らしさに注目されがちですが、古代から連綿と続く都市の奈良には多くの見どころがあります。今回は世界遺産「古都奈良の文化財」としての見どころを紹介しましょう。

目次

奈良の歴史を物語る世界遺産「古都奈良の文化財」を詳しくご紹介!

古都奈良の文化財とは?

世界遺産「古都奈良の文化財」は、奈良市にある歴史的に重要な8つの寺社などから構成されています。そのすべてが国宝建造物、特別史跡、天然記念物にも指定されているもので、世界遺産としては1998年に登録されました。

世界遺産「古都奈良の文化財」の構成遺産には東大寺、興福寺、春日大社、元興寺、薬師寺、唐招提寺、平城宮跡、春日山原始林があります。現在の奈良市に平城京が遷都され、巡り巡ってまたこの地に都が戻された時代が奈良時代。この奈良時代に造られた多くの建築物が、その美しさや希少性、文化的価値の高さから世界遺産に認定されています。平城京は唐の長安を参考にして造られ、その片鱗をところどころで見られますよ。シルクロードの終着点でもあった古都奈良では、世界中から集まった貴重な物や文化がありました。修学旅行などで行ったことがある人も多いと思いますが、大人になった今だからこそ、もう一度ゆっくりと奈良の世界遺産を巡るのはいかがですか?

古都奈良の文化財へのアクセス

首都圏から向かうなら、まずは新幹線で東京駅または品川駅から京都駅へ。京都駅からは近鉄特急に乗って約50分で世界遺産「古都奈良の文化財」の観光の拠点、近鉄奈良駅に到着します。大阪方面から向かうなら近鉄奈良線の始発、大阪難波駅から近鉄奈良駅まで40分ほど。奈良駅からは回遊バスや路線バス、タクシーなどがあります。徒歩の場合、近鉄奈良駅から東大寺までは約20分、JR奈良駅からは30分強です。

古都奈良の文化財のポイント

◆東大寺

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世界遺産「古都奈良の文化財」で最も有名なのは東大寺でしょう。奈良時代の8世紀に聖武天皇が尽力して建立した寺で、金光明四天王護国之寺とも呼ばれています。世界遺産の一部である東大寺の大仏は盧舎那仏像(るしゃなぶつ)と言い、この東大寺の御本尊です。この大仏が納められている大仏殿は二度焼失し、鎌倉時代と江戸時代にそれぞれ再建されています。

境内には奈良時代の姿を残す国宝法華堂、金剛力士像が荘厳な雰囲気を放つ南大門など歴史的に貴重な見どころがたくさんありますよ。さらに東大寺の北に位置する正倉院も忘れてはいけません。かつて東大寺の倉庫だったものが、保管されている物の貴重さから現在は宮内庁の管理となっています。中は公開されていませんが、その建築物としての造りも奈良時代の貴重なもの。宝物は現在、コンクリートで建てられた西宝庫・東宝庫に収められています。

◆春日大社と春日山原始林

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万灯籠が美しい春日大社も奈良の世界遺産巡りに欠かせません。世界遺産に含まれている春日大社も奈良時代に創建され、全国にある春日神社の総本社です。藤原不比等がタケミカヅチを祀ったのが始まりと言われています。タケミカヅチが白鹿に乗ってきたことから、春日神社の神使は鹿になりました。

さらにフツヌシノカミ、アメノコヤネノミコト、ヒメガミをあわせて祀るようになり、長い歴史の中で皇族や貴族、そして武士や庶民まで信仰が広がりました。この世界遺産の春日大社には様々な形の灯籠が飾られ、その万灯籠に火を入れる2月の節分と8月14、15日には多くの参拝者で賑わいます。

春日大社の奥にある春日山原始林も世界遺産に含まれており、春日大社の神山とされています。そのため1000年以上も伐採を禁止され、原生林が現在も広がっているんですよ。市街地に程近い原生林はとても珍しく、興味深い奈良の世界遺産ですね。

◆興福寺

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興福寺は藤原氏や春日大社との関係が深い世界遺産です。藤原鎌足の正妻、鏡大王が夫の病気快復祈願のために建立した寺が起源といわれています。そして藤原不比等が平城京に移した際に興福寺としました。最盛期には絶大な力を持ち、神仏習合の際に春日大社と一体化し、ついには朝廷をも凌駕しました。

現在は室町時代や鎌倉時代の御堂や塔、彫刻などが多く見られます。特に国宝館ではガラスケース越しではない千手観音像や金剛力士像など、貴重な世界遺産の一部を見学できますよ。

◆元興寺

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蘇我馬子が飛鳥時代に建立した寺が前身である元興寺。歴史深く、本格的なものとしては日本最古の仏教寺院です。かつては絶大な勢力を持っていた元興寺ですが、その勢いも衰えてしまいます。しかし奈良時代の歴史や文化にとって貴重な遺産なことには変わりなく、ぜひ見学しておきたい世界遺産です。

境内には建築そのものをはじめ、五重小塔といった国宝、板絵に描かれた曼荼羅などの重要文化財があります。春には花が咲き、秋には紅葉、そして冬の雪景色も美しい世界遺産です。趣のある最古の仏教寺院にもぜひ足を延ばしてみましょう。

◆薬師寺

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白鳳時代に天武天皇によって藤原京に建立されたのが、こちらの薬師寺の前身です。平城京への遷都とともに現在の奈良市に移され、特に国宝でもある東塔は建立当時のもの。平城京の繁栄を今に伝える世界遺産です。

世界遺産にも含まれる薬師寺は火災や戦火などで焼け落ち、東堂以外は再建されたものです。しかし、再建された金堂や西堂は建立当時の鮮やかさが再現され、華やかであった平城京の様子を知ることができます。さらに薬師寺の本尊である薬師三尊像は火災に耐え、白鳳時代のものと考えられているんですよ。国宝にも指定され、その彫刻様式や台座からギリシャ、ペルシャ、インド、中国などの影響が見られます。かつて平城京がシルクロードの終着点であったと言われる理由の一つです。

東堂は修復のため現在は見られませんが、2020年の4月に公開予定です。(2018年12月現在の情報)

◆唐招提寺

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聖武天皇に招かれ、戒律を日本に伝えるために来日した唐の高僧である鑑真和上。その鑑真和上が建立した寺院が世界遺産でもあるこちらの唐招提寺です。元は故新田部親王の邸宅を譲り受け、唐律招提として戒律の寺院をこちらに開きました。そして鑑真和上を慕う人々によって倉庫や講堂が贈られ、鑑真和上が亡くなった後も金堂などの主要な伽藍が造られたんですよ。

奈良時代に建てられた金堂としては、唯一の残っている寺院。奈良の世界遺産の中でも貴重な建築物です。鑑真和上の命日にあたる6月6日の前後3日間には、鑑真和上像を拝観することができます。鑑真和上像の作者は不明ですが、鑑真和上没後すぐに作られたと言われている興味深いもの。鑑真和上像の崇高で、しかしどこか温かみのある姿は生きている姿が目に浮かぶようです。

◆平城宮跡

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奈良市にかつて置かれていた平城京。今は何もない空間が広がっていますが、貴重な考古遺跡として世界遺産に登録されています。現在は朱雀門と東院庭園、さらに第一次大極殿が復元されています。平城宮跡には資料館や平城宮いざない館があり、出土品や再現模型の展示、平城京に住む人々の生活の様子などを見学できますよ。奈良で世界遺産を観光するなら、ぜひ寄っておきたい場所です。

古都奈良の文化財の注意事項

世界遺産「古都奈良の文化財」の東大寺や奈良公園には、シカがたくさんいます。シカは餌付けされているためとても人に慣れていますが、野生のシカということを忘れないようにしましょう。ツノで突かれたり突然突進される、さらに噛まれることもあります。特に子連れの母ジカは子供を守ろうと攻撃的になっていますので、注意しましょう。

◎まとめ

世界遺産「古都奈良の文化財」をご紹介しました。京都の影に隠れてなかなか行く機会がなかった場所かもしれませんが、一度足を運んでみませんか?奈良には京都よりもさらに歴史の深い重要な建築物や自然が残されています。せっかく奈良に訪れるなら、ぜひ世界遺産巡りをしてくださいね。ついでに古墳巡りもおすすめですよ。

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