絵のような美しさ!オーストリア、ハルシュタットとダッハシュタインの文化的景観

絵のような美しさ!オーストリア、ハルシュタットとダッハシュタインの文化的景観

ハルシュタットは景勝地ザルツカンマーグート地方の奥にそびえる、ダッハシュタイン山塊の麓に位置する小さな町。ハルシュタット湖畔に佇むこの町と周囲の山塊が織りなす景観は「世界で最も美しい湖畔の町」とも呼ばれており、一帯は1997年「ザルツカンマーグート地方のハルシュタットとダッハシュタインの文化的景観」として世界遺産に登録されました。

ヨーロッパに興味のある皆さんなら、もしかするとこの世界遺産ハルシュタット湖に佇む教会の写真を一度は目にしたことがあるかも知れません。オーストリアのカレンダーでは定番とも言えるこの風景、日本でも大変人気のある景色ですね。

目次

絵のような美しさ!オーストリア、ハルシュタットとダッハシュタインの文化的景観

「ザルツカンマーグート地方のハルシュタットとダッハシュタインの文化的景観」とは?

出典: Jitka Erbenová (CC BY-SA 3.0)

ハルシュタット(Hallstatt)の町はずれには古代ローマ時代に遡る岩塩坑があるように、この地は先史時代から塩の交易で栄えた場所。ハル(Hall)はケルト語で「塩」、シュタット(Statt)はドイツ語で「場所」を意味するように、まさに「塩の町」だったのです。中世の頃、岩塩は「白い黄金」と呼ばれる程価値があり、ハプスブルグ家はハルシュタットを直轄地として手厚く保護しました。世界最古の岩塩鉱は観光客にも公開されていますが、今もなお操業中というから驚きです。

ハルシュタットの街は、湖に接するダッハシュタイン山塊の急峻な山裾にあり、15世紀末の教区教会やゴシック様式の聖ミカエル礼拝堂等多くの伝統的な建物が残っています。これらが周囲の景色に溶け込むように昔の姿を保っているのは、地元の厳しい建築規制等による配慮の賜物。このような努力が認められ、絵画のような美しさの世界遺産「ザルツカンマーグート地方のハルシュタットとダッハシュタインの文化的景観」が誕生したというわけです。

映画「サウンドオブミュージック」の撮影場所にもなったこの街、中心には小さな広場があり、レストランや特産の「お塩」グッズを売る店等が並んでいますので、お土産も忘れずに。

「ハルシュタット」へのアクセス

ハルシュタットはオーストリア西部にあり、首都ウィーンからは大分離れていますのでウィーンからの日帰り(不可能ではありませんが)は少し厳しいかもしれません。
ウィーンからは、まず特急でAttnang-Puchheim駅へ。そこで普通電車に乗り換えてハルシュタット駅へ行きます。
ザルツブルグ駅からは、鉄道でやはりAttnang-Puchheim駅を経由してハルシュタットまで約2時間半ほどの道のりです。

ハルシュタットのおすすめポイント①:クリッペンシュタイン

出典: Dirk Schmidt (CC BY-SA 3.0)

世界遺産ハルシュタットを訪れる人は多いのですが、湖畔の景色と散策だけで帰路に着く人が大部分。そこでお勧めしたいのが、この地に宿泊してダッハシュタインに登る事。登るといってもロープウェーで気軽に登れます。この山には見所が多く、丸1日いても楽しめそうなほどです。

ダッハシュタインに登るロープウェーの中間駅には大氷穴とマンモス洞穴の2つがあり、これだけでも探検気分が楽しめますが、絶景を楽しむなら展望台のある山頂駅クリッペンシュタインへ。 中間駅での乗換も含め、30分程で着きます。この駅から散歩道を30分程歩くと、ファイブ・フィンガーズと呼ばれる展望台へ。崖から空中に5本の指を突出したような鋼鉄の展望台です。床がガラス張りになった部分もあり、スリル満点。そして眼前にはダッハシュタイン山塊の山々とハルシュタット湖の大パノラマが。世界遺産ハルシュタット-ダッハシュタインの全貌を独り占めした気分になれる絶景ポイントですよ。

ハルシュタットのおすすめポイント②:バート・イシュル

出典: Maester Aemon (CC BY-SA 3.0)

ハルシュタットの北、ザルツカンマーグート地方の中央部にあるバート・イシュルは温泉で有名な街、オーストリア最古の湯治場として知られています。

世界遺産の一部であるザルツカンマーグート地方は、その名の通り(塩の御料地の意味)岩塩鉱が多い場所。19世紀に湧出する食塩泉が療養目的に利用されるようになると、当時の皇帝フランツ・ヨーゼフ1世がこの町に夏の離宮を建てました。以来この地は温泉保養地として名を馳せる事になります。

この離宮は現在「カイザーヴィラ」としてこの町最大の観光名所になっています。この他にも見所は多く、この地方初の郵便局である「ホテル郵便局」や「聖ニコラウス教会」等も。もう一つ忘れてならないのが名物の温泉「ザルツカンマーグート・テルメ」(旧カイザーテルメ)。誰もが利用できる温泉リゾートで、ガラスを多用したデザインはモダンで開放的。世界遺産見物がてらの温泉は最高ですよ。

◎まとめ

世界遺産「ザルツカンマーグート地方のハルシュタットとダッハシュタインの文化的景観」をご紹介しました。

美しいハルシュタットの湖畔の風景に、ダイナミックなダッハシュタインからのパノラマ、更には海水とほぼ同じ塩分濃度3%の温泉まで。幾つもの顔を持つこのハルシュタットの世界遺産、ぜひ訪れてみてくださいね。

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