名称:Archaelogical Sites of Mycenae and Tiryns
住所:Prefecture of Argolis, Region of the Peloponnesos
公式・関連サイトURL:http://whc.unesco.org/ja/list/941
ミケーネ、ティリンスはともにギリシャのペロポネソス半島にある古代の都市遺跡。どちらもギリシャ神話の舞台となった町としても知られています。
ミュケナイ(ミュケーナイ)とも呼ばれるミケーネの王アガメムノンは、トロイの木馬で有名なトロイア戦争で、ギリシャ連合軍の総大将を務めました。またティリンスは英雄ヘラクレスの誕生の地といわれています。
ミケーネとティリンスを中心に発展したミケーネ文明は、アテナイ(現在のアテネ)などのポリス(都市国家)が栄えたアルカイック期よりも数百年古い時代に興隆していました。そのため、古代ギリシャの歴史を知るうえでとくに重要な遺跡として、1999年に世界遺産に登録されました。
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伝説のギリシャ神話の世界!ミケーネとティリンスの古代遺跡群
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ミケーネとティリンスの古代遺跡群とは?
ミケーネとティリンスの遺跡自体は古くから知られていましたが、発掘調査が初めてなされたのは、それぞれ1876年と1884年のこと。いずれも、トロイア遺跡を発見したことで知られるハインリヒ・シュリーマンによるものでした。
ミケーネ遺跡ではアガメムノンの墓を発見。副葬品の黄金のマスク、豪華な財宝など、ホメロスが書き残した「黄金に富む都」が実在したことを証明したのです。この時に発掘された品は、アテネ国立考古博物館に収蔵されています。
近年の調査の結果、紀元前15~紀元前12世紀にかけて、ミケーネとティリンスは独自のミケーネ文明を築いていたと考えられています。古代ギリシャとして一般に想起されるアルカイック期が始まったのが紀元前8世紀とされているので、ギリシャのなかでもとくに古い歴史をもっていることを意味しています。
ミケーネ文明の特徴は、巨石を用いて都市を城壁で囲っていたこと。そのため、現在の遺跡にも豪壮な巨石建築が残っています。そんなギリシャのルーツともいえるミケーネとティリンスの古代遺跡群についてご紹介しましょう。
ミケーネとティリンスの古代遺跡群へのアクセス
ミケーネ遺跡へは、アテネからナフプリオン行きのバスに乗り、フィクティアという遺跡の麓の街でおりてそこから歩いて30分ほどです。ペロポネソス半島の都市コリントスやナフプリオンからもフィクティアを通るバスが出ています。
ティリンス遺跡はナフプリオンの郊外にあるので、やはりナフプリオン行きのバスに乗り、ティリンシィアというバス停で下車。あとは徒歩です。
どちらも、アテネから観光バスツアーがたくさんでているので、効率よく回るにはこれらを利用したほうが良いでしょう。個人でまわるときは、下車時に必ず帰りのバスの時刻を確認してください。それでも時間通りとは限らないので、いささか早めに行動することをおすすめします。
ミケーネとティリンスのおすすめポイント①:よみがえるミケーネ文明
ミケーネの遺跡は巨石建築が特徴!とくに、王宮や王族の墓とみられる巨大な遺構には驚かされるでしょう。円形墳墓と蜂の巣形の墳墓からは、黄金細工や副葬品が多数発掘されていて、ミケーネ文明が輝かしい黄金に彩られたものだったことが晶かとなりました。
王宮跡からは、大小さまざまな部屋の跡や、柱、暖炉、ドアを止めていた跡などが見つかっています。ミケーネ遺跡は丘の上の高台にあるので、周囲に広がる温暖なギリシャの風景も魅力ですよ。
また、強固な城壁や刀剣などの存在は、外敵の脅威や高度な軍事技術が存在したことがうかがえます。ギリシャにいくつかある古代文明のなかでも、とくに重厚な建築をもつミケーネ。アテネなどの優美な文明との違いを感じ取ってみるのも面白いですね。
ミケーネとティリンスのおすすめポイント②:獅子門
紀元前1350年頃に作られたといわれている獅子門。ミケーネの城砦の入口で、敵から町を守る役割をもっていました。梁の上の三角形の石に、向かい合う2頭のライオンが彫られていることから、獅子門と呼ばれています。2頭のライオンは、ミケーネ王家の紋章だったと考えられています。
獅子門は長方形の石を積み上げて建てられていますが、高いところで3mにもなる門にどうやって石を積み上げたのかは分かっていません。しかも獅子門に使われている石材は、高度な技術で四角く切りそろえられています。また、門を攻める敵を左右から側撃する工夫がなされているのも興味深いポイント。当時この門を初めて見た人は、その大きさと技術に圧倒されたことでしょう。
ミケーネとティリンスのおすすめポイント③:ティリンス遺跡
ティリンスが最も栄えたのは紀元前1400年から紀元前1200年の間といわれ、そのころの宮殿や、巨石を積んで作った地下道、城壁などが残っています。13トンもの巨石が積まれた城壁は、場所によっては厚さが17mの所もあり、ホメロスの作品に「単眼の巨人キュクロプスが建てた」と記されています。そのため、この巨石積みついては「サイクロプス式(サイクロプスはキュクロプスの英語読み)」という構造名が付けられているんですよ。
城壁を抜けた先の正門は、もともとはミケーネの獅子門と同じつくりだったそうです。そしてティリンスの丘のてっぺんには宮殿の跡が残っていて、ここからは海まで見渡せる絶景が楽しめるんですよ。宮殿の内装はフレスコ画で美しく彩られていたとされ、発掘されたフレスコ画はアテネの考古学博物館で見ることができます。
◎まとめ
紀元前15世紀にこんなに立派な建造物があったこと、そしてそれを作る文明があったなんて、本当に驚きですね!しかも現在にまで残っているということに二重の驚きを感じます。
古代ギリシャとひとくちにいっても、それぞれ遺跡ごとに特徴があります。ギリシャを観光するなら、ぜひいろいろな世界遺産の遺跡を見比べてみてください。