名称:スホクラントとその周辺(Schokland and Surroundings)
住所:オランダ、フレヴォラント州
公式・関連サイト:http://whc.unesco.org/ja/list/739#top
世界遺産のスホクラントは、オランダの首都アムステルダムから東へ約30kmの所にあるフレフォラント州の干拓地域です。100年前まではゾイデル海に浮かぶ島だった場所で、現在では長閑な牧草地帯や田舎の田園風景がオランダらしい雰囲気のエリアとなっています。
かつてスホクラントとその周辺は、オランダの人々が水と戦っていた地域だったことが、建物に付属する堤防などから垣間見ることができますよ。オランダの人々が国土獲得のために行った最大の干拓事業の苦労と功績の世界遺産「スホクラントとその周辺」をご紹介します。
目次
考古学遺跡群が魅力のオランダの世界遺産!スホクラントとその周辺
スホクラントとその周辺とは?
出典: Takashi Images/shutterstock
19世紀以前は、独特の文化をもっていた世界遺産のスホクラントとその周辺は、高潮による危険地帯として1859年に一度放棄されたエリアです。当時の国王ウィリアム3世が島民を守るため、この地を退避させ無人島にしました。これは、海水による浸食が進み、水没の危険性があったからです。中世の頃から水と戦い移住しながら暮らしていた島民人々は、12世紀頃に自分の土地が欲しいと治水事業の計画を立てました。1870年にアムステルダム港と北海を結ぶ運河の完成により、この地の開拓は現実へと向かい始めます。
大堤防が完成したことにより海はアイセル湖となり、耕地を作る水を確保しました。海だった場所には干拓工事が行われ、世界遺産となったスホクラントとその周辺は人が住める土地になります。18世紀末にその努力が報われるべく、オランダ政府水利省が設置されました。スホクラントは島になる前は陸続きで、この干拓工事の時に氷河期時代の化石が発見されています。現在は、島民が戻り新たな入植者も増え耕地が広がる穏やかな地となりました。スホクラントとその周辺は1995年にオランダ発の世界遺産に登録されています。
スホクラントとその周辺へのアクセス
成田空港から首都アムステルダムまでは直行便があり、飛行時間は約11時間半。関西空港からは約12時間です。アムステルダムからスホクラントへは、列車でエメロード駅まで移動します。バスなども運行していますが、残念ながら公共機関のアクセスは良くないので、タクシー利用が一般的。レンタカーならアムステルダムから所要時間1時間くらいなので、ライセンスがあれば便利。日本からは、ツアーもあるのでおすすめです。
スホクラントとその周辺のおすすめポイント2
スホクラント博物館
世界遺産のスホクラントとその周辺の南北に細長い高台の部分は、かつて島だったところ。教会跡や港跡、灯台などが残っており、干拓の歴史や文化、生活の様子を展示する博物館になっています。博物館として公開している部分には、現在も住宅などの建築物は建てられていません。この施設では、数百年前まで人が住んでいた様子やスホクラントの歴史を知ることができます。
スホクラントと周辺には、石垣や木の堤防があり、今でも残る頑丈な堤防は見応え抜群。また、この島で発見された氷河時代の化石や土器など考古学的なものも展示されています。高台を降りたところには標高計が設置されており、ここが昔海だったことも確認できますよ。
自然と文化の融合を見ながらの散策
出典: Photodigitaal.nl/shutterstock
スホクラントとその周辺での最大の魅力は、水と島民の戦いを感じながらの散策ではないでしょうか。干拓されたエリアは、現在は水災害もなくなり牧草地が広がっています。そこでのんびりと草を食べる牛の姿が、かつての苦悩が嘘だったような穏やかな雰囲気。オランダには「世界は神様が作ったが、オランダはオランダ人が作った」という言葉が残っています。世界遺産のスホクラントとその周辺には、この言葉通りの景観が素敵な観光地です。
20世紀初めに半島から全長約30mに渡って高さ約7.6m、幅約90mの大堤防が築かれました。現在は高速道路を兼ねる道となっており、サイクリングを楽しむ人もいます。経験豊富なガイドが案内するツアーや、アクティビティでは地質学や考古学を学ぶコースが8つ設置されています。スホクラントとその周辺は、自然と文化の融合が見られる世界遺産です。
◎まとめ
世界遺産のスホクラントとその周辺をご紹介しました。国土の4分の1が海抜以下というオランダならではの苦悩を感じられる世界遺産です。ぜひ、訪れて島民の暮らしぶりとそこで戦った水との歴史を感じてくださいね。