禁じられた恋が静かに眠る場所！ポルトガルの世界遺産アルコバッサ修道院

アルコバッサはポルトガルのリスボンから北部へ約120キロほど、アルコア川とバサ川に挟まれたとても小さな村です。このアルコバッサの名前の由来は2つの川から付けられました。その小さな村の中に一際目立つ修道院が建っています。それが1989年にユネスコの世界遺産に登録された「アルコバッサ修道院」。ここで最盛期には修道士が1000人も修道生活していたといわれています。広大な敷地をもつアルコバッサ修道院、特徴的な内部構造もポイントのひとつです。アズレージョタイルを用いたアルコバッサ村の美しさも観光の見どころですよ。

アルコバッサ修道院とは

アルコバッサ修道院はカトリックの一派であるシトー修道会の修道院。12世紀のはじめポルトガルからイスラム教を追放する運動に関わったシトー修道会への感謝を示すものとして、初代ポルトガル王アルフォンソ1世が造らせたものです。ポルトガル最古のゴシック様式が残されている貴重な建造物で、そのほかの教会と比べてたいへん質素な造りです。これはカトリック・シトー派の規範を通した精神に基づいています。正面はバロック様式ですが内部はゴシック様式が用いれられたいるのも特徴といえます。

このアルコバッサ修道院のもうひとつの魅力が1000人もの修道士たちの生活を確保できたとされる大部屋や厨房などです。これらの場所も装飾などは大変質素で、厳格な規律の元修道士たちが過ごしていたことを物語っています。またぺドロ1世とイネスとの悲恋の物語が眠っている修道院としても知られています。

アルコバッサ修道院へのアクセス

アルコバッサ修道院まではリスボンのセッテリオスのバスタ－ミナルからバスで約2時間、ナザレからならバスで約20分、バターニャからならバスで約20分で到着です。

アルコバッサ修道院のおすすめ①：ペドロ1世とイネスとの悲恋物語

1334年当時のポルトガル王であったアフォンソは、息子のペドロ1世とカスティーリャ王族のコンスタンチ・マヌエルを結婚をさせました。しかしペドロはコンスタンチに同行していた女官たちの一人であったイネスという女性にひとめぼれしてしまいます。

ペドロは正妻を省みずイネスに夢中になり公務なども欠かしてしまう始末、アフォンソはペドロに何度もその恋を断ち切るように指図するのですが一向にペドロのイネスに対する愛は深まるばかり。王位の後継者が結婚早々不倫するなど絶対に認めないアフォンソ、ついに3人の刺客にイネスを暗殺するように命じました。

1355年の1月7日、ペドロ不在の家に3人の刺客が押し入りイネスは帰らぬ人となったのです。これを知ったペドロは怒り狂いますが、母であるベアトリスによってアルフォンソと和解。しかしアフォンソの死後、ペドロはイネスを暗殺した3人を突き止め復讐を成し遂げました。

その後ペドロはイネスの遺体を掘り出し正式に結婚。改めてイネスを棺に納めたのです。その10年後ペドロは亡くなり、二人の棺はこの聖堂に静かに眠っています。
いつか再び目覚めて棺から起きあがった時にお互いが向き合えるように、足を向き合わせた配置で置かれているんですよ。

アルコバッサの修道院のおすすめ②：修道院

アルコバッサ修道院のもうひとつのみどころは、最盛期だったときに修道士が1000人もここで暮らしていたとされる各部屋です。回廊の北へと続く広大な場所には手洗い場として使われていた小さな噴水や修道士たちの食事を作る厨房があり、まな板として使われていた大きな大理石やオリーブオイルを入れていた大きな釜などをいまも見ることができます。余計な装飾のないアルコバッサ修道院の内部はとても静寂さがあり、居るだけで心が洗われそうな雰囲気ですよ。

アルコバッサ修道院での注意事項

アルコバッサ修道院の周辺や内部はどこも禁煙となっています。撮影に関しては厳しい決まりはありませんが、写真撮影のために閉ざされている部屋などを開けてみたり展示されているものにむやみに手を出すことは控えてください。また聖堂内の棺がある場所で大きな音や声を発することは禁止されていますので注意をしてください。

◎まとめ

アルコバッサ修道院は過剰な装飾はないものの、その分彫刻や壁画には魂が宿っているかのように滋味深いものが多いです。アルコバッサの修道院は修道士たちの生活の場だけではなく、ここに語り継がれている二人の悲しい恋が静かに眠っている聖堂でもあります。二人が眠っている棺のある聖堂には世界中からカップルが観光として訪れています。アルコバッサの村と共に世界遺産アルコバッサ修道院をぜひ訪れてみてくださいね。

禁じられた恋が静かに眠る場所！ポルトガルの世界遺産アルコバッサ修道院