風光明媚なリゾート地リミニで、歴史を訪ねるおすすめスポット8選

長靴の形に例えられるイタリア半島の中で、ふくらはぎの上あたり、アドリア海に面した東側に位置するリミニ。風光明媚なリミニは、イタリアの中では有名な観光地です。夏になると美しいビーチでのバカンスを過ごそうと、恋人たちや家族連れ、さらにサンマリノ共和国に向かうバスが駅前から出ているので、国内外問わずたくさんの観光客が訪れます。しかし、それだけではありません。リミニは紀元前からの歴史を持つ町でもあるのです。リミニが記録に現れるのはローマ帝国が支配し始めた紀元前3世紀。その長い歴史の痕跡が、街中に遺跡という形で残っています。ダンテの『神曲』にも、この地ゆかりの恋人たちが登場するんですよ。さらに、映画監督のフェデリコ・フェリーニの出身地としても知られていますね。そんな魅力溢れるリミニのおすすめ観光スポット8選をご紹介しましょう。

1. アドリア海のビーチ

まずご紹介するのは、アドリア海のビーチ。毎年6月から9月にかけて観光客で賑わうリミニは、イタリア国内だけでなく、ヨーロッパ中から多くの観光客がバカンスに訪れ、「イタリアのマイアミ」と呼ばれることもあるほど。

ビーチは数十メートルごとに区切られ、それぞれの区画は面するホテルのプライベートビーチとなっています。しかし、入場料を払えばプライベートビーチに入ることができるので、自分の好きな場所でくつろげますよ。

並んだパラソルの下でのんびりしながらアドリア海の青を眺めているだけでも、日常を忘れてしまいます。ビーチリゾートの季節でなくても、ぜひ海岸まで足を運んでみましょう。リミニの観光にアドリア海は外せません！

2. トレ・マルティーリ広場

さて、ここからはリミニの歴史を訪ねていきましょう。まずは町の中心である、トレ・マルティーリ広場から。ここはビーチから2kmも離れていません。「トレ・マルティーリ」とは「3人の殉教者」を意味し、1944年8月に処刑された3人の若者を偲んでこの名前がつけられました。広場のシンボルである鐘楼を持つ時計塔は、夕暮れ時になると茜色の光で美しく照らされます。また、ジュリアス・シーザーがリミニを占領したときに、兵士たちに訓示を与えたという広場でもあります。

レストランやカフェなども並び、活気のあるトレ・マルティーリ広場。美しく整備されたイタリアらしい広場は、リミニで訪れたい場所のひとつです。

3. カヴール広場

リミニにあるもうひとつの広場、それがカヴール広場です。昔はアレンゴの広場、ガランピ広場と呼ばれたこともありましたが、現在では19世紀後半のイタリア統一運動の後、イタリア初の首相となったカヴールの名前が冠されています。

広場の真ん中で今も人々を見守るのは、17世紀に在位した教皇パウルス5世の銅像。そして大きな松ぼっくりが印象的な噴水「ピーニャの泉」は、レオナルド・ダ・ヴィンチも愛したものです。広場に隣接するアミントーレ・ガッリ劇場は、かつてヴィットーリオ・エマヌエーレ2世劇場と呼ばれていました。19世紀中盤に完成したこの劇場は、イタリアを代表するオペラ作曲家ヴェルディのオペラ《アロルド》が、1857年に初演されたことでもその名を知られていますよ。

この広場も周囲はカフェなどが並んでいます。歩き疲れたら、広場を行き交う人々を見つめながらカフェでのひと時を過ごすのもいいですね。

4. アウグストゥスの凱旋門

トレ・マルティーリ広場を横切るコルソ・ダウグスト（アウグスト通り）を南東に向かって歩くと見えてくるのが、アウグストゥスの凱旋門。紀元前27年に、ローマの元老院が初代皇帝であるアウグストゥスに贈ったこの凱旋門は、現存する古代ローマのものでは唯一のもの。そして、中部イタリアを結ぶフラミニア街道の終点でもあったんですよ。凱旋門にはゼウスやアポロン、ポセイドン、そしてローマの女神の姿が彫られており、ローマの元老院がアウグストゥスに贈ったことを示したラテン語が刻まれています。

リミニのシンボルであり町を守っていたアウグストゥスの凱旋門は、現在アルチーデ・チェルヴィ公園の入口にあたります。この公園はとても広いので、ピクニック気分で散策するのも気持ちがいいですね。古代ローマの昔に想いを馳せながら、トレ・マルティーリ広場からアウグストゥスの凱旋門を目指してみましょう。

5. ティベリウス橋

トレ・マルティーリ広場を横切ってリミニの中心に位置する、コルソ・ダウグスト（アウグスト通り）。今度は北西に向かって進んでいきましょう。かつてアリミヌス川と呼ばれたマレッキア川には、5つのアーチが印象的な石造りのティベリウス橋が架ります。この橋は北に続くエミリア街道、そしてポピリア街道の起点でもあるんですよ。コルソ・ダウグスト（アウグスト通り）を挟んで、ティベリウス橋とアウグストゥスの凱旋門という2つの象徴的なモニュメントを街道の起点・終点にしたのは、リミニという町を重要な拠点にするための皇帝アウグストゥスの案であったと言われます。

ティベリウス橋はアウグストゥスの息子、ティベリウスが皇帝になってから完成しました。頑丈な橋を造り上げようとした工事の間には大変な苦労があったそうで、神に何度祈りを捧げても工事が失敗続きだったとか。そして最後にティベリウスが祈った相手は悪魔であったということから、地元の人たちの間では「ポンテ・デル・ディアーヴォロ（悪魔の橋）」とも呼ばれています。

ちなみにティベリウスは「最初にこの橋を渡ったものの命を捧げます」と祈ったそうですが、完成してから部下に命じて最初に渡らせたのは、人間ではなく犬。悪魔は怒り狂ったそうですが、あとの祭りでした。頑丈に出来上がった橋を壊すことはかなわず、二千年経った今でもその姿は保たれています。

6. マラテスティアーノ寺院

古代ローマの時代から、政治的にも重要な拠点であったリミニ。中世に入ると、マラテスタ家がこの地を統治するようになります。中でも重要な人物が、ジギスモンド・マラテスタ。そのジギスモンドが聖フランチェスコを祀るために造ったのが、彼の家名が冠されたマラテスティーノ寺院です。ゴシック様式での建築は、完成当初には教皇ピウス2世をはじめとした人々から、異教徒の建物とそしりを受け、物議を醸しました。

今では町の人々の暮らしに溶け込み、リミニを代表する教会として親しまれています。教会の中にはジギスモンドとその妻イゾッタの墓もあり、マラテスタ家の栄華を偲ぶこともできますよ。

7. 市営美術館

さてイタリアといえば、どの町でも芸術が豊かであるというイメージがあることでしょう。実際に、それぞれの町の美術館はすばらしいものばかりで、リミニも例外ではありません。リミニは大都市ではないので、市が運営している美術館の規模も大きくありません。それでも十分な所蔵品があるのは、やはりイタリアならではでしょう。古代ローマ時代の壁画や焼き物の壺から、中世ルネッサンス期の絵画まで、幅広い所蔵品があります。リミニで見ることができる観光スポットと同じように、この町が持つ長い歴史を美術館でも感じることができるのです。

最も有名なのは、ルネサンス期のヴェネツィア派の代表的な画家であるベリーニと、ティントレットの作品です。小さな市営の美術館にもかかわらず、非常に密度の濃い時間を過ごすことができますので、リゾートとはまた別の雰囲気を味わいに観光してみるのをおすすめします。

8. ナイトスポット

このように歴史あるリミニですが、「イタリアのマイアミ」と呼ばれるだけあって、おしゃれなナイトスポットもあるんですよ。リミニでの夜を楽しめるおすすめのナイトスポットを2ヶ所、ご紹介しましょう。

◆アルトロモンド・スタジオ

地元の若者が集まるアルトロモンド・スタジオは、いわゆるクラブです。イタリアでは「ディスコテカ」と呼ばれ、毎週末になると様々な趣向を凝らしたイベントが開かれています。80年代、90年代ポップスをテーマにしたイベントや、中にはイタリアでも人気のアニメ音楽をテーマにしたイベントも。

アルトロモンド・スタジオはリミニ空港からすぐ近く、フラミニア通りに面したところにあるので、アクセスも便利です。リミニでの夜を楽しく彩ってくれるナイトスポットにもぜひ訪れてみましょう。

◆ロング・ストリート・バー127

海岸に近いレジーナ・エレーナ通りのロング・ストリート・バー127は、観光客にも人気のバー。海でのんびり一日を過ごした後に、訪れる人が多いんですよ。入り口近くはスタンディングコーナーで、奥に入るとゆっくりできるソファー席が広がっています。豊富な種類のカクテル、趣味のいい音楽、一日の終わりを締めくくるのにふさわしいひと時を過ごすことが出来るでしょう。

◎まとめ

リミニのおすすめ観光スポット8選をご紹介しました。アドリア海でのビーチリゾート、古代ローマから続く歴史ある遺跡、中世の教会、芸術に触れられる美術館、夜を彩るナイトスポットなど様々な顔を見せてくれるリミニへの旅は、忘れられないものになることでしょう。リミニへは、ミラノから特急で4時間弱、ローマから特急で4時間半ほど。イタリアに旅行する時には、ぜひ足を運んでみてください。

風光明媚なリゾート地リミニで、歴史を訪ねるおすすめスポット8選