【世界遺産】九寨溝とは？｜森と湖が織り成す神秘の世界をご紹介！

九寨溝は、四川省の北辺と甘粛省との境界の奥地にある、透き通った水が流れる美しい峡谷です。世界遺産の九寨溝を生み出した岷山山脈は、2億5千年前に海底が隆起してできたカルスト台地に広がり、4500メートル級の山々が続いています。水が森の中から流れ出す壮大なスペクタルは、世界遺産の九寨溝ならではの絶景です。

かつて住民すらほとんど立ち寄らないこの地は、1960年ごろから徐々に調査が進められてきました。1975年には専門家によって、これまで知られることがなかった絶景が世に伝えられたのです。地下水には大量の石灰が含まれていて、石灰華となり岩や土砂が付着することによって、棚田のような世界遺産九寨溝の絶景が生またのです。

九寨溝とは？

中国有数の景勝地として名高い世界遺産の九寨溝は、古くは翠海と呼ばれていましたが、渓谷（溝）に9（九）つのチベット族の村落（寨）があることから九寨溝と名付けられました。世界遺産九寨溝の全長は約50キロメートル。面積にして720平方キロメートルに及んでいます。原生林の中には「海子（はいつ）」と呼ばれる100を超える湖沼や瀑布が点在し、3つの渓谷を中心に5つのエリアが設定されています。

世界遺産の峡谷を流れる水は、最後には幅320メートル・高さ25メートルある九寨溝最大の滝「ノーリラン瀑布」へと繋っています。轟音と共に澄明な水が流れ落ちるさまは圧巻のひとこと！その美しい風景からは、数多くの神話や伝説が創り出されています。水底は石灰で白く染まり、水の色はクリアブルーで、近づくと底に倒れて沈んだ枯木まではっきりと確認できるんですよ。

また、この九寨溝にはジャイアントパンダや、金糸猴という金色の毛をもつサルなど希少な野生動物も生息しています。幻想的な景観の九寨溝は、1992年に「九寨溝の渓谷の景観と歴史地域」として世界遺産に登録されました。

アクセス

2003年に開港した四川九寨黄龍空港が、九寨溝観光の玄関口となります。ただし、九寨黄龍空港は標高3400m以上の山中にあり、気象条件による遅延や欠航が中国一多い空港といわれています。時間通りに到着すれば御の字とまでいわれているので、九寨溝で飛行機で向かう際にはスケジュールに余裕をもたせた方が良いでしょう。

陸路では成都からバス利用となりますが、空路が1時間弱なのに対して、バスだと10時間近くかかります。現在鉄道が建設中で、これが完成すると成都から九寨溝まで2時間で行けるようになります。

空港から世界遺産の九寨溝の入り口までは、エアポートバスで行くことができます。バスとはいうものの実態はワンボックスカーで、乗客が4～5人集まると出発します。所要時間は1時間半～2時間。タクシーは九寨溝までの料金が決まっているので、乗る際にその点をしっかり確認しておきましょう。

世界遺産九寨溝は2017年8月の地震で大きな被害を受けて閉鎖されていました。2018年3月に一部の観光での立ち入りが再開されましたが、当面は団体のみの受け入れとなっています。

九寨溝のおすすめポイント①：長海

長海は世界遺産九寨溝の最奥に位置する湖で、入り口の溝口ゲートからは30km以上離れています。面積は30万平方メートル、長さ7.5キロメートル、幅も600メートルあります。九寨溝最大規模のこの湖は、氷堆石が塞がってできたもので、氷河地形に典型的なS字形をしています。

ここには雪解け水と湧水が集まり、年間を通して一定の水量を保たれていて、現地のチベット族の人たちは「宝のヒョウタン」と呼んでいます。また、他の湖とは水源が異なることから「九寨溝湖の母」とも称されているんですよ。

少し高いところに展望台があり、ここから見る4000メートル級の山々に囲まれた長海の姿は格別ですよ！約200段の木道があり、湖畔まで降りて散策することもできます。また、長海の近くには世界遺産九寨溝で最も鮮やかといわれる五彩池もあるので、合わせて訪れてみてはいかがでしょう。ただし、長海は標高3000メートル以上の高所にあるので、歩いて見学する際は高山病に注意してください。

九寨溝のおすすめポイント②：五花海

世界遺産九寨溝で最も透明度が高いことで知られる五花海。孔雀川の最上流にあり、九寨溝の中心的な観光スポットの1つです。クリアブルーの湖底には、石灰華やコケ、水草や倒木までありありと見ることができます。

また太陽光の反射により、赤やオレンジ、黄、緑などさまざまな色が混じりあい、幻想的なスペクタクルを見ることもできますよ。その変化に富んだ景観は100以上ある九寨溝の湖のなかでも随一で、「九寨精華」と称されています。

石灰華に覆われた白い水底と青い水色からは、まるで静寂という名のプレゼントをもらった気分に浸れるでしょう。湖には「高山冷水魚」が生息しているので、ぜひ探してみてください。正式には「嘉陵裸裂尻魚」といい、「高山裸鯉魚」とも呼ばれるこの魚は、世界遺産九寨溝に生息する唯一の魚です。

九寨溝のおすすめポイント③：双龍海瀑布

世界遺産九寨溝の渓谷では、数ある瀑布（滝）も大きな見どころです。なかでも人気の高いものの1つが、この双龍海瀑布。ターコイズブルーの美しい双龍海に注ぐ滝の景色は、仙人というより女神か妖精が水浴びに興じていそうです。

幅は広いものの、高さがそれほどないのが双龍海瀑布の特徴。そのため、水は樹々の間からしみ出すように零れ落ちていきます。滝といえば一般にはマイナスイオン溢れる豪快なものが好まれますが、世界遺産九寨溝の双龍海瀑布は、青い滝壺と柔らかな水柱で訪れる人を魅了します。

◎まとめ

中国が誇る世界自然遺産の1つ九寨溝をご紹介しました。ここに住む山の女神が天界から落とした鏡が割れ、飛び散った破片が美しい湖を作ったという素敵な伝説が残る世界遺産です。

2017年の地震により観光での立ち入りにまだ制限が設けられていますが、いずれよりアクセスのしやすい世界遺産スポットとして復活することでしょう。

【世界遺産】九寨溝とは？｜森と湖が織り成す神秘の世界をご紹介！