名称:延安棗園革命旧跡
住所:延安市宝塔区
唐の時代に都が置かれた長安(西安)から北にある街「延安」。周囲は山に囲まれ、川に沿って街が形成されています。中国国共内戦(国民党と共産党の対立)で毛沢東率いる共産党指導者が一時、本拠地とした場所が延安です。
延安はその共産党の革命の起点となった場所と言われ、中国近代史において必ず登場する重要な場所です。そのため中国共産党の聖地ということで観光に訪れる方もいます。現在も続く「中国共産党」のルーツを探るのにはぴったりの観光スポット延安。革命の始まりとなった観光地を中心に紹介していきます。
1.延安棗園革命旧跡
「延安棗園革命旧跡」は延安市の西北、約8キロほどのところにある重要保護文化財でもある観光スポット。かつては地主の荘園だった場所で、中国共産党中央がここに中央社会部を置きました。棗園革命旧跡は当時「延園」と呼ばれ、正門の両側にある柱には後の毛沢東の片腕となる共産党の重要人物・康生が書した「延園」の文字を見ることができます。
棗園は1944年から1947年まで、中国共産党の中央書記・楊家レイが使用していました。リーダーとして全党の運動を指揮し、解放区軍民を展開。延安で中国共産党の党大会の準備や、日中戦争の指揮を取りました。日本との戦争が終わると共産党は国民党と再び対立し、内戦を集結させるため棗園で作戦を練ったのです。
毛沢東はこの地で「指導方法に関する若干の問題」、「地租減税の展開と生産による愛民運動」など多数の中国革命の貴重な文書を残しました。中国の歴史にとって欠かせない延安の観光スポット「延安棗園革命旧跡」。歴史的背景も知識に入れて観光するとより楽しめますよ。年間を通して美しい庭園もあるので、ほっと一息つくのにもオススメです。
2.宝塔山
その昔「嘉レイ山」と呼ばれた宝塔山は、延安中心部から東へ行ったところにある観光スポットです。頂上から延安の街全体が見渡せます。山頂に塔があることから「宝塔山」と呼ばれるようになりました。
標高は1135メートルで初代の宝塔は唐の時代に建てられましたが、現代の塔は明の時代のものです。八角形の形をした九層構造で、高さは約44メートルあり楼閣式をしています。宝塔山は革命の聖地である延安の「シンボル」とも言える観光スポットで、中国共産党が延安に移ってからは革命の象徴として存在感を発揮しました。中国の近代史に興味のある方は、観光プランに入れておくといいですね。
名称:宝塔山
住所:延安市宝塔区
3.楊家レイ革命旧跡
楊家レイ革命旧跡は、延安市の西北約3キロの楊家レイ村にある観光地です。1938年から1940年と1942年から1943年の間、中国共産党中央がここで中国革命の指揮を取りました。
毛沢東は1938年の11月から1943年の5月まで滞在し、1940年の秋になると中央大礼堂の改修工事で環境が悪化したため、毛沢東をはじめとした一部の指導者は、同じく延安にある「棗園」へと機関を移転。1942年に「楊家レイ革命旧跡」に戻りましたが、1943年には再び棗園へと移りました。
毛沢東はこの地で「中国革命と中国共産党」や「新民主主義論」、「延安文芸座談会講話」といった重要な文章を数多く執筆しました。1945年に「中共第六七中全会」において「歴史問題に関する決議」を行ったことから「中国革命の聖地」と呼ばれ、現在では観光客向けに解放されています。棗園と合わせて観光するとより中国の歴史を感じることができるでしょう。
名称:楊家レイ革命旧跡
住所:延安市宝塔区
4.ガン轅廟
ガン轅廟は別名「黄帝廟」とも呼ばれ中国の伝説上、最初の皇帝とされる「ガン轅」を祀った延安の観光スポットです。皇帝の「皇」が「黄」と同じ発音であることから、黄色は皇帝を表す色とされました。
場所は橋山の麓。長方形でメインパートの「古柏院」の奥行きは140メートル、幅は84メートルある人気の観光スポットです。建物は南北方向に並び山門にはじまり、過亭(誠心亭)、碑亭、大殿と続いています。東側には碑廊(廊下)が走り、西側には接待室と文物陳列室があります。また、周囲は赤い塀で囲われ、花崗岩で作られました。廟内には大木が16株、植えられていて緑のある良い雰囲気です。
中心地にある延安駅から南に約150キロほどの場所にあり、やや距離があります。自動車でも2~3時間はかかるので、さらに南にある西安観光へ向かう途中で立ち寄るのがスマートでオススメな観光コースですよ。
名称:ガン轅廟
住所:延安市黄陵県
5.延安清涼山新聞出版革命記念館
中国で最初に新聞業をスタートした場所として知られる観光スポット。1986年10月に開館し、延安の東にある清涼山の山頂にあります。日中戦争と第三次国共内戦の1937年から1947年にかけて、清涼山には中国共産党指導者の新聞出版部門が設置されました。
記念館には多くの写真が展示され、観光客向けに当時の「解放周刊」、「新華通訊社」、「新中華報」、「解放日報」、「辺区群衆報」、「延安新華広播電台」が再現されています。展示を通して中共中央出版発行部や中央印刷工場が味わった創業時の苦労話や民族解放事業に勝利した軌跡を見ることができます。延安駅からも車で30分ほどの観光地なので、アクセスしやすいですよ。
名称:延安清涼山新聞出版革命記念館
住所:延安市宝塔区
◎まとめ
延安は山間にある街のため交通の便がそれほどよくないですが、近現代の中国の歴史において重要なポイントが多く存在する歴史好きにはたまらない観光スポットです。延安を訪れる際は中国共産党について予習をしておけば、何倍も観光を楽しめますよ。また、豊かな自然も延安の魅力の一つ。宝塔山を上って汗を流すのも気持ちいいですよ。ぜひ延安を訪れて中国の歴史の一端に触れてみてくださいね。