名称:ハイ・コースト/クヴァルケン群島(High Coast / Kvarken Archipelago)
住所: Sweden/Finland
公式・関連サイトURL:http://whc.unesco.org/ja/list/898
北欧のボスニア湾の周りには、かつて氷河に覆われ氷河の重さで押し下げられていた地殻が、氷河が溶けたことによって隆起する「アイソスタシー(地殻均衡説)」という地質学上とても貴重で、驚異的な現象が今も続いている土地があります。
ユネスコの世界自然遺産として登録されているスウェーデンの「ハイ・コースト」とフィンランド「クヴァルゲン群島」は、2か国にまたがる珍しい世界遺産。そんな息づく大地である世界遺産「ハイ・コーストとクヴァルゲン群島」をご紹介します。
目次
ヘーガ・クステンと クヴァルケン群島【スウェーデン・フィンランド世界遺産】
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ハイ・コースト/クヴァルケン群島とは?
バルト海北部のボスニア湾沿岸にあるスウェーデンのハイ・コーストとフィンランドのクヴァルケン群島は、氷河の融解に伴い土地が隆起するリバウンド現象「アイソスタシー(地殻均衡説)」が地球上で最も顕著に現れている地域です。
世界遺産としては、まず2000年に「ハイ・コースト」が単独で登録され、2006年には同じボスニア湾にあるフィンランドの島々「クヴァルケン群島」が拡大登録されました。
スウェーデン語で「ヘーガ・クステン(Höga kusten)」と呼ばれるハイ・コーストは、「高い海岸」を意味しています。その名の通り高くそびえ立つダ断崖と、たくさんの入り江、湖、無数の島々から成るとても複雑な景観が特徴です。
クヴァルケン群島は、ボスニア湾を挟んだハイ・コーストの対岸にあります。この2国にまたがる世界自然遺産「ハイ・コーストとクヴァルゲン群島」は、地球の歴史と息吹を体感できる場所として人々を魅了し続けています。
ハイ・コースト/クヴァルケン群島へのアクセス
スウェーデンのヴェステルノールランド県にあるヘーガ・クステン(ハイ・コースト)へは、首都ストックホルムから電車やバス、飛行機、車などでアクセスすることができます。
ストックホルム中央駅から出るバスで、数時間。ストックホルムから飛行機で行く場合は、ハイ・コーストに近いヘーガ・クステン空港やスンズヴァル空港から電車やバス、車でアクセス可能です。
フィンランドのクヴァルケン群島へは、ヴァーサから美しい景色に癒されながらフェリーに乗って行くことをおすすめします。
おすすめポイント①:ハイ・コースト(スウェーデン)
スウェーデンの世界遺産ハイ・コースト。現地ではヘーガ・グステン (Höga kusten) と呼ばれていています。ここでは大地のリバウンド現象が今も続いており、1年に約1cm、100年で1m近く今も上昇し続けていると言われる、まさに大地が息づいている場所です。
地殻上昇によって、かつて海だった場所に陸地が現れ、入江だった場所は湖になりました。現在は氷河に削り採られた高い岩壁のそばに、入江や湖、沼、緑豊かな島々などが入り組み、多彩な美しい景観を楽しめる世界遺産として注目されています。
海岸線には先史時代の遺跡があったり、まるでサンフランシスコのゴールデンゲートブリッジを想像させるような美しい吊り橋「ベガクステン橋」が河口にかかっていたりと見どころが多く、ハイキングコースも多数整備されています。ベガクステン橋は世界遺産対象ではありませんが、4年の歳月をかけて建築され、1997年12月に開通しました。世界で16番目の長さという立派な橋で、ボスニア湾へ流れ込む河川の両岸を結ぶ役割を担っています。
夜のライトアップされたベガクステン橋はとてもロマンチック。ドライブしながら、ゆったりと世界自然遺産の魅力を満喫したいですね。
おすすめポイント②:クヴァルケン群島(フィンランド)
スウェーデンのハイ・コーストと同様に地殻隆起のリバウンド現象が見られる地として、世界遺産に拡張登録されたフィンランドのクヴァルケン群島。フィンランドで唯一の自然世界遺産でもあります。
クヴァルケン群島では、ハイ・コーストとはまた趣の違った景色が広がります。ハイ・コーストは切り立った絶壁など荒々しい自然美も多いのに対し、クヴァルケン群島は豊かな水と緑の穏やかな自然美といった感じです。現在も土地が隆起し続けているので、100年後には見える光景が変わっているかもしれません。
クヴァルケン群島を望む展望台に上ると、まるで水面に緑の絵の具を流したかのように様々な形をした島が点在する絶景が目の前に広がります。特にクヴァルケン群島の奥の水平線に夕日が沈んでいく様子は息を呑むような光景なので、うまく時間を合わせて世界遺産を観光したいですね。
おすすめポイント③:世界遺産でハイキングを楽しもう(スウェーデン)
スウェーデンのアウトドア雑誌や新聞のハイキングトレイルランキングで1位を獲得したことがある世界遺産のハイ・コーストは、スウェーデンでハイキングを楽しめる美しい場所の1つ。約128kmも続く長いハイキングトレイルでは、大自然の絶景を眺め、美しい自然に癒されながらハイキングを楽しめるんですよ。
色鮮やかな花々を見ながら歩き、休憩を取りつつ静かで美しい海も見渡せます。楽しみながらゆっくりと世界遺産を満喫しましょう。
おすすめポイント④:クヴァルケン群島のラムサール条約登録地(フィンランド)
クヴァルケンの隆起している場所はデキア氷堆石の海嶺としても知られています。クヴァルケン群島のヴァルソラルナは自然遊歩道が整備されているので、ぜひ大自然に囲まれながらの散歩を楽しみましょう。
クヴァルケン群島は鳥の営巣保護区にもなっているため、アビやハジロウミバトの営巣地で、春になるとツルやノスリが渡ってきます。ラムサール条約の登録地もあり、白鳥やオジロワシを見かけることもあるんですよ。また、この海域には、二シンやカマスなどが生息しています。
◎スウェーデン・フィンランドの世界遺産「スウェーデンのハイ・コースト/フィンランドのクヴァルケン群島」まとめ
世界遺産である「スウェーデンのハイ・コースト/フィンランドのクヴァルケン群島」をご紹介しました。フィンランドにあるクヴァルケン群島ではサイクリング、セーリング、トレッキング、釣り、カヌーなどいろいろなアクティビティを楽しむことができますよ。海から隆起した地面を眺めたり、大自然に囲まれた遊歩道を歩いたり、とても充実した時間を過ごすことができる場所です。
ハイ・コーストではぜひ博物館にも足を運んでみてください。アイソスタシーという珍しい自然現象を目の当たりにできて、のどかな風景が広がる美しいハイ・コーストとクヴァルケン群島へあなたも訪れてみませんか。