イスラムとヒンドゥーが融合した都!インドの世界遺産ファテープル・シークリー

イスラムとヒンドゥーが融合した都!インドの世界遺産ファテープル・シークリー

インドのウッタル・プラデーシュ州アーグラ近郊にある、ムガル帝国第3代皇帝アクバルが建設した都市「ファテープル・シークリー」は世界遺産に登録されている都市です。

当時アクバル皇帝はすでにアーグラに立派な都を構え、インド全土を手中にしていました。唯一足りなかったものが、後継ぎがいないことでした。そこでシークリーに住むイスラム教の聖者シェーク・サリーム・チシュティーを訪ねると、聖者は王子誕生を予言します。翌年、予言通りに第4代皇帝となるジャハーンギールが誕生したことで、アクバル帝は感謝の意味からサリームが住む地シークリーに新たに都を築き遷都。ファテープル・シークリーとなりました。

そんなファテープル・シークリーですがわずか14年で捨てられてしまったため、戦火にも合わずに当時のままの姿を垣間見ることができる貴重な世界遺産です。

目次

イスラムとヒンドゥーが融合した都!インドの世界遺産ファテープル・シークリー

ファテープル・シークリーとは?

出典: Skouatroulio / istock

1986年に世界遺産に登録されたファテープル・シークリー。16世紀にアクバル帝が予言通り後継ぎが生まれたことに対する感謝としてシークリーに建てた都です。世界遺産登録名の「ファテープル・シークリー」は勝利の都シークリーという意味があります。

ファテープル・シークリーの中にはイスラムとヒンドゥーを融合しようとするアクバル帝の思想が随所に見られます。ムガル帝国はイスラムの国でしたが、現代同様、古代からこの地にはヒンドゥー教徒が多数住んでいました。

宮廷内には純粋なイスラム建築物はありません。イスラム式に石材を用いた建築ながらも、その姿はまるで木造のヒンドゥー建築のような佇まい。これはアクバル様式としてとして知られています。多様な文化を受け入れて、新たな芸術が創造された素晴らしい一例といえますね。

5年の歳月をかけて造られた豪華な都をわずか14年で放棄しているので、保存状態の良い貴重な建築を堪能できますよ。

ファテープル・シークリーへのアクセス

世界遺産のタージマハルやアーグラ城塞のある都市、アーグラから車で約1時間ほどです。

アーグラまでは首都デリーからバスで行く場合、所要時間は約5時間。
または早朝発の特急列車シャターブディー急行で世界遺産の建造物群がある町、アーグラに行く方法も人気があります。朝6時15分にニューデリー駅を出発し、およそ2時間ほどでアーグラに着きます。

アーグラからは車をチャーターしてファテープル・シークリーへ向かいます。

ファテープル・シークリーのおすすめポイント①:モスク地区

出典: Roop_Dey / istock

ファテープル・シークリーのモスク地区は広大な庭を持つ、ジャマー・マスジド(金曜モスク)やサリーム・チシュティーの霊廟などが世界遺産としての主な見どころとなります。モスクは毎週金曜日になると、たくさんのイスラム教徒が礼拝に訪れる信仰の場所です。

ファテープル・シークリーのモスクはしっかりとイスラム色を反映させつつ、その中にヒンドゥーの要素も少し入っています。例えば礼拝室は全て高価なインドの赤砂岩で作られ、インドの伝統的な柱や梁の軸組構造が見られます。そこにイスラム様式のペルシャアーチが組み合わさることで唯一無二のオリジナリティーのあるモスクになっています。

王子の誕生を予言した聖者サリームが眠るサリーム・チシュティーの霊廟は周囲の建造物が赤を基調としている中で、ひときわ目立つ白大理石で造られています。ここはやはり子宝を望む巡礼者が多く訪れています。世界遺産「ファテープル・シークリー」の「発端」を感じられる建造物ですね。

ファテープル・シークリーのおすすめポイント②:宮廷地区

出典: boonsom / istock

世界遺産「ファテープル・シークリー」の宮廷地区はアクバル帝が理想とした文化の要素を随所に見ることができる建造物がいくつもあります。その一つがディーワーネ・ハースです。

このファテープル・シークリーを代表する建造物は特別謁見の場でした。2階の吹き抜けに対角上のブリッジがかけられ、この部屋の玉座は、謁見者が真上を見上げたところに位置しています。1階で諸派の賢人たちが議論するのを見ているアクバル帝がそこにいたのを思い浮かべながら見学すると、彼の絶対的な権威を感じられそうです。

世界遺産であるこの宮廷の他の際立った建造物として、パンチ・マハルをあげましょう。5層の建造物は壁がなく、四方への見通しが良くきく造りになっています。ここは遊戯や納涼もしくは展望のための建造物だったと考えられています。これだけ大きな建造物でありながら同じ装飾の柱が1本もないというのも、アクバル帝の強いこだわりを感じます。

◎まとめ

ムガル帝国の都として建設されたファテープル・シークリーはたったの14年の命でした。放棄された理由は謎のまま(水不足など諸説あり)です。しかしその分現代まで良い保存状態のもとにあり、イスラムとヒンドゥーの融合の新たな文化を反映した素晴らしい建造物を見ることのできる貴重な世界遺産です。

インドの世界遺産の代名詞、タージマハルまで行くのなら、少し足を延ばしてぜひもう一つの世界遺産「ファテープル・シークリー」も訪ねてくださいね。

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