ウクライナ - シンフェロポリについて

シンフェロポリはウクライナ領のクリミア自治共和国の首都でしたが、2014年にロシア領に編入されています。しかし、国連総会儀でこのロシアへの編入を認めていない国が大半となっており、正式にはウクライナという位置づけを保ったままです。シンフェロポリの前身は1400年に建国されたクリミア・ハン国で、「白いモスク」という意味を持つアクメスジトという地名が付いていました。東ヨーロッパを代表する商業都市として栄え、現在の市域は王宮と市街地をそのまま利用して都市構成がなされています。約300年間繁栄を築いたクリミア・ハン国は1784年に滅亡してロシア帝国に併合されると、都市名を現在のシンフェロポリに改名して、新設されたダヴリダ県の県都として機能するようになります。シンフェロポリとはギリシャ語で「有用な都市」を意味しており、東ヨーロッパとの重要な貿易都市になりました。第二次世界大戦時は一時期ドイツ軍に占領されたものの、1954年の、ペレヤースラウ条約でロシア・ソビエト連邦社会主義共和国から、ウクライナに帰属変更をすることとなって現在に至ります。中世時代同様にウクライナの産業の中心地で、食品・自動車製造をおこなう会社が市内に点在しています。人口約34万人のうち市内の製造業会社に従事している人の割合が約75％と高く、市内で衣食住を補えるのがシンフェロポリの特色のひとつです。シンフェロポリは北半球の緯度が高い地域に都市があり、年の平均気温が約19.5度しかありません。冬季になると氷点下20度を下回る極寒の地で、民家ではオンドルと呼ばれる薪を使用する床暖房が完備されています。シンフェロポリの主なランドマークは、「大祖国戦争英雄像」「ケビール・ジャーミー」「クリミア宮殿」「シンフェローポリ国際空港」の4つです。「大祖国戦争英雄像」はシンフェロポリの中心地にあるケビン広場にあり、高さ20mの巨大な銅像です。この像は1921年のクリミア戦争時に起きた十月革命の指揮官・ヴラーンゲリ将軍の姿を模っています。この十月革命がウクライナが旧ソビエト連邦から独立するきっかけにもなっており、シンフェロポリだけでなくウクライナにとっても非常に重要な位置を占める出来事です。毎年12月12日には大祖国戦争英雄祭が催されていて、当時の軍服に身を包む人達が集まり盛大な式典がなされています。ウクライナを代表するお祭りでもあるので、国内外から数多くの観光客で賑わいを見せます。「ケビール・ジャーミー」は市の南東部にあるイスラム教寺院で、1508年に創建されました。ウクライナはイスラム教が多く、「ケビール・ジャーミー」はウクライナ国内のメッカの役割を担っている所です。アラビア建築様式で金色に輝く天蓋が一際目立ち、ラマダンの時期はこの寺院一帯にイスラム教徒が集います。普段は一般公開をなされているので、市民が自由に出入りをすることができる観光スポットです。「クリミア宮殿」は初代知事を務めたミハエル・セミョーノヴィッチが創建した宮殿で、現在も県議会場になっています。ギリシャ様式の宮殿で、正面玄関にはギリシャ神話に登場するポセイドンの彫刻が施されているのが特徴です。クリミアはウクライナの革命の都市という顔もあるので、革命を意味するポセイドンが県の象徴になっています。「クリミア宮殿」には一般市民は立ち入ることはできませんが、市の中心部にあり、観光で訪れた時はその姿を大通りから見ることはできます。「シンフェローポリ国際空港」はシンフェロポリの東部に位置する空港で、1975年に開港しました。クリミア県の玄関口であり、ロシア・イタリア・トルコ・スイスなど計12か国の国際旅客機が離発着しています。1日の旅客機の本数は30往復と少ないですが、旅客以外にも貨物輸送機も到着する空港でクリミア県周辺地域の重要な経済活動を担っている空港です。鉄道と直結していて、市中心部から約40分で向かうことができます。シンフェロポリで宿泊するのにおすすめの地域は、市中心部のヤルタ地域です。商業施設が多く、外資系ホテルもあるので観光客にとって滞在しやすい地域なのが特徴です、シンフェロポリ市内を循環しているトロリーバスのターミナルもあり、市内観光もしやすいことでしょう。国際空港から鉄道で移動するだけで中心部に向かえるので、アクセスのしやすさも魅力です。