タイ - トラートについて

トラートはタイ王国の中部にある県（チャンワット）の一つで、タイの海岸線における東端に面しており、隣国カンボジアとの国境に接しています。トラートの東南部は山脈と海岸線までのわずかな間がタイとなっており、ユーラシア大陸側ではカンボジアに食い込んでいるような形状です。その海岸線の西にはタイでも2番目の大きさがあるチャーン島があり、このチャーン島を含む諸島はチャーン諸島海洋公園に指定されている地域となっています。この他、隣県のチャンタブリーとともに宝石がよく産出され、また広く取引されていることでも知られます。
トラートの気候は熱帯性で、年間を通じて気温差が少ない地域です。熱帯モンスーン気候で見られる乾季と雨季がありますが、乾季でもまったく雨が降らないわけではなく、年間を通じて降雨が観測されます。乾季は12月から翌年の4月ぐらいまでで、それ以外が雨季になりますが、特に6月から9月にかけては雨が多く、8月頃にピークを迎えます。乾季は比較的晴れた日が続きますが、乾季の終わりである4月が1年でもっとも気温が高くなり、平均最高気温が32.9度です。一方で雨季のモンスーン・シーズンには大量の雨が降るスコールとなり、8月には月間降水量は1000ミリを超えます。年間降水量は4710ミリほどあり、トラートはタイの中でも有数の大量の雨が降る地域です。一方で年間平均気温は27.1度で冬でも20度を下回ることはありません。このため、保養地としても人気があります。
タイでは観光に対して積極的な対応を取っていますが、トラートも同様に観光地として知られる地域です。特にカンボジアとの国境に接していることもあり、国内外の人々が往来するため宿泊施設も多くあります。トラートの観光といっても自然を楽しむリゾートタイプのもので、タイの首都であるバンコクから約330キロメートルの場所にあるトラートは、豊かで手つかずの自然が観光の中心です。
知られる観光名所としては、チャーン島や、その南に広がる諸島のマーク島とクート島が広く知られています。チャーン島は島の7割を熱帯雨林で覆われており、手つかずの自然に触れることができる場所です。また、チャーン島は東西でまったく異なった顔があり、島の西側は観光客向けの施設やホテルが立ち並び、反対に東側は島の病院や学校などがあり、地元の人々が生活をしています。島の北東には、ホワイトサンドビーチと呼ばれる名前の通り白く美しい砂浜があり、周辺にはレストランやパブ、ホテルなどがあり観光の拠点となる場所です。食材は地元で獲れた魚介類が使われており、美味しい料理を出す店もあります。より美しい自然を楽しみたい場合には、チャーン島の南にあるマーク島やクート島がおすすめです。特にマーク島は、澄んだ海が広がっておりシュノーケリングが人気です。クート島は他の島と比べて開発が進んでおらず、手つかずの大自然を楽しむことができるだけではなく、内陸部は秘境感があるため自然を感じたいという人にはおすすめでしょう。
トラートの歴史ある建物としては、ワットパイロームがあります。ワットパイロームは、トラートで最初の学校として建てられたお寺で、約150年前に作られました。現在は、きれに整備されており公園のようになっています。建物は近代的でモダンなものですが、景観もよく地元の人々の憩いの場所となっています。現在もお寺として使われている他、境内には幼稚園や修行僧のための宿泊施設もあり、また入口には朝に屋台が出店して食事できる場所が用意されているため、飾らないトラートの雰囲気を楽しむのには絶好の場所です。
トラートは観光地としても、またタイ・カンボジアの国境の町としての性格もあるため全域にわたって宿泊施設が点在していますが、観光を目的に訪れるのであれば、チャーン島やマーク島、クート島がおすすめの地域です。外国人相手の宿泊施設も多くあり、きれいな海や手つかずの自然を楽しみたい拠点としても向いていますし、それにリーズナブルな料金で宿泊することができるため、長期の滞在にもおすすめします。もちろん、ホテルの種類も本格的なリゾートホテルからバンガローやゲストハウスなどさまざまな種類のものから選ぶことが可能です。一方で、宿泊料金や利便性を重視して宿泊したいのであれば、トラートの中心部が向いており、リゾート地よりも安価に宿泊することができます。