タイ - スコータイについて

スコータイは、タイ王国北部に位置する県であり、タイ族が13世紀初頭にカンボジアの約90%を占めるクメール族に打ち勝ち、開いた独立王朝の王都です。スコータイは、タイ3大王の1人に数えられるとともに県章に用いられているスコータイ王朝第3代国王「ラームカムヘーン」の治世時に最盛期を迎えた都市であり、現在は「古代都市スコタイと周辺の古代都市群」としてユネスコの世界遺産に登録されています。第3代国王ラームカムヘーンは、実父にして建国者であったシー・インタラーティットに続き第2代国王となった兄「バーンムアン国王」の副王時代に県北部のシー・サッチャナーライに赴任していた時代があり、赴任時代には中国から輸入した陶磁器の製法でシー・サッチャナーライを窯業の町にするとともに、日本で宋胡録焼と呼ばれ珍重されるほど発展させました。シー・サッチャナーライは、窯業だけでなく戒律の厳しい上座部仏教が盛んな都市となり、現在は「古代都市スコタイと周辺の古代都市群」の構成要素として「シーサッチャナーライ歴史公園」もユネスコ世界遺産に登録されています。スコータイ歴史公園は、ランドマークとなっているワット・マハタート寺院と王宮を中心に、東西1.8km 南北1.6kmの城壁に囲まれた旧市街地「ムアン・カウ」だけでなく、旧市街地外東側のワット・トラバン・トーン・ラーンや西側のワット・マンコンなど上座部仏教の寺院が数多く残されている歴史公園です。ワット・マハタートは、初代国王シーインタラーティットによって王朝の開闢とともに1220年〜1238年の在位期間に創建されたとされる寺院であり、約200m四方の東側以外の三方に約10m幅の堀と周壁が整備されています。ワット・マハタートは、仏舎利を安置したストゥーパを中心に歴代の王族や高層の遺骨をおさめたチェディが184本配され、蓮の蕾の高貴な美しさが印象的な寺院となっています。ワット・シーサワーイは、12世紀末期から13世紀初頭にかけてクメール人によって建設されたヒンドゥー教の「聖なる池の寺院」の意味を冠する寺院であり、クメール様式で建立されたヒンドゥー教の3基の仏塔が特徴です。スコータイ歴史公園は、基本的にクメール族とタイ族の両王朝が建立した寺院遺跡がメインですが、かんがい施設遺産に登録されている「ルワン王の堰」や市の守護神を祀る柱「ラックムアン」、及び窯跡の「タオトゥリアン」などの仏教色の薄い遺跡も維持管理されている歴史公園です。シー・サッチャナーライは、チャオプラヤ川の上流に移動したタイ族が興した「チャリエン」の西側に1250年に建設した王朝第2位の都市であり、第3代国王ラームカムヘーン治世時に最盛期を迎えました。「シーサッチャナーライ歴史公園」は、東を流れるヨン川に沿って南北900m×東西700mと細長い都市遺跡であり、「ワット・プラシーラッタナーマハータート」を中心に「ワット・チェーディーチェットテーオ」や「サンカローク窯」など数多くの遺跡があります。ワット・プラシーラッタナーマハータートは、クメール王朝初の仏教徒の国王「ジャヤーヴァルマン7世」によって創建された大乗仏教の寺院であり、現在はタイ王国第1級王室寺院としてタイ王室の手厚い庇護下にある寺院です。ワット・プラシーラッタナーマハータートは、東西250m 南北50mの長方形の敷地をラテライトの周壁で囲まれ、天女ともされる水の星「アプサラス」のローレリーフが装飾された東側の正門が印象的です。この寺院は、クメール王朝時代に建設された経緯からカンボジアのアンコールワットに見られる「バイヨン様式」や「スリランカ様式」の仏塔などスコータイ様式の「ワット・マハタート」とは大きく異なり、初代国王シー・インタラーティットの建国の経緯がうかがえる寺院でもあります。サンカローク窯は、第3代国王ラームカムヘーンが推奨した陶磁器の窯跡であり、「コ・イーノ村」と呼ばれる約1.5平方kmの地域に約200基の遺構が発見されている宋胡録焼の生産地です。サンカローク窯は、タイ族が建設した「水の都」の名を冠するチャリエンの西側のシー・インタラーティット北部にあったことから何度も洪水に見舞われたとされ、第3代国王ラームカムヘーンが中国から陶磁器の製法を輸入する200年から300年前から陶器が生産されていました。スコータイは、新市街のホテルを拠点に2つの歴史公園を巡る観光が定番かつおすすめですが、国内で最も美しい「ロイクラトン祭り」や「ハッシアオ象得度式」などの伝統文化に触れるのもおすすめです。