タイ - ピッサヌロークについて

ピッサヌロークはタイ北部に位置する県で、地元ではピロークと呼ばれており、ラオスとの国境を有し、日本語ではピサヌローク県とも表記されます。ピッサヌロークはナーン川とクウェーノーイ川が市街地に近いことから、二つの川という意味のあるソーンクウェーと呼ばれて親しまれており、三つの国立公園を保持する自然豊かな環境です。ピッサヌロークはピッサヌ神の世界「ローク」といった意味がありますが、この名前の由来にはブッダとの深い関わりがあるとされています。あるとき、サモー山にブッタが来ているということを聞いた当時の王は縁起が良いと考え、そこへ都市を建設することにし、都市の建設を伝えるための使者がサモー山に到着しました。ここでは聞いたとおりブッダが来ていましたが、彼の弟子が2人死去していたため、都市を建設するときに彼らを弔う祠を建てた後に新都の名前をどうするかと考えたときに「ピッサヌ神がいまだ見ているうちに陛下が到着したのでピサヌロークとすればよい」ということでピッサヌロークという名前になりました。実際にこの山にブッタがやってきたという記録がないため、おとぎ話として現地の人は語り継いでいますが、実際にもピッサヌロークはスコータイ王朝時代から主要都市として発展しており、一時はアユタヤー王国の首都だったこともあります。
タイは基本的には気温が高い国でもあり、ピッサヌロークも年間通して気温は高めで平均月気温は30度から37度です。日中は40度を超えるような猛暑日を記録することもあり、夜は20度前後と寒さを感じるといったことは少なく、氷点下を記録するということもありません。そのため、降雪や積雪の心配も不要です。ピッサヌロークは雄大な自然と歴史が癒合する都市として、高い注目をされており観光業も都市の経済を支えています。
ピッサヌロークにはタイでも最も美しいといわれている仏像チンナラートがあり、高さ3.5メートルの黄金に輝く仏像は県章にもデザインされており、都市のランドマークのような存在です。チンナラートが保管されているのはワット・プラシー・ラッタナ・マハータート・ウォーラマハーウィハーンというお寺で、長い名称から地元の人々は「ワット・ヤイ」と呼ばれています。タイで最も美しいといわれているチンナラート仏が製作されたのは西暦1357年頃のスコータイ王朝第6代リタイ王時代だと言われていますが、正確なことは分かっていません。この時代には多くの寺院や仏像が建てられたといわれ、青銅製で豪華で迫力のある光背を前にあぐらを組み右手の指を地面に向けている降魔印を結んでいる仏像が多く見られますが、これはタイの仏像の多くが行なっている印相です。ゴールドに輝くチンナラートですが、元々は金色ではなく1603年に塗り替えられ、その後も幾度か金塗装の塗り替えが大々的に行なわれています。寺にはチンナラート像だけではなく、様々な見所があるため、チンナラート像を参拝した後は寺の周辺をゆっくりと散策し、仏教のおごそかで優美な雰囲気を堪能できます。
ピッサヌロークには仏教を身近に感じることができる神聖な場所が多いのですが、自然を楽しむことできる観光スポットも観光客に人気です。ピッサヌロークには三つの国立公園があり、亜熱帯植物が生息している公園にはゾウやラングールなどの自然の中で生きている動物を見ることができます。また、国立公園の中にはかつて政治や軍のトレーニングキャンプ場の跡地があり、民主主義と共産主義による争いに関しての逸話がある歴史と政治を自然の中で感じることができるため観光客に人気の公園です。
歴史と自然が融合する都市は観光地としてもおすすめで、宿泊先に選ばれることも多いです。都市のランドマークであるチンナラート像がある、通称ワット・ヤイの周辺には観光者向けのホテルも複数点在しています。徒歩圏内でホテルから観光名称にアクセスすることができるだけでなく、ホテルの種類も多種多様でリゾート的なホテルから民宿のような低予算で利用することができるようなホテルもあります。市内には路線バスも走っているため、少し離れたホテルからでもワット・ヤイまでのアクセスも便利なのですが、ワット・ヤイはタイのなかでも特に人気の観光地です。そのため日中は観光のツアー客で賑わっており、ゆっくりと散策できる早朝などに観光するためにはワット・ヤイ周辺のホテルへの宿泊がおすすめです。