スペイン - ラス・パルマスについて

ラス・パルマスは首都マドリッドから南に位置する観光都市であり、中世ヨーロッパにおいて大航海時代の際にアフリカ大陸の交易品を本国に運ぶための貿易拠点として栄えてきた歴史があります。国の所属はスペインですが、ラス・パルマスがある位置というのはアフリカ大陸とスペインの中間に位置する島国です。アフリカ大陸に近いこともあり、ラス・パルマスの気候は亜熱帯とステップ気候の特徴を持った地中海性気候になります。地中海性気候は赤道によって発生した暖かい空気が、偏西風を通して北上することによって発生する気候です。ラス・パルマスは交易品を本国に中継する地点なので、スペインの内陸部と違って標高の高い山が存在しません。分かりやすい例でいえば日本の沖縄のような存在であり、南からの暑い空気が遮られることなく北上するので1年を通して暖かいです。周りを海に囲まれた土地ではあるのですが、ラス・パルマスはヨーロッパ大陸とアフリカ大陸からあまり離れていないので、蒸発した海水の影響を受けづらい地域になっています。湿度自体があまり高くなく、夏は乾燥して暑く冬は暖冬になる傾向にあります。そんな気候ゆえにラス・パルマスのランドマークといえば、この場所特有の白い壁と赤い屋根の住宅です。人々の家がランドマークになっている理由としては、先にお話しした地中海気候が大きく関係しています。湿った空気が少なく、1年を通して降水量が少ないため晴れの日が多くなり、太陽からの紫外線量がとても多い地域になっているのです。紫外線量が多いということは、それだけ外壁に与える影響が大きくなります。もし木材やセメントなどの家に住んでしまうと、長時間紫外線に照らされた結果、すぐに劣化してしまい建て直しをすることになります。そこで住宅全体を劣化が少ない土で建築し、さらに紫外線の影響を受けづらい赤い塗料と白い塗料で覆うことによって建物に与える影響を少なくしているのです。この建築様式というのは、ギリシャやイタリアの地域でも見ることができます。そんなラス・パルマスの観光名所といえば、中世ヨーロッパの歴史を感じることができるコロンブスの家やラ・ルス城です。中世ヨーロッパは別名大航海時代といわれ、鉄鋼技術の進歩によって船の製造技術が進化し、これまで到達できなかった遠方の土地に往来が可能になった時代です。ただ、決して良い側面だけではなく、船の技術の進歩によって、各国の利益を追従するためにひそかに結成された海賊組織が横行した時代でもあります。ラス・パルマスはスペイン本国にアフリカ大陸の交易品を安全に届けるための中継地点なので、はぐれ者や各国が隠密裏に組織した海賊にとっては、獲物を収穫できる絶好のポイントでもあったのです。スペイン本国は自国への交易品が滞りなく届けられるように、ラス・パルマスに防衛のための拠点であるラ・ルス城を立てました。このラ・ルス城は中世ヨーロッパにおいて、海賊行為を働く者へのけん制として建てられたため、砲弾を設置した城壁があり、海を360度見渡せるように設計された城塞になっています。現在では海賊行為は無くなり役目を終えていますが、その情景は中世ヨーロッパの激動の時代を十分に感じさせます。そしてラス・パルマスに関係する重要人物として、世界各国の歴史の教科書に必ず載っているクリストファー・コロンブスがいます。現在のアメリカ大陸を発見し、さらに南アフリカの観光名所になっている喜望峰を見つけたことで有名です。そんなクリストファー・コロンブスが、アフリカ大陸の交易を含めて航海を開始した際に中継地点としてラス・パルマスに設置したのが、別名コロンブスの家と呼ばれる住宅です。元々は中世ヨーロッパにおいて、交易の情報を本国に伝えるためにスペインの資材を用いて設計され、現在で言うところの領事館のような存在でした。その領事館はスペイン本国の兵士によって守られ、クリストファー・コロンブスは航海の計画を立てる準備の場所として用いたのです。その後クリストファー・コロンブスはラス・パルマスのコロンブスの家を拠点に、しっかりと資材と食料の分配を考えた航海をするようになり、アメリカ大陸とアフリカ大陸の喜望峰を見つけます。そして現在のラス・パルマスは当時のクリストファー・コロンブスの状況をうかがわせる、さまざまなレプリカの品物を見られる観光スポットになりました。