スペイン - アストゥリアスについて

アストゥリアスはスペイン北西部イベリア半島の北部に位置します。「緑のスペイン」と呼ばれるほど緑豊かな自然に恵まれた土地には、スペイン王国時代から残る世界遺産があることでも大変有名です。気候については、夏は温暖で高湿、冬の寒さもそこまで厳しくなく、ヨーロッパの中では比較的過ごしやすいことで知られています。しかし山地であることから冬は雪が降る地域が多く、旅行には夏季が最適でしょう。雨が多い土地ではないので夏は晴れる日も多く、観光地巡りにはおすすめです。アストゥリアスを象徴する最も有名な場所が、世界遺産「オビエドとアストゥリアス王国の建築物群」です。9世紀、イベリア半島のほとんどがイスラム教徒の支配下にあった時代、イスラムの支配を唯一免れたのがアストゥリアス王国でした。世界遺産となったのは、その時代に発展したプレロマネスク様式（もしくはアストゥリア様式）と呼ばれる様式で建築された価値ある建造物群です。また、アストゥリアス王国はレコンキスタ発祥の地としても知られています。この遺跡を巡ることで、また新たにスペインの歴史を奥深く感じていただけるのではないでしょうか。この遺跡で有名なのはサン・ミーゲル・デ・リーリョ聖堂、サンタ・マリア・デル・ナランコ聖堂、サンタ・クリスティーナ・デ・レーナ聖堂です。アストゥリアス建築を代表する3つの教会として知られています。3つの教会の建築に使われているプレロマネスク様式とは、長方形の平面を持ち、内部に高窓と広い中央部を列柱で区切った周辺部が囲むという特徴を持った建物をいいますが、この3つの教会もその特徴がしっかりと残されています。美しく神聖な雰囲気が感じられるのはもちろんのこと、建築様式の観点から見る楽しさもあります。カマラ・サンタ・デ・オビエド、サン・フリアン・デ・ロス・プラドス教会、フォンカラダの泉もそれぞれ見どころのある名所です。カマラ・サンタ・デ・オビエドは「聖なる部屋」と呼ばれる、9世紀に建てられた宮廷内の礼拝堂です。聖遺物などが納められており、こちらもプレロマネスク様式の造りで、現在はオビエド大聖堂の一部となっています。サン・フリアン・デ・ロス・プラドス教会はプレロマネスク様式の教会の中でも最大規模のものとして有名です。フォンカラダの泉は、城壁の外側にある飲料水の噴水です。中世初期の公共建造物としては現在唯一残っているものとして知られています。内戦により古い町並みがほとんど残されていないアストゥリアス州都において、王国時代の建築を現在でも見ることができるのはとても貴重なことですから、ぜひ訪れてみてください。アストゥリアス観光で訪れるなら、カンガス・デ・オニスという地域もおすすめです。絶景が楽しめることで有名なコバドンガ湖があります。ハイキングが人気で、湖畔の景色だけではなく緑が美しい山の自然も存分に楽しむことができ、多くの観光客が訪れています。アストゥリアスが「緑のスペイン」と呼ばれる由来を知るにも大変おすすめの観光スポットです。ローマ橋も人気のスポットの一つです。町のシンボルといわれている石橋で、現存のものは13世紀にかけられたといわれています。ローマ橋の近くにはサンタ・クルス教会があります。733年に建てられた古い歴史のある教会です。アストゥリアス王国の2代国王の埋葬地として知られています。サンタ・エウラリア教会もカンガス・デ・オニスで有名な教会の一つです。12世紀に建てられた教会ですが、内部に西ゴート王国時代の8世紀の教会部分が存在するという興味深い造りになっています。かつてアストゥリアス地方を支配していた西ゴートの貴族の子息にして、初代アストゥリアス王ペラーヨの最初の埋葬地として知られます。サンタ・クルス教会とあわせて、教会巡りがお好きな方にはおすすめです。アストゥリアスについて紹介しました。スペインといえば活気に溢れた文化のイメージが強い国ですが、アストゥリアスは自然に恵まれたのどかな印象が魅力な町です。その一方で、スペインの起源であるアストゥリアス王国が首都あった地でもあり、スペインの長い歴史の面影が今も残っています。アストゥリアスを訪れてみることで、スペインが持つ独特の雰囲気や文化についてまた深く知るきっかけにもなることでしょう。マドリードから鉄道のほか、バスや空路も利用できてアクセスは良好です。スペインを訪れた際にはぜひ、足を延ばしてみてはいかがでしょうか。