スペイン - アリカンテについて

アリカンテはスペインのバレンシア州の中核をなす都市であり、地中海に面した風光明媚な観光地としても知られる地域です。ちなみに、バレンシア語発音では「アラカント」となりますが、どちらの表記も正しいため公的文書でもこの両方が併記されています。イベリア半島の南東部に位置し、地中海のすぐそばで海運の便が良く、港湾都市として古代から発展を遂げてきました。現在では海上交通の要衝、そして観光業で多くの人を引きよせてきたのです。港湾としては1270年には地中海の公共港とされたほど歴史があり、大航海時代にはもっとも重要な拠点として新大陸やアフリカとの交易を支えました。地中海沿岸ではあるものの、気候区分はステップ気候であり、降水量が少なく冬も暖かいという特徴を持っています。そのため、とくに冬のバカンス先としてヨーロッパ中から人気を集めていますが、反面、夏はかなり気温が上がるため注意が必要です。アリカンテを代表するスポットと言えば、やはり最初に挙がるのがサンタ・バルバラ城でしょう。街の後ろにそびえる、標高160mほどのベナカンティル山の頂上にあり、港全体を見下ろしている非常に存在感のある建物です。9世紀ごろにイスラム教徒の支配下で建てられ、その後18世紀ごろまでカトリック教徒に修復されたという歴史を持ちます。ビーチを歩いていくと、この城にのぼるためのエレベーターが設置されていますので、そこから上がっていきましょう。山頂からは街が一望できるため、絶景スポットとしても知られています。アリカンテの中心的存在であり、発展のもととなったアリカンテ港も観光地として人気を集めている場所です。昔からの古い建物も多く、カラフルで異国情緒たっぷりな景色と海がとても美しいと評判になっています。レストランやカフェも多くあるため、お城を見学した後などにここで休憩するのがおすすめです。アリカンテに所属している島はいくつかありますが、なかでもタバルカ島は屈指の人気を誇ります。アリカンテ港からの船で45分ほどに位置するこの島は、非常に小さく、大人なら1時間ほどで一周できてしまうほどです。島内には小さなカフェや雑貨店があるくらいで、それほど目立った建造物や名所があるわけではありません。しかし、島自体が自然保護区となっており、周辺も禁漁区であるため、シュノーケリングなどで海中散歩するにはうってつけです。海自体もスペインで1、2を争う美しさであり、これに魅せられて毎年多くの観光客がタバルカ島を訪れています。アリカンテ港からの定期便は1日1便程度と少ないので、訪れる場合には時間をよく下調べしておきましょう。少し変わったところでは、アリカンテ考古学博物館も人気のスポットです。地元の学生が学習のために訪れることもあり、いつも人で賑わっています。アリカンテのあるコスタ・ブランカ地方の歴史についての資料を大量に収蔵しており、興味のある人にとっては一日中いても飽きない場所です。現代アートや体験型の展示もあるため、子供連れの場合も安心しておすすめできます。ベナカンティル山のふもとには、このあたりのカトリック教徒が集うサンタマリア大聖堂があり、ここも外せない観光スポットの一つです。一部火災で焼失していますが、14世紀に建てられたままの姿を残しており、非常に貴重な建築物として知られています。外観は撮影できますが、聖堂内部は撮影禁止ですので注意しておきましょう。アリカンテは港町ですので、数多くの海産物が取引されることでも知られています。それらが流通するのが、街の中心部にあるセントラル市場です。新鮮な魚介はもちろん、スペイン特産のワインなどさまざまな食料品が揃っていますので、市場内を歩くだけでも楽しめるでしょう。ビーチで海を眺めながら、市場で買ったワインを味わうというのがアリカンテでの楽しみの一つです。これ以外にも多くの古い教会や聖堂、歴史遺産があり、おいしいシーフードが味わえるアリカンテはバカンスにぴったりの地域となっています。観光地であるためホテルの数は多いのですが、やはり美しい海を眺められる部屋がおすすめです。秋や冬のシーズンは非常に混みあうため、なるべく早めに予約しておくと良いでしょう。また市内中心のアルフォンソ通りの周辺なら、治安も良く、買い物や食事にも便利であるため、宿をとるならこのエリアがもっとも適しています。