シント・マールテン（オランダ領） - セント・マーチン島について

セント・マーチン島はカリブ海に浮かぶリゾート諸島、小アンティル諸島の北部に位置する人口約73,000人の島です。セント・マーチン島は中央部にフランスとオランダの国境があり、1つの島の中で2つの国家が繋がっているのは世界中でもこの島だけとなっています。そのため、セント・マーチン島は異なる2つの文化を同時に体験できる魅力的な島と言っても過言ではありません。セント・マーチン島には2つの空港があり、オランダ領のアンティルに位置しているのがプリンセス・ジュリアナ国際空港です。この空港はマホ・ビーチに隣接している飛行場で、ビーチの頭上から滑走路に進入する大型旅客機を見学できることで知られています。インターネットの動画サイトの中でも紹介されていることが多く、この飛行場の着陸シーンは世界的に有名です。ビーチから海を眺めていると遠くから1機の航空機がこちらに向かっている、海はコバルトブルーの美しい海で、その数分後には旅客機は爆音とともにビーチの頭上すれすれに進入し、滑走路とビーチ沿いにある柵を越えて着陸します。迫力ある着陸シーンを見ることができるのもセント・マーチン島の魅力でしょう。もう1つの空港はフランス領側にあるグランカーズ・エスペランサ飛行場、カリブ海最大の潟湖に向けて突き出す形で滑走路が1本あり、小型飛行機専用の飛行場です。日本からの直行便は出ていないため、アメリカやプエルトリコを経由するのが一般的なルートとされています。成田空港からアメリカ・ジョージア州アトランタに向かい、そこからセント・マーチン島行の飛行機に乗り換えるのが最適です。成田空港からアトランタまでは約12時間40分、アトランタ国際空港からセント・マーチン島までは約4時間の飛行距離です。セント・マーチン島の気候は海洋性熱帯気候に属し、北東の貿易風が卓越しており気温は温暖で平均的な年間の降水量は1,500mmです。7月から11月はハリケーンのシーズンとして知られています。1960年に発生したハリケーン「Hurricane Donna」や1995年の「Hurricane Luis」はこの地域に甚大な被害をもたらしました。この地の先住民はカリブ族とアラワク族です。島を発見したのはコロンブスで、1493年11月11日に2回目の航海でこの島を発見しました。11月11日は聖マルティヌスの聖名祝日となっていることから、サン・マルティン島という名が付いたという説があります。サン・マルティン島はスペイン語での呼び名で、スペインによる占領から15年が経過した1648年に八十年戦争が終結し、スペインはカリブ海の拠点経営に関心がなくなったため島を放棄したと言われています。放棄されたことで島は空白となり、オランダとフランスが植民地化に乗り出しました。オランダとフランスは1648年3月23日に、この島に関する条約を結んでいます。その結果、54平方キロメートルの領域がフランス領、34平方キロメートルの領域がオランダ領となりました。島の歴史を感じることができるのは、国境に設置されているモニュメントで、観光スポットとしても知られています。カリブ海に囲まれている島では盛んに漁業が行われていますが、港湾としての機能を持つのはシント・マールテン港とマリゴ港の2つだけです。シント・マールテンとも呼ばれているオランダ領アンティルの首都はフィリップスブルフ、サン・マルタンとも言われているフランス領はマリゴが首都となっています。オランダ領側を管轄していたキュラソー植民地は、第二次世界大戦後にオランダ領アンティルになりましたが、2010年10月に解体されました。現在のシント・マールテンは単独でオランダの自治領になっています。フランス領側も1946年以降はサン・バルテルミー島とフランスの海外県のグアドループに属していました。サン・マルタンは2007年にグアドループから分離し、現在は単独でフランスの海外準県です。こうした歴史的背景から、セント・マーチン島は新しい一歩を踏み出していると言えます。オランダ領アンティルの首都フィリップスブルフは島の南半部を占める中心地でもあり、グレート・ベイに面した港町です。市街を東西に貫く目抜き通りとなっているフロントストリートには、免税店などの店舗が集まっています。オランダ色が強いパステルカラーの建築物が立ち並び、目を引く光景でしょう。町周辺には1631年にオランダ海軍により建設されたアムステルダム要塞と、1801年にイギリスにより建設され1816年にオランダが引き継いだウィレム要塞があります。歴史あるこの要塞は多くの人におすすめできる観光スポットです。