ペルー - カハマルカについて

カハマルカはペルー北部のアンデス山脈に囲まれた盆地にある都市で、織物、皮革、帽子、金属器などの伝統工業が盛んです。また、カハマルカ周辺は南米最大の金鉱であるヤナコチャを始め、いくつもの金・銀・銅山があり、鉱山の街としても有名です。温暖な気候を利用した酪農も盛で"ペルーの北海道"と呼ばれることもあります。

カハマルカの地には紀元前1500年ほど前から文化が栄えており、ウワカロマ遺跡やクンベマヨ遺跡といったインカ以前の古代遺跡が多く存在しています。その後、それらの文化はチャビン文化に吸収され、15世紀にはインカ帝国の支配下となりました。カハマルカはインカ帝国時代も主要都市として栄え、インカ帝国最後の皇帝であるアタワルパが捕らえられ幽閉された土地であり「インカ帝国終焉の地」とも言われています。

カハマルカは標高2750メートルの場所にあり、日中は天気が良ければ日差しが強いため気温が上がりますが、朝晩はとても冷え込みます。11月から3月までは雨季となりますので、5月から10月までの乾季が観光のベストシーズンです。最高平均気温が21度、最低平均気温が6度となりますので、日本の晩秋頃の服装を用意するのがよいでしょう。

日本ではあまり知られていませんが、カハマルカはペルーの中でも有数の保養地として人気の都市です。市内にはインカ以前の遺跡から植民地時代に建てられた建築物まで数々の歴史的な建造物が立ち並び、郊外にはのどかな酪農風景が広がっています。また、インカ帝国最後の皇帝アタワルパが愛した温泉「インカの湯」があり、個室風呂の温泉施設もあります。ここではカハマルカの見どころの一部をご紹介いたします。

・カハマルカ大聖堂
17世紀にスペイン国王の命により建設されたカハマルカ大聖堂はペルーの最も優れたバロック建築の1つで、市内のカトリック教会の本堂として建設されました。1972年にペルーの文化遺産に指定されました。中央の祭壇と説教壇は木彫りで作られており、美しい金箔で覆われています。

・インカの温泉
インカ帝国最後の皇帝であるアタワルパが利用していたと言われる温泉で、この温泉で療養している時にアタワルパはスペインのコンキスタドールに捕まり幽閉されてしまいました。現在100以上の個室温泉がある温泉施設として営業しており、アタワルパが愛した温泉に入って楽しむことができます。

・エル・クアルト・デル・レスカテ
市内にある「身代金の部屋」と呼ばれる石造りの建物は、インカ帝国皇帝アタワルパがピサロによって幽閉されていたとされる場所です。アタワルパがこの建物いっぱいの金銀を与えることを条件に自分を解放するようピサロと交渉したと言われています。結果的にピサロ達はアタワルパから金銀をだまし取り、キリスト教に改宗させた上処刑しました。これによりインカ帝国が滅亡し、スペインによる植民地支配の時代が始まったのです。

・サンタ・アポロニア見晴らし展望台
もともとはケチュア語で「石座」と呼ばれていたサンタ・アポロニアの丘は、市内と渓谷を同時に見渡すことができる戦略的な要所でした。サンタアポロニア見晴らし展望台に上るには、急な石段を上る必要があります。石段の両脇には郊外にあるクントゥルワシ遺跡で発掘された石像のレプリカが飾られています。石段の上にはファティマの聖母マリアをテーマとする教会があります。

・クンベマヨ遺跡群
カハマルカ市内から南西に20キロほど離れたクンベ山麓に広がる岩の荒野にクンベマヨ遺跡群があります。紀元前1000年頃に作られたとされる総延長が約9キロもある古代水路は、現代技術でも再現不可能と言われているほど緻密で精巧な作りをしています。この水路は、クンベ山頂の西側の水源からわずかな傾斜や段差を利用して、クンベ山東側の盆地まで水を運んでいたとされています。巨石の奥を水路が90度に曲がって掘られている場所もあり、鉄のない時代にどのようにして水路を掘ったのか、どうやって90度に曲げることができたのか未だに解明されていません。

カハマルカはペルーの中でも比較的治安のよいとされており、外国人観光客だけでなくペルー人の保養地としても人気の都市です。しかし貴重品は肌身離さず持つ、夜間に一人で出歩かない、人通りの多い表通りを通るといった基本的な自衛手段は必ず取って、楽しい旅のひと時を過ごせるように心がけましょう。