モーリタニア - ヌアクショットについて

ヌアクショットは西アフリカ、モーリタニア・イスラム共和国の首都で、大西洋岸に位置しています。また、サハラ砂漠で最大規模の都市でもあります。砂がすべてを支配しているといっても過言ではなく、舗装されている一部の道以外はすべて砂で埋まっている状態で、首都とはいえ都市はまだ発展途上な状態です。市内にはカラフルな民族衣装をまとった女性や男性が往来していて、その様子には風情があり異国情緒を感じさせます。
ヌアクショットがあるモーリタニアは、アフリカ北西部にある共和制国家で、アルジェリア、マリ、セネガルとそれぞれ国境を接しています。また、アフリカ連合とアラブ連盟に加盟していて、広い意味ではマグリブ諸国に含まれています。
現地では、アメリカ合衆国とほぼ同じ大きさのサハラ砂漠が深刻な問題に。南極にあるものを除けば世界最大の砂漠で、1,700km2に渡り現在も拡大が続いています。
サハラという言葉は、アラビア語で“砂漠”や“荒野”を意味し、そのままヨーロッパへも固有名詞として定着。サハラ砂漠自体の人口は全体で2,500万人で、そのほとんどはモーリタニア、モロッコ、アルジェリアに居住していて、中でもモーリタニアのヌアクショットが最大の都市になっています。サハラ砂漠の鉱物資源は決して多くないものの、大規模な鉱山が点在しています。
交通の面では、市内でタクシーを利用することが多くなるでしょう。しかし、タクシーをつかまえることは容易いものの、多くの運転手や道行く一般人は地図を理解できないため、旅行をするなら自分で道を把握し迷わないように注意しましょう。
ヌアクショットは大西洋に面しているため港があり、交易の中心地になっています。モーリタニアの経済の根幹を支えていて、セメント、小麦、砂糖、トウモロコシ、牛乳などを輸入しています。
かつてはヌアクショット空港が同国の玄関口でしたが、新しくヌアクショット・オムタウンシー国際空港が作られたことによって衰退し、閉鎖されてしまった経緯があります。
発展途上のヌアクショットですが、意外に料理に手が込んでいて美味なものが多いことでも知られています。ポテトと肉、野菜を巻いて丸くしたサンドイッチや、独特なパスタ、チャーハンのようなご飯など、日本人の口に合うような料理が存在します。また、カレーライスといった米料理が楽しめるのも嬉しいことで、ナスやカボチャといった野菜の使い方も日本を彷彿とさせるものがあり安心します。
気候は過酷で、高温砂漠気候に分類されています。最高気温は48度に達し、最低気温は0度になる寒暖差で、年間降水量はわずか130mmほど。乾燥は深刻で、8月以外はほとんど雨が降らない状態です。
歴史的な側面をひもとくと、ヌアクショットには植民地時代があり、そのころはセネガルを首都としたフランス領西アフリカの一部だった経緯があります。1958年、モーリタニアはフランス統治により自治権を持つ地域になり、そこから 1960年にモーリタニア独立宣言がなされました。1962年以降、ヌアクショットは独立したモーリタニアの首都になり現在に至ります。1970年になると、サハラ砂漠の方から職を求めた移民が相次ぎ、一気に人口が増加しました。1969年に2万人だった人口は、2000年には50万人を超え、急激な人口増加をしたために著しくスラム化するという悪影響を受けました。
ヌアクショットでは医療水準が低いものの、危険な病気が蔓延しているためその点にも警戒が必要です。
マラリアは国内で年間30万人以上が罹患していて、1,000人が死亡しています。主にハマダラカを媒介としていて、刺された後に 1週間から1カ月ほどの潜伏期間を置いて発症。発熱や頭痛、腹痛や吐き気といった症状に襲われ、大人よりも子供の症状が重いことで知られています。現地で発熱をしてしまった場合は、まずマラリアを疑う必要があるでしょう。
また、WHOにより黄熱リスクの高い国に指定されています。黄熱は熱帯アフリカと中南米の風土病であり、発熱を伴って重症患者には黄疸が見られることからその名が付けられました。また、黒い色の嘔吐を起こすことから黒吐病とも呼ばれます。入国に際しては、黄熱が流行している国から入る場合には黄熱ワクチン接種証明書を提示する必要があります。黄熱は特にモーリタニア南部でのリスクが高いため、旅行をする際には念頭に置きましょう。