インドネシア - スマランについて

スマランはインドネシアのジャワ島の真ん中にある中部ジャワ州の州都です。スマランは赤道からやや南の南緯6度付近にありますが、日中の平均気温は30度から32度、夜の平均気温は24度から26度前後で、これは一年を通してほとんど変化はないため、日本のような四季はありません。赤道付近の熱帯ですが、35度以上の酷暑になる日は、まれです。スマランの気候は熱帯モンスーン気候で、乾季と雨季に分かれています。乾季はおよそ4月から10月まで、雨季はおよそ11月から3月までです。乾季の降雨は非常に少なくなります。一方、雨季は月平均300mmを超えますが、日本の梅雨のように一日中降り続くことはあまりありません。たいていは、夕方あたりに4時間程度、バケツをひっくり返したような大雨が降り、それ以外は晴れていることが多いです。スマランはオランダ統治時代からの建築物が多く残っており、華僑の文化の影響を受けた建築物も多く残っていることから、ジャワ、オランダ、中国の文化が入り混じった異国情緒あふれる都市です。また、中部ジャワ最大のモスク、中部ジャワ最古の教会、中部ジャワ最古の仏教寺院、中部ジャワ最古のヒンドゥー寺院と、インドネシアにあるすべての宗教が入り混じった宗教色豊かな都市でもあります。そのようなスマランにおけるランドマークの一つが、ラワン・セウ（LawangSewu）とトゥグ・ムダ（TuguMuda）です。ラワン・セウは、オランダ統治時代の1907年に建てられ、鉄道会社のオフィス兼鉄道駅として使われました。インドネシア独立後はインドネシア鉄道のオフィスとして一時期使われた後、しばらく放置されて廃墟となっていましたが、2009年から順次リノベーションされ、現在ではインドネシア鉄道が管理する観光用施設および博物館として一般公開中です。建物は大きく、扉や大きな窓が多くあり、千枚の扉があるようにたとえられたことから、ラワン・セウ（ジャワ語で千の扉）と名付けられたと言われています。トゥグ・ムダは、インドネシア語で青年の塔という意味で、ラワン・セウの前にある記念碑です。スマラン事件（五日間戦争）で犠牲になったインドネシア青年を追悼するために、1952年に建てられた石碑の塔です。トゥグ・ムダは、ロウソクのような形をしており、そのてっぺんが炎のレリーフになっています。これは、インドネシア独立に向けた戦いの中で起きた事件で独立のために戦って犠牲になった青年たちの熱い精神を表したものです。また、スマラン市章にもトゥグ・ムダが描かれています。異国情緒あふれるスマランにおける観光地の一つが、コタ・ラマ（KotaLama）と呼ばれる旧市街です。オランダ統治時代の建物が数多く残り、リノベーションして店舗や銀行、博物館として使われている建物、手つかずのまま廃墟と化した建物など、さまざまであります。そのうちの一つ、鉄道駅であるスマラン・タワン駅は1914年に建てられ、リノベーションを経て現在も現役の鉄道駅として使われており、ここから西の首都ジャカルタや東のスラバヤへ行くことができるのです。そして、当時のまま現在も使われている中部ジャワ最古のプロテスタント教会、ブレンドゥック教会があります。これは、1753年に建てられたオランダ統治時代の美しい建造物のひとつです。リノベーションを経て、現在も観光客を魅了するだけでなく、日曜には礼拝も行われています。ジャカルタにも旧バタヴィア時代の旧市街コタ・トゥア地区がありますが、現存する建物の数や旧市街の広さ、規模はスマランのコタ・ラマのほうが大きいです。旧市街エリアの外ですが、サンポーコン（三保洞）寺院は、スマラン中心部から近いエリアにある中部ジャワ最古の中国寺院です。サンポー（三保）は中国・明時代の武将、鄭和の本名（馬三保）であり、明の永楽帝の命令により艦隊を率いて東南アジアやインドへ遠征をしていました。スマランに寄港した時に鄭和が建てたのがサンポーコン寺院です。色鮮やかな朱色で統一されたこの寺院は、スマランにおける代表的な中国建築の一つになります。オランダ統治時代の建物ではなく2006年に建設された新しい建物ですが、中部ジャワ最大のモスク、中部ジャワグランドモスクもスマランの観光地の一つです。10ヘクタールの広大な土地に建てられた、ジャワ、イスラム、ローマの混合建築様式のこのモスクは、礼拝時間を除いて24時間入場見学可能です。敷地内に99ｍの高さの塔、アスマル・フスナ・タワーがあり、上に展望台があってスマラン市内を見渡すことができます。塔の2階と3階部分は博物館になっています。