インド - コーチについて

コーチは南インドのケーララ州にある主要産業都市です。日本語表記としてはコチやコッチ、コーチンとされていることもあります。2011年時点で60万人程度の人口でした。隣接する発展した複数都市が行政の境界を越えてつながることで一つの大都市を形成しており、この地域には200万人を超える人々が生活しています。商業の中心地で、ケーララ州で唯一の株式市場があり、多くのビジネスがここに集中していて、近代都市を象徴するような高層ビルが多く立ち並ぶ都市です。
1500年始めにポルトガルによって占領されたことで、インドにおいて初めての欧州による植民地となった歴史があります。アラビア海に面している港町として14世紀から香料の貿易で大いに栄え、1530年にゴアに拠点が移るまではその役目を果たしていました。その後も要塞としての役目は続いていたため、オランダやイギリスなどの支配を受けたこともあります。
歴史的な背景を知りたいのであれば、旧市街であるフォート・コーチンやマッタンチェリーを訪れるとよいでしょう。最も有名なものがテコの原理を利用したフィッシュネットです。海に大きく迫り出した魚の網が複数並んでいて、魚を獲るときに大きなアームを動かして水面に沈めます。14世紀に中国から伝わったとされる漁法で、インドでも珍しいものです。複数の漁師が協力して動かす様は見応えがあります。特に夕焼けに映えるので、日没を狙って行くとよいでしょう。
コーチはインド半島南西部に位置していて、西側に面しているのはアラビア海です。多くの川の支流が流れ込んでいることから、複雑な地形になっています。熱帯海岸性で夏には南西モンスーン、冬は北東モンスーンの影響で雨の多い気候で、年間の降水量は2900mmに達するほどです。気温は最低でも22度から25度程度と過ごしやすく、最高でも28度から35度でおさまっています。
インドの幹線道路が市内を通っているので、車のアクセスが良い地域です。市内のバスや地下鉄、水上バスが集結する施設であるモビリティハブもありさらに便利です。外見はゲートがいくつも連なっているような特徴的な形をしています。
貿易で栄えていることを証明するかのように、コーチ港の埠頭には大きなクレーンが並んでいます。大型のタンカーにも対応できるように、かなり大型のクレーンを使っているため、その姿は圧巻です。残念ながら関係者以外は中に入ることはできませんが、遠目で見ていてもその凄さを感じることができます。近くには造船所もあり、大型の施設が並んでいて、港は見学にはおすすめの地域です。
海岸線の美しい夜景を楽しみたいならマリンドライブが最高です。水面に映る建物のライトが幻想的で、一見の価値があります。富裕層の住宅などが多くある場所で、有名なレストランや香辛料のお店などが点在しており、サンセットを眺めながら散歩することができる人気の地域です。クルーズ船から眺める夜景も最高です。ケーララ州の高級なホテルのほとんどがコーチに集まっています。
探検家で有名なヴァスコ・ダ・ガマは、3度目の航海でコーチを訪れた際、1524年12月にこの地で病死しています。その後、埋葬されたのが聖フランシス教会です。白い質素外観が可愛らしい教会で、観光地として知られています。元々はポルトガルの修道士たちによって建てられたものです。1600年頃からプロテスタントの教会にかわりました。
コーチから列車で移動できる地域にバックウォーターがあります。そこにはハウスボートと呼ばれる木造船が並んでいて、貸切りで利用することができます。昔はこのボートを使って香辛料やコメの運搬が行われていたこともあり、歴史的な乗り物としても有名です。外から眺めていてもいろいろな形があるので飽きませんが、中から見る風景はここでしか味わえないものです。ハウスボートは名前の通り、中で生活できるようにさまざまな設備が整っています。水上のコテージのようになっていて、快適にゆったりとした時間を過ごすことができるため、観光客に人気のスポットになっています。
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