オーストリア - クラーゲンフルトについて

クラーゲンフルトはオーストリア中部のケルンテン州の州都で、人口は約10万人ほどです。ケルンテン州はアルプスの南側に位置しているので北側よりも比較的気候が穏やかで、晴天の日も多いことで知られています。夏場の平均気温は22度くらいで真夏も過ごしやすく、アルプス特有の乾燥した空気のおかげで汗をかいてもすぐに乾いて気持ちよくハイキングやアウトドア、街歩きができます。冬になるとスキー客で賑わったりして夏のシーズンとは違う一面を見ることができ、年間を通して観光客が大勢訪れるのです。クラーゲンフルトは自然に恵まれた環境にあるので、雄大な景色そのものがランドマークと言っても過言ではありません。ケルンテン州の最北部はオーストリアの最高峰グロースグロックナーに面しているので、街からも雄大な山脈を見渡すことができます。東岸を接しているヴェルター湖もクラーゲンフルトのランドマークのように親しまれていて、夏になると水遊びをする人々で賑わいを見せています。市内のランドマークと言えば、中心部にあるノイアーマルクト（新広場）のリンドヴルムの泉で、かつてヴェルター湖に住んでいて住民を苦しめたリンドヴルムという竜を、住民たちが力を合わせて退治したという伝説を象徴した泉です。クラーゲンフルトを訪れたら行ってみたい見どころもたくさんあります。それほど大きな街ではないので比較的短時間でも多くのスポットを回ることができて、ウィーンやザルツブルクなどに比べると観光客の数もそれほど多くないためゆっくりと観光できるのが魅力です。リンドヴルムの泉があるノイアーマルクトを中心に徒歩で行ける場所も多く、途中の路地や広場のあちこちにはオーストリアの郷土料理が食べられるレストランや本場のコーヒーが飲めるカフェ、美味しそうなパンやお菓子が並ぶお店もあるので、休憩をするにもぴったりです。クラーゲンフルトの市庁舎として使われているオルシーニ・ローゼンベルク宮殿は、17世紀末にローゼンベルク伯が建てたルネサンス様式の宮殿になります。外観はすっきりしていてどこかエレガントな感じがして、中庭に行くと漁夫の石像が立っています。これは昔ヴェルター湖の漁夫が客をだまそうとしたときに、自分の言ったことが嘘だったら石になってみせると豪語して、本当に石になってしまったという伝説に由来するものです。宮殿は市庁舎として現在も利用されているので、内部に入ることもできます。ケルンテン州の州庁舎として使われているラントハウスもクラーゲンフルトの見どころで、16世紀後半ルネサンス様式で建てられています。内部には目を見張るような紋章の数々が壁にぎっしりと描かれていて、床やドアなど細部までとても豪華な作りです。これらの紋章は、当時はクラーゲンフルトやケルンテン周辺の貴族と高位聖職者の家だけが飾られていましたが、その後オーストリア国内各地の名家や外国の貴族などの紋章も加えられていき、現在のような壁いっぱいに描かれたスタイルが完成しました。リンドヴルムの泉があるノイアーマルクトが新広場なのに対して、旧市街にはアルターマルクトという旧広場があります。ここにはクラーゲンフルトで最も古い、1489年頃に建てられた黄金の鵞鳥の家があり、観光名所になっているのです。広場の中心部にある柱は中世時代にペストの蔓延が終わったことを記念して建てられたもので、当時の様子を思わせます。アルターマルクト周辺にある建物は16世紀から19世紀にかけて作られたものが多く、周辺を歩いていると古き良きヨーロッパが感じられます。教会に興味がある人は、聖エギド教会に行ってみるのがおすすめです。内部には聖エギドのフレスコ画があり、戦争やペスト、迷信、飢饉などの苦しみをクラーゲンフルトから追い出す聖人エギドの行いが描かれています。教会の塔は高さが92メートルあり、上まで登ることができます。塔の上から眺める街全体の風景はとても美しく、天気がいい日にはオーストリア・アルプスの雄大な眺めも見られるので頑張って登ってみましょう。クラーゲンフルトで面白い観光スポットと言えば、ミニムンドゥスという世界の名所を集めたミニチュア公園です。オーストリアやヨーロッパの名所だけではなく、世界中のミニチュアが置かれています。日本からは大阪城が代表的な建造物として選ばれて、緑豊かな庭の一角に設置されているので面白い写真が撮れます。