ベラルーシ - ミンスクについて

ミンスクは、ベラルーシ共和国の中央部に位置する首都で、ベラルーシの政治、経済、文化の中心地です。市街は9つの地区に分かれています。2018年の人口は約200万人で、ヨーロッパで11番目に人口の多い都市になり、人口減少が進むベラルーシではまれに見る、人口が増加している都市です。独立国家共同体（CIS）の行政首都であり、その本部が置かれています。
「ミンスク」という地名は、古東スラブ語で「川」を意味する「Mn」に由来するもの、または、かつてからの商業都市としての歴史を反映した「交換取引」を意味する「мена(miena)」がもとになっているともいわれています。
10世紀ごろ、東スラブ人が支配するポロツク公国内の地方都市でした。1067年に、ニアミハ川畔でポロツクとキーウ大公国のあいだで激しい戦闘があったことを記した史料にミンスクの名が初めて確認されており、この年をミンスク建都の年とされています。集落は河川沿いで発展し、1242年にリトアニア大公国の一部となり、1499年に町の特権を取得しました。1569年からは、ポーランド・リトアニア共和国のミンスク県の首都でした。この当時のミンスクには、多くの高官などが居住するポーランド人社会が形成されました。16世紀には、ポーランド・リトアニア共和国内でも経済、文化的に重要な都市へと成長しました。
1793年、第2次ポーランド分割によって、ミンスクはロシアに併合されます。19世紀を通じて、ミンスクは都市として成長を続け、大幅に整備されました。主要な大通りや広場が舗装され、1836年には最初の公共図書館が完成しました。1838年には最初の地方新聞であるMinskiye gubernskiye vedomosti（「ミンスク州のニュース」）が発行されました。1860年までには人口27,000人の重要な貿易都市になりました。19世紀後半には、モスクワ・ブレスト・ワルシャワ間の鉄道が開通し、ウクライナ方面への鉄道も開通するなど、重要な鉄道の分岐点としても急速に発展しました。1897年の人口は91,494人にのぼり、その半数近くがユダヤ人でした。
第一次世界大戦では、戦闘の最前線として、ロシア陸軍の前線基地も置かれました。ロシア革命後の1919年から1991年まで、ミンスクはソ連のソビエト社会主義共和国の首都でした。第二次世界大戦前には、人口が300,000人に成長しましたが、大戦中は激しい空爆などを受け、市内に残っていた教会などもソビエト政府によって爆破されるなど、市街はほぼ完全に破壊され、人口は50,000人まで減少しました。第二次世界大戦後、町は周囲の村を組み込みながら急速に復興した。
第二次世界大戦後、町は急速に復興し、1972年には人口が100万人に達しました。1986年のウクライナのチェルノブイリ原子力発電所の事故では、ウクライナよりベラルーシが被害を受け、地方の住民の多くがミンスクに移り住みました。
その歴史を通し、ミンスクでは多くの民族がおり、さまざまな言語が話されます。以前は、後に現代のベラルーシ語に発展した、ルテニア語を話す人がほとんどでしたが、1569年からはポーランド語が公用語となっています。
亜寒帯湿潤気候に区分され、天気は不安定で、比較的頻繁に変化する傾向があります。夏の平均最高気温は22度前後で過ごしやすく、冬は最高気温が零下となるため非常に寒くなります。
ミンスクには歴史ある建造物や博物館も多く、自然が美しいことでも知られており、数多くの観光スポットがあります。それらの中でも特に人気の場所をいくつかご紹介します。
・聖シモン・聖エレーナ教会
「赤い教会」としても有名な、独立広場向かいにあるローマ・カトリック教会です。ポーランド人の建築家たちにによって設計され、1905年から1910年の間に建てられたネオ・ロマネスク様式の赤レンガで造られた教会です。この教会には、2000年に長崎のカトリック教会から贈呈された「長崎の鐘」があります。
・トラエツカヤ旧市街区
市内は近代的な建物も多い中、戦前の街並みが復元された、多くの観光客でにぎわう市街地です。すぐ近くを流れるスヴィスラチ川に浮かんでいる「涙の島」には、戦争で亡くなった人を悼む記念碑が建てられており、こちらも観光スポットとなっています。
・大祖国戦争史国立博物館
大祖国戦争とは第二次世界大戦のことで、その歴史についての展示がある博物館です。当時、郊外にはアウシュビッツなどにつぐ第3のナチスの収容所があり、その歴史に関する展示もあります。
ヨーロッパ内外から観光客が多く訪れる都市で、市内には中心地に多くのホテルがあります。リーズナブルなところから、高級ホテルまで幅広くあり、交通の便もよく治安も良好なので、予算に合わせて選ぶのがよいでしょう。