オーストリア - リンツについて

リンツはオーストリアの都市で、オーバーエスターライヒ州の州都です。人口は約20万人でウィーン・グラーツに次ぐオーストリアで3位の都市として知られています。2009年には「欧州文化首都」に選ばれ、世界で一番古い菓子と言われる「リンツァートルテ」が生まれた土地としても有名です。世界各国に姉妹都市があり、日本では那須塩原市が姉妹都市です。リンツはドナウ川沿いに位置し、北西約70kmにドイツのパッサウ、東約150kmにはウィーンがあります。気候は「西岸海洋性」に属し、同じ気候の地域の中では年間を通して雨が少ない傾向にあります。夏は比較的過ごしやすく湿度もあまり高くありませんが、冬になると厳しい寒さの日が多く、1日中晴れ渡る日はほとんどありません。年間の気温は氷点下4度から25度まで変化しますが、氷点下10度を下回る日は数えるほどです。また、夏でも32度を越える日は少なく、比較的過ごしやすい都市とされています。観光や訪問に最適な時期は、6月半ばから9月上旬辺りでしょう。リンツのランドマークと言えるものは、リンツ中央駅から徒歩で15分程の場所にある「新大聖堂」です。19世紀半ばに建てられたネオゴシック様式の大聖堂で、その高さは134mもあり、国内最大の教会として知られています。建設はフランツジョゼフルディジェ司教によって始められ、最初の石は1862年5月に敷設されました。20,000席を有する大規模な聖堂ですが、当初予定されていた高い尖塔は認められなかったという経緯があります。当時、ウィーンのシュテファン大聖堂の南塔よりも高いものを建てることは禁じられていたため、その基準を超えてしまう尖塔は断念するしかありませんでした。そのため、この大聖堂はウィーンの大聖堂よりも約2m低くなっています。この聖堂の中で注目すべきところは、ステンドグラスで装飾された窓の美しさでしょう。この町の歴史を描いた「リンツウィンドウ」と呼ばれている装飾や、教会建設に関わった人々の肖像画が描かれている内部が、大変魅力的な教会です。大聖堂の南側にある窓の一部が第二次世界大戦中に破損しましたが、元のデザインを復元するのではなく、モダンアートのものに変えられるなどの工夫が施されています。リンツを観光するなら、郊外では「聖フローリアン修道院」がおすすめです。リンツ駅からバスで30分程度の場所にあり、304年に聖人フローリアンが葬られたとされる場所にある修道院で、壮麗な「皇帝の間」をはじめ漆喰装飾やフレスコ画などが見どころです。この教会では「アントン・ブルックナー」が聖歌隊員を務めていた時期があり、1848年から10年以上に渡りオルガニストをしていました。そして遺言により教会の下には氏の遺骸が眠っており、現在でもその縁でオルガンコンサートが開催されています。さらに、街の中心部の観光なら、小高い丘に立つ「リンツ城」も良いでしょう。799年の古文書にも記録があるこの城は、皇帝フリードリヒ3世の住んでいた建物で、その後ルドルフ2世により改築されました。1800年に火災に見舞われましたが、再建され1963年からは博物館となりました。先史・古代ローマ・中世にかけての発掘品などが展示されており、当時の様子を再現した部屋や工芸品、武器、絵画なども並び、民俗学を学びながら楽しめる博物館です。また、丘の上という立地から、地域一帯を見渡せる格好のビューポイントと言えます。市街中心地では「州庁舎」もおすすめの観光スポットです。中庭が美しいことで知られ、ハウプト広場から路地を少し入ったところに建っています。ルネッサンス様式の庁舎で、独特の形をした時計塔が有名です。ここは16世紀後半に「リンツ大学」として利用されていた場所で、天文学者として有名なケプラーもこのリンツ大学で教鞭をとり、惑星の軌道は楕円であると発表したエピソードは多くの人に知られています。アーチ式の入り口をくぐると、外の喧騒を忘れるほど静かでゆったりとした雰囲気になっているのが魅力です。カーブを描いた柱廊をバックに、石畳が敷き詰められた先、中央の噴水が織り成す様子は、訪れた人達を癒してくれることでしょう。大通り側とは反対に位置する場所にも出入り口があり、そこの装飾がとても素晴らしいので、正面とともにこちらも見学することをおすすめします。ここはまさにリンツの隠れた名所と言える場所です。